- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862805447
感想・レビュー・書評
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悪書とまでは言わないが、珍書・奇書に分類したい。編集者はどれだけ中身をチェックしたのだろうか。
・著者が「ヘッジファンドの将来的な期待パフォーマンスは過去の実績から判断できる」と主張しているのに関わらず、この本で引用されているチャールズ・エリスは「過去のパフォーマンスは将来の推測に全く役立たない」と主張している。引用したエリスと正反対の主張を繰り広げているのが本当に不思議である。「地球は回っていない」と主張をしているのにコペルニクスの論文を引用しているのと同じような構図になっている。
・著者は「ハーバード大学もヘッジファンドで運用している」と言及しており、それは確かにその通りなのだが、ハーバードのヘッジファンド運用成績は良いときでもおおむね年率5%程度である。著者の会社ではこの2倍以上もの数値を持続できると想定しているのか?
金融の知識がないとこの本に書いてある内容を真に受けてしまう人がいるかもしれない。よくよく調べながら読みましょう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ヘッジファンドダイレクトの社長が書いた本。
当然自社の宣伝なのですが、そもそも投資とは、みたいなことが丁寧に書かれていて、その点はよかったです。また、その原典も書かれており、しっかりとした論に基づいているということがわかります(もちろん、諸説ある中で著者にとって都合のいい話しを取り上げている訳ではありますが)。投資に関する本を一生懸命読むよりもこの本をさらって読んだ方がコスパはいいです。
また、著者の経営している会社が行政処分を受けたことについても率直に書かれており、その点は好感が持てました。
投資するには1000万円必要なのでハードルは高いですが、興味は持ちました。
いい本ですが一点だけ。外貨預金の税金に関する記述は間違えていました。(利息は総合課税ではなく、分離課税) -
『富裕層のNo.1投資戦略』(髙岡壮一郎)
この本のタイトルからしても、著書が自らヘッジファンドダイレクト株式会社の社長であることからしても、どうしてもこの本のターゲット層は、彼の会社の顧客対象となるオーナー経営者や医師、大企業幹部だと勘ぐりながら読んでいた。
しかし、各章を読み進んでいくとヘッジファンドの姿を多角的視野から覗くことになっていき、それをキッカケに、‘金融’・‘投資’という概念が自らのなかで書き換えられていくのを感じることになる。それが冒頭で髙岡氏が語っていた①日本人の金融リテラシーの低さ、②日本の資産運用業界の後進性をリアルに感じるとにつながっていく。
ことのほか、想定読者ターゲットではない、資産も全くなく、金融リテラシーの乏しい私にも十分楽しめた読み方ができた。それは第4章・第5章に描かれている‘富裕層たちの資産運用の具体的事例’だ。自分の住む世界との隔絶さ感、この確実に存在する現実がもの凄く遠くに感じられたことが、何か近未来映画を見ているような感じだった。