世界から忘れられた廃墟 誕生・繁栄・破滅の物語
- 日経ナショナル ジオグラフィック (2022年10月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863135352
作品紹介・あらすじ
かつて栄華を誇った町、城、観光地、そしてさまざまな施設。地図からも記憶からも消えつつある、知られざる廃墟を巡る最後の旅。
世界中から40カ所のゴーストタウンを集め、「地図」「写真」「テキスト」で紹介。それぞれの場所について、その地の起こり、最盛期の様子、なぜ人々が去り廃墟となったのかを綴る。「地図」は地球上のどの辺りにあるかを示す大ざっぱなものと、現地の詳細なものの2種類を記載。「写真」では、在りし日の姿を忍ばせる朽ち果てた現在の姿を見る。「テキスト」はその場所をめぐる歴史の物語をわかりやすく解説する。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
何があったのか?かつての繁栄は何処へ?忘れたい歴史も?
放棄、破壊等、廃墟になった40の忘却の場所を紹介する。
空っぽの建造物・・・ビュユカダ孤児院、ドナチカ城など7カ所。
人が消えた場所・・・マンドゥ、コールマンスコップなど9カ所。
荒れ果てた観光地・・・八丈ロイヤルホテル、クパリなど10カ所。
旅の終わり・・・ウユニ車両基地、シティホール駅など6カ所。
放棄された施設・・・アカンペネ島、アルカトラズ刑務所など8カ所。
主要参考文献、写真クレジット、INDEX有り。
4~6ページに、その誕生と繁栄、破滅までの経緯の詳細。
カラー写真、地図、建物の見取り図等での構成。
廃墟になった原因は、
紛争、ソ連崩壊、原発事故の影響、疫病、汚染、過去の隠蔽、
鉱山の閉鎖、鉄道から道路への移行、老朽化、客の減少、
差別、手抜き工事、そして時代の変遷と自然の驚異など。
廃墟になったのは、
建設中の原発、ソ連赤軍の飛び地、軍関係の施設、刑務所、
孤児院、城、灯台、病院、神学校、教会、交通関連の施設、
観光地、モール、村や島、そして古代都市など。
かつてあった場所には、栄華もあれば悲劇もある。
ヒトラー出生の地、スタジオ「エア」があった地。
姥捨ての如く若い女性を捨てたアカンペネ島の、凄惨さ。
世界で2番目に大きな純木造建築物や稀有な存在の城の、衰退。
2004年のアテネオリンピックの名残りは、あまりにも悲しい。
過去からの脱却しての復興、再開発と再利用、
映画のセットなどの明るい兆しはあるが、それはほんの僅か。
多くは、年月が積んだ暗く重苦しい寂静感に、包まれている。
でも、これらの廃墟は氷山の一角。
日本だって八丈ロイヤルホテル以降、様々な廃墟が増殖してますし。 -
美しい廃墟の写真集。
デラースハイム(オーストリア)では、アドルフ•ヒトラーの秘密についても触れられている。激しい論争を巻き起こした説で、歴史学者には否定されているが、ハンス・フランクが回顧録のなかに書いたものだ。この説によると、ヒトラーにはユダヤ人の血が1/4交じっているらしい。
それぞれの廃墟の物語を垣間見ることができる。
人が居なくなった建造物は空虚で淋しい。 -
忘れ去られた場所〟〝顧みられなくなった場所〟〝住む者がいなくなった場所〟〝住めなくなった場所〟・・・世界から忘れられ廃墟となった場所、196箇所の写真図版と解説で綴られた、誕生・繁栄・破滅の物語。 未完成のまま放棄された原子力発電所(ポーランド・ジャルノビェツ)、 ハワイに行けなかった日本人のリゾ-ト地(八丈ロイヤルホテル)、 脱獄不可能とされた孤島の刑務所(カリフォルニア州アルカトラズ島)など、古今東西に点在する忘れられた場所をとおして、人間の記憶と未来を考える廃墟の物語。
-
同じ表紙の本があったな、と思い、本文の編集も前に読んだ廃墟ものの本と似ている。同じ本か?と思ったが違った。ナミビアのこの廃墟の表紙の本は「世界の美しくてミステリアスな場所」(パイインターナショナル2020刊)だった。
目を引いたのは、
「ビュユカダ孤児院」イスタンブール(トルコ)
木造のこげ茶の朽ち果てた建物。イスタンブール沖マルマラ海のビュユック島にある。うーん、離れ小島に孤児院・・・
「ピラミデン」スバールバル諸島(ノルウェー)
諸島最大の島スピッツベルゲン島にある。1910年にスウェーデンの企業が鉱脈を発見。1920年にノルウェーがスピッツベルゲン条約により領有権を得るが、開発権は英米日露などすべての加盟国に資源利用の権利があった。が、権利行使したのはロシア(ソ連)のみ。第二次大戦後に本格的な石炭採掘を始める。6万冊の本、プール、学校、そしてレーニン像の写真が。ソ連崩壊により1998.4.1に炭鉱は閉鎖された。
「ビュンスドルフ」ドイツ
東西ドイツ分裂の時期、ベルリンにほど近い東ドイツの領土に7万5千人前後のソ連の住民が暮らす壁に囲まれた地域があった。いわばソ連の飛び地のようなもので、東ドイツの住民も立ち入りには公式の許可が必要だった。地図には学校や百貨店、戦車修理工場、近衛連帯などの文字が見える。
「アル=ウラー」サウジアラビア
紅海方面メディナ北西400キロの黄土色の泥の廃墟。ここらへんは旧石器時代から人が住んだといい、旧約聖書のイザヤ書にも言及されているという。
「八丈島ロイヤルホテル」八丈島
1963年建設、2006年閉鎖。1960年代の伊豆諸島はハワイをあきらめて国内旅行を選んだひとたちに、日本のハワイといわれたという。だが気軽に海外にゆけるようになり閉鎖。
「ヘリニコン・オリンピック複合施設」ギリシャ
2004年のギリシャオリンピックの施設。草の向こうに野球場が見える。
「バラクラバ潜水艦基地」クリミア半島
冷戦時代の30年以上にわたってソ連の極秘潜水艦基地があった。戦後の米ソ対立から1957年建設開始。基地は1993年に閉鎖、世紀が変わるころウクライナに譲り渡され、2003年博物館となる。が、2014年残っている海軍基地がNATOの手に落ちるのを防ぐために、ロシアがウクライナからクリミア半島を奪って併合した。入口でプーチン像が迎える。地図では地下水路で潜水艦が通れるトンネル水路がある。
トラビス・エルボラフ、マーティン・ブラウン共著の本はこの本の他に「世界から消えゆく場所 万里の長城からグレート・バリアリーフまで」、「あの場所の以外な起源 断崖絶壁寺院から世界最小の居住島まで」いずれも日経ナショナルジオグラフィック発行。
2022.11.14第1版第1刷 図書館 -
廃墟の図鑑。写真集として見ると物足りなさを感じますが、歴史書としては読みごたえあり。解説と実際目で見た感想のバランスもよい。人工物に興味ありませんが、廃墟と化した途端に惹き付けられる不思議。自然に侵食されつつ完全に腐敗しきる前の不気味さと美しさにぞくぞくしました。
-
ホテル、病院、城、空港、テーマパーク……かつて人があふれていた場所も、打ち捨てられて崩れて行く。そんな廃墟の栄華と滅びの美を、文章と写真で紹介する。
図書館本。
アメリカとイギリスがやや多め。日本からは八丈島の八丈ロイヤルホテルが参戦。アルカトラズ刑務所といった有名どころも載っている。
写真よりも文章が多めで読み応えがあり、写真集とはちょっと違う。
期待と微妙にズレが。
写真が明るく綺麗なため、廃墟感が薄まってしまっている。廃墟を売りにした観光スポットか、下手をすると現役の建物に見えてしまうものも。
私は廃墟写真に鬱な雰囲気を求めるので不満があるが、逆に、廃墟の暗い雰囲気が苦手な方でも楽しめる本だと思う。
廃墟周辺の地図が載っているのも嬉しい。この本を持って観光に……行くにはサイズがちょっと大きいかな(笑)。 -
アリゾナのサンタクロースが廃墟とかしてるのは、何か切ないね。
-
改めて、自然の景観ではなく人工物が好きなんだなぁと再確認。
解説文は少々読み辛いけれど、その廃墟の来歴はしっかりと語ってくれているので楽しいは楽しい。 -
自分の目で見に行きたくなった。