気候は変えられるか? (ウェッジ選書 49)

著者 : 鬼頭昭雄

• ウェッジ (2013年11月1日発売)

作品紹介・あらすじ

酷暑、豪雨、台風。これまでにない記録的な気象現象の数々-。これから気候はどうなってしまうのか?そして、変わってしまった気候は変えられるのか?IPCC報告執筆者が解説、気候のしくみがよく分かる!

感想・レビュー・書評

[金沢大学地球惑星科学コースさんの感想 · 2020年7月20日]

私はこの本の「気候は変えられるか？」というタイトルに惹かれて読んでみようと思いました。この本はタイトルにある通り、酷暑・豪雨・台風などこれまでにない記録的な異常気象が観測されている現在、これから地球の気候はどうなってしまうのか。また、よからぬ方向に変わってしまった気候は良い方向に変えることはできるのかということについて議論されています。例えば気候変動により雨降らなくなった地域に人為的に雨を降らせるために人工降雨や降雪は可能なのかという議題です。ドライアイスやヨウ化銀を、飛行機によって雲中に散布することで雨の量を増やすという実験を行いましたが、その後の気候との因果関係の立証が難しく不明のまま研究を続け批判されています。このように、いくつかの気候変動についての科学的・技術的評価をIPCC(気候変動に関する政府間パネル)から引用し、その解説や気候の仕組みを知ることができる本です。また、各章の重要な言葉に関するコラムが載っていることもこの本の魅力です。序章に世界規模での気候に関する問題への取り組みと現状を述べ気候に関しての基礎・予備知識を与えている点や、話しかけられているような文体と細かい節、コラムは非常に親しみやすく読みやすいと感じました。　（地球惑星科学コース　4年）