世界奇想美術館 異端・怪作・贋作でめぐる裏の美術史

制作 : ナショナル ジオグラフィック 
  • 日経ナショナル ジオグラフィック
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本棚登録 : 255
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863135680

作品紹介・あらすじ

奇妙で不思議な美術作品はどうやって誕生し、なぜ忘れられたのか。多くの謎が残る古代の逸品、西欧美術史から零れ落ちた珍品、奇想の作品として著名な傑作、アウトサイダー・アートやモダン・アートの挑戦、そして古代から現代まであまたある痛快な贋作秘話など、疑問だらけの傑作・怪作・珍作・贋作を縦横無尽に語りつくす。収録図版270点以上。賢者の石のつくり方が暗号で記されているという『リプリー・スクロール』、キリスト教の宗教画に登場する犬頭の聖クリストフォロス、南米で誕生した火縄銃で武装する天使、無数の釘が撃ち込まれた像「ミンキシ」、キリスト教では宙に浮く聖人のいくつもの伝説、一方で冒涜を意図した『宗教の雛形』、果物や野菜の寄せ集めで人物を表現したアルチンボルド、死者の戴冠を描いた『1361年のイネス・デ・カストロの戴冠』、妖精画『お伽の樵の入神の一撃』、水中で描く初の画家として一世を風靡したザール・プリチャード、細密肖像画ブームで生まれた、言いようのない味わいがある『火焔に包まれる男』、心霊美術が生み出した、無名の画家たちの多数の作品、彗星のごとく画壇に登場したピエール・ブラッソーの正体……。「本書は、いわば裏の美術史案内であり、仮想の奇画珍画ギャラリーだ。取りあげるのは珍奇で異様な、いまではすっかり忘れられた作品ばかりだが、そのすべてに、作者の人生とその時代を伝える物語がある」──はじめにより

感想・レビュー・書評

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  • "THE MADMAN'S GALLERY"
    ©️ Edward Brooke-Hitching, 2022

    面白かった。美麗な作品の写真と、完結にまとめられた文章。
    結構読み応えがあって、満足した。
    たしかに、古いおおらかな時代の作品などは、性的表現も多く
    修復時にその部分を消されたりなど、悲惨なことも起きているが
    宗教的背景もあるので、理解はできる(許せないけど)
    それよりも、”善意による破壊”
    有名な慈悲の聖域教会で行われた、80代信徒セシリア・ヒメネスによる「この人をみよ」に施された”修復”はSNSでも話題になって目にした人も多いと思われる。こうして、書籍になっているのを見ると、本当にふつふつと怒りが湧く。
    日本からは魚拓、九相図、火消し半纏、屁合戦絵巻
    こういう系統の画集や解説本は色々出版されているが、
    作者のチョイスが私のツボに近かったため、
    とても面白く仕上がっている。
    こういうのはほんとに合うか合わんかだと感じた。
    古代の作品、世界的に著名な作品、モダンアート、盗難、贋作、冒涜やアートにまつわる興味深いエピソードなど。
    図版270点超

  • Edward Brooke-Hitching's 'The Madman’s Gallery' Highlights History's Most Enigmatic Artworks | Smart News | Smithsonian Magazine
    https://www.smithsonianmag.com/smart-news/the-most-enigmatic-odd-works-in-art-history-180981735/

    EDWARD BROOKE-HITCHING
    https://www.edwardbrookehitching.com/

    世界奇想美術館 異端・怪作・贋作でめぐる裏の美術史 | 書籍 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト
    https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/product/23/090700052/?n_cid=nbpnng_twad_book

  • これは裏の美術史。仮想の奇画珍画を集めた美術館へようこそ!
    ・はじめに
    目次には61の美術作品名。収録図版は270点以上。
    主要参考文献、索引、図版クレジット有り。

    それらは常軌を逸した摩訶不思議な、美術作品の数々。
    オーレ・フェルスのヴィーナスから始まり、
    人工知能が制作した絵画まで。
    日本では、魚拓、九相図、屁合戦絵巻、
    葛飾北斎の春画、火消半纏が紹介されています。
    補足するような作品を添えた、61の作品に込められた物語を
    興味惹かれる文章での解説は、読み応え&見応え有り。
    偽預言者の蛇身像、暗号、絵に潜む画家の姿、
    修復という破壊、美しい謎、「モナ・リザ」がいっぱい、
    世界最大の板画、異形、奇抜な宗教画、諷刺画、
    アンチンボルド、盗まれた作品、驚きの事実、平和な呪術、
    様々な顔と頭部、悪夢、マミーブラウン、空想?妄想?
    嘲笑、ダダ、心霊絵画と抽象絵画、シュルレアリスム、
    エタニティ、アウトサイダー・アートの幻視、
    様々な現代美術、悪戯と捏造等々。
    AIの作品はこれからも登場しそうな予感。
    グロテスク有り、極美有り、謎に満ちたもの有りですが、
    それらは想像と創造の賜物。鑑賞の味わいを感じてしまいました。
    お気に入りはジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージの
    「仮想の牢獄」。エッシャーやギーガーを彷彿とさせ、
    「ONE PIECE」のインペルダウンを夢想してしまったぞ。

  • 厚くて重い本。

    私は、ボス、ブリューゲル、
    象徴主義のオディロン・ルドン、ギュスターヴ・モロー、クリムト、アルノルト・ベックリンの「死の島」、ミレー、ラファエロ前派の画家、トーマス・コールの「タイタンの酒杯」「帝国の推移」が
    なぜか?好き。

    日本の百鬼夜行も好き。

    「奇想天外」という言葉があるけど世界中の奇想を集め、分類し解説するなんて大変だったろうなぁ~。
    それとも、毎日ワクワク楽しかったかしら?

    自分の好きな物の分析って興味深く、初めましてのものはドキドキ。

    さて、読み終えるまで何日かかるかしら?
    世界でシリーズ累計64万部超えのベストセラー最新作。
    お仲間?がどこかで読んでるのね。









  • 珍奇で異様な作品ばかりを集めた本。とはいえ高い評価を受けた作品ばかり。驚くような緻密さ、釘付けにされるような魅力を作者の来歴や作品の変遷と共に紹介しています。美術が好きな方、中でも奇画珍画に興味がある方はぜひ。同作家の『愛書狂の本棚』もおすすめです。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/803381

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著者プロフィール

英国王立地理学協会フェローにして、不治の域に達した地図偏愛家。BBCの人気クイズ番組「QI」にも携わる。古書店の息子として生まれ、現在もロンドンでほこりまみれのアンティーク地図と古本の山に囲まれて暮らしている。著者に『世界をまどわせた地図』『世界をおどらせた地図』『宇宙を回す天使、月を飛び回る怪人 世界があこがれた空の地図』『愛書狂の本棚 異能と夢想が生んだ奇書・偽書・稀覯書』(日経ナショナル ジオグラフィック)がある。

「2022年 『キツネ潰し』 で使われていた紹介文から引用しています。」

エドワード・ブルック=ヒッチングの作品

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