都会の異界 東京23区の島に暮らす

著者 :
  • 産業編集センター
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863113046

作品紹介・あらすじ

ソロモン諸島、硫黄島、竹島……長年島を取材し続けたTVプロデューサーが「東京23区にある島」に着目。自ら都心の島に住みながら自転車で行ける天然島と人工島を10年にわたり検証。「都心の島に究極の理想郷は存在するのか!」を追求した先に見えてきたものは?思わず脱力の桃源郷ハンティングエッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 「日経テレ東大学」「家、ついて行ってイイですか」「ReHacQ」のプロデューサー、ディレクターで有名な高橋弘樹氏の著書。本人も緩いが、この本も緩い。コロナ禍、遠出が難しい時期に東京の島を巡ってみようという企画。高橋氏の人柄が存分に出ているようで、つまり、気軽に他人に話しかけたり、好奇心旺盛で妙な所に視点がいったり、一緒に散歩している感覚が楽しい。旅ではなく、散歩だ。俗っぽさが、懐っこさに感じ、ノスタルジーな感覚を刺激する。

    漁師の島である佃島、隠れビーチが存在する城南島、中之島、京浜島、勝島、平和島、昭和島、妙見島。空港行きのモノレールに乗ると、停車駅として耳にするものもある。しかし、ほとんど行った事がない。少なくとも意識的に島を楽しむような訪問などした事がない場所ばかりだ。

    そして、人。中年になって芸人を始めたような人や、小学生と友達になった釣り人オジサン。なぜか半裸な人たち。登場人物全てが緩い。いや島丸ごと、空間が緩く感じるのは高橋弘樹氏の視点だからこそか。

    忙しなく社会的な人間関係に疲れ、KPIで測られる日々に嫌気がさしたら、非日常ではなく、こんな日常の異界に逃れるのも悪くない。読書だってそうだ。とにかく、異界に避難。生産性至上主義に奴隷化されず、緩くいこう。

  • 東京の島というと小笠原や青ヶ島のような離島を思い浮かべますが、佃島や城南島も島なんですね。盲点でした。
    そんなまさに灯台下暗しの島を歩くチョイ旅の本です。
    佃島に行ったことは無いのですが、本で見るとまさに異界。東京の中心部とは思えないですね。行ってみたいな佃島。

  • 意外とある、23区内の「島」。
    どこも今となっては陸続きなので、あまり島と意識はしないのだけど。

    つい1か所行ってみたわ。

  • 東京の島=八丈島みたいなイメージが強くて、テレビで聞いたりする月島や佃島が本当に「島」であることをこの本で初めて知った。

    島人たちがみんな優しい。
    都会の喧騒を感じさせないゆったり感が魅力的な本でした。

  • 東京でない土地で生まれ育ったので、おそらくこの本がなければ知ることのなかったいろいろな島の存在を知ることができた。次東京に行ったら、ゆっくり島の時間の流れを感じてみたい。

  • <目次>
    第1章  早朝の佃島~銀座から4分、漁師の島に住む
    第2章  佃島観光~東京23区の島、観光してみた
    第3章  佃島の物件~月1.5万円で買える長屋
    第4章  城南島~絶景ビーチと、半裸のおじさんの島
    第5章  中之島~まさかの北区・赤羽に島?
    第6章  もう1つの中之島~ピンクに染まる小さな島
    第7章  夜の佃島~東京最古の盆踊り
    第8章  京浜島~『地球の歩き方』京浜島編
    第9章  勝島~まつろわぬ境界島
    第10章  平和島~絶景ビーチへの隠れ入り口
    第11章  昭和島~この島のような、父になりたい
    第12章  月島温泉~東京23区の島風呂
    第13章  妙見島~江戸川モン・サン=ミシェル

    <内容>
    島旅に憧れ、島に住みたい著者。でも仕事も家族もあるしで、東京23区内の島を探した。佃島だ。銀座直近なのに、北側の高層マンション群を避けて、江戸時代からの地域に入れば、えらく安いらしい。そこを拠点に、東京23区の島をめぐる部分と、佃島の生活部分。なんとも文学的で、何とも不思議な紀行文だ。   

  • これは旅情を掻き立てる本です。

    「遠くに行きたくなる」のではないです。
    なぜなら東京の島を巡る旅だからです。

    しかも東京の島といっても、伊豆諸島な
    どでもないです。

    都会の島を訪れるのです。

    モノレールに乗っていると通る昭和島や
    京浜島も、その名の通り島なのです。

    そこは、とても東京とは思えない風景や
    独特の時間が流れています。

    東京に住んでいれば、すぐにでも誰でも
    行くことができるのです。

    旅とは非日常の体験です。

    東京の島には本当に非日常の世界がある
    ことに気付かされます。

    すぐにでも、そんな身近な非日常を体験
    をしたくなる一冊です。

  • 中高生のころ、近場の京浜島や城南島にサイクリングに何度か行って、無機質とも違うなんとも言えない独特の空気感にドキドキしました。
    車の賑やかさ、車が主役といったような雰囲気、自転車で乗り込んで行っている自分は異物でしかないと痛感するようなヒリヒリ感。
    この本を読んでいたらあの頃に見ていた景色よりもだいぶ人間味があるように感じたし、だからこそまた久々に自転車で行ってみたくなりました。

    城南諸島(?)以外の島の話もどれも面白く、テレビでチラッとみてからずっと気になっていた妙見島にはもう猛烈に行きたくなりました。

    どの島にも「ちょうど行ってみようかな?」と思うほど島のあれこれを巧みに書かれているのがすごいです。面白かった!!

  • 湾岸の人工島は空港近くの平和島にドライブで行った経験くらいしかないが、確かにちょっと異界に迷い込んだような、ざわざわした感じがあった。写真がなるほどテレビマンらしい切り取り方だなと思った。
    イラストがちょっと謎で違和感があるが、まさしくこの違和感が狙いなのかもしれない・・・

    P10 いちばん幸せな暮らしとは何か?それは「市中の山居」だと思う。都会の中で、田舎のような住まいをすることだ。

    P16 時間をかけて、一つ一つの所作を丁寧に作りあげる過程に、楽しみと思想が詰まっている。東京で、魚を釣ろうという行為自体が、既に釣ることが目的であるはずがないのだ。考えれば当たり前のことが、忙しすぎると見えない。

    P23 佃島は、安土桃山、江戸、明治、大正、昭和、平成、令和という、7つの時代の息吹が感じられる稀有な島だ。

    P183 離島のテンプレの楽しみ方の一つは、「狭い路地をあえての迷子」→「そのうちガチで迷子」→「思わず海に出る」だ。

    P199 (京浜島への)移転は、公害対策の意味合いもあり騒音や振動が比較的大きい業種、廃液や臭気、粉塵を排出する業種などから優先的に選ばれたんだそう。【中略】当時はね、工場の休憩室に畳の部屋さえ作れなかったって聞きましたよ。人が住めないように。商店を出すのさえ特別な許可がいるんだ。

    P281 妙見島は、江戸川のモン・サン=ミシェルだ。そこは外界と隔絶された祈りの場だ。

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著者プロフィール

高橋弘樹
映像ディレクター。1981年生まれ、東京都・錦糸町育ち。早稲田大学政治経済学部卒業後、2005年テレビ東京入社。『家、ついて行ってイイですか?』『ジョージ・ポットマンの平成史』などを企画・演出。2021年よりYouTubeチャンネル「日経テレ東大学」の企画・制作統括を務める。2023年2月末でテレビ東京を退社。同年3月より自身が代表を務める株式会社tonariでビジネス動画メディア「ReHacQ(リハック)」を開設。同名のYouTubeチャンネルは数日で20万人登録を突破。著書に『1秒でつかむ』(ダイヤモンド社)、『TVディレクターの演出術』(筑摩書房)、『都会の異界 東京23区の島に暮らす』(産業編集センター)、編著書に『天才たちの未来予測図』(マガジンハウス)などがある。

「2023年 『ひろゆきツアーズ 世界ぐるっと物見遊山の旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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