- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863241299
作品紹介・あらすじ
ピアノを弾くように、歌をうたうように綴られる言葉。
世界がいとおしくなる著者初、待望のエッセイ集。
『こといづ』とは「コトが出づる」という意味の造語です。
丹波篠山の小さな村で暮らす日々の驚きと発見、84歳のハマちゃん、98歳のシヅさん、
昔気質の大工職人スエさんをはじめとする愛すべき村人たちとの交流、映画音楽が
できるまでの苦悩と喜び、ソロモン諸島、エチオピアでの旅の話、自然と人間の
限りあるいのちについて……。ピアノを弾くように、歌をうたうように綴られる著者の
言葉を、2012年から現在まで続く雑誌ソトコトの連載から収録。この世界のすべてが
いとおしくなる、高木正勝さん初の書籍です。
感想・レビュー・書評
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昨年の秋に、高木正勝さんの「Marginalia」というアルバムと出会った。
私自身の気持ちが不安定な時で、ぼんやりと砂嵐の中に佇むような感覚でいた。
時間が無為に流れていくのを何とかするために、毎夜一周流して、聴いていた。
「マージナリア」のお話には、「文章の周りの〝余白〟に書き込んだ覚書」という意味、マージンには「縁•端」という意味もあると書いてあった。
境界のあわい、グラデーション。
今年は、余白という言葉に縁がある。
アルバムについては、ひと月に一枚、新しく買うことにしたので、今は四枚揃っている。
鳥の歌、雷の響き、蝉や名も知らぬ虫、風……ピアノが合わせる?ピアノに合わせる?いろんな音が楽しくて、優しい。
あらためて『こといづ』を読むと、自然の中のおうちの情景が浮かんできて、聴きながら、読みながら、嬉しくなった。
神様の木のお話、染色の色の表現、ハマちゃんとの他愛ない会話(ハマちゃんは、今もお元気なのだろうか)。とにかく、居心地が良い。
以下、印象に残った言葉を。
「やりたいことって、たくさんあるけれど、やるなら「ちゃんと」やりたい。ちゃんと勉強してから、ちゃんと準備してから、ちゃんと間違わないよう。ああ、けれど、「ちゃんと」ばかり先立つとやっぱり進まない、なぜだかおもしろくない。
僕は、この数年、特に震災以後、「ひとまず」やってみるのを大事にするようになった。自分ができるのかどうかわからない。いいかどうかわからない。だけど「ひとまず」やってみる」
「演奏している間、普段は目を瞑ってしまうけれど、瞑らないように気をつける。目を閉じると音にしっかり集中できて、自分のやりたいように演奏できて、それはそれで楽しいのだけれど、目を開いてみると、当たり前だけれど、現実があって、想像以上に僕は小さい」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
そのとき分からないものでも簡単に否定しないで、「今はわからない」でしまっておく。いつか「最高!」が「色褪せた」に変わったり、「わからない」が「そういうことだったのか」に変わったりする。
いろんな経験を自分の中に蒔いておくと、いつか芽吹くときがくる。自然と触れ合う経験もそう。 -
愛おしい生活の一瞬一瞬がたくさん詰まった本だった。何度でも読み返したい。
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真似できないけど自然に囲まれて制作するって
素敵だなー
大変なことたくさんありそうだけど
学ぶこともたくさんだろーな
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生命は冬に静かに育っている
誕生は、冬。 -
麗らかな言葉が並んでいて文章が美しい。
読み終わるとやさしくなっていて、心がぽかぽかしてます。人と自然の巡りを感じました。
最後の「めぐみ春」という詩と音楽、とってもお気に入りです。あ〜春が巡ってきたなぁ〜とソワソワ、ワクワクします。 -
高木さんの音楽も大好きなので、読んでいると音が聴こえてくるような文章でした。
こんなにも豊かに日常を見つめ感じていることがうらやましくなります。
大好きすぎて、人へのプレゼントにもしました。 -
田舎に越してから、周りの風景や人々への気づきと通い合う心。交流の産む豊かな生活と音楽。
優しい色使いの絵にも癒される。