逸失利益の研究: 経済学から見た法の論理

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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862850812

作品紹介・あらすじ

この半世紀の間に交通事故により50万人以上の人々が犠牲になった。それに伴い損害賠償をめぐる多くの訴訟が起こされた。賠償問題の中心は当人が生きていれば得たはずの所得を算定する逸失利益の問題である。この数値は私たちの社会が生命を奪われた被害者に対して与えた経済的評価に他ならない。
家族を交通事故で失い,民事訴訟を通してこの問題に直面した経済学者である著者は,法廷でまかり通っている論理が経済の論理としても市民感情としても驚愕すべきものであることを見出す。
賠償金額は,一定の基礎収入を就業可能期間(18歳から67歳)にわたり獲得したとする金額から,金利を割り引いて現在価値に換算して決まる。1%を割り込む預金金利が長期化しているなかで,5%という民事法定金利が適用され,賠償金額は著しく実態とかけ離れているが,裁判では「法的安定及び統一的処理」の名分の下に退けられている。
著者は「現行の逸失利益算定方法は犠牲者にとって不合理,不公平ではないか」との疑問を提示し,その理由を地裁から高裁,最高裁へと展開する判例の詳細な検討を通して明らかにしつつ,それに代わる新たな方法を提案する。17年間に及ぶ著者の探求と知的誠実が結実した司法へのメッセージである。

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