花は泡、そこにいたって会いたいよ (新鋭短歌シリーズ37)

著者 :
  • 書肆侃侃房
4.23
  • (14)
  • (9)
  • (7)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 287
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863853089

作品紹介・あらすじ

あまりにも素晴らしくって、生涯手元においておくと誓った。
(下川リヲ 挫・人間)

いつかは忘れてしまうような一瞬一瞬を、全部思い出してしまう。
(山田航)



【5首】
イルカがとぶイルカがおちる何も言ってないのにきみが「ん?」と振り向く
カーテンがふくらむ二次性徴みたい あ 願えば春は永遠なのか
どこででも生きてはゆける地域のゴミ袋を買えば愛してるスペシャル
エスカレーター、えすかと略しどこまでも えすか、あなたの夜を思うよ
ふるえれば夜の裂けめのような月 あなたが特別にしたんだぜんぶ

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 短歌についてはよく知りません。
    勉強したこともありません。
    ただ好きな歌集を読んだことが、数えられるくらいあるだけの素人です。

    だけど、いい歌はわかるような気がします。
    いい歌って何か新しいことに気が付いた時に生まれている気がします。

    解説の山田航さんによるとこの歌集の作者の初谷むいさんは短歌のリズム感覚のテクニックがたいへん新しいそうです。
    1996年生まれの北海道在住の歌人だそうです。
    心が打ち震えるような新しい感覚の歌がたくさんありました。


    ○花冷えのきみを抱くとききみの持つとてもきれいな精液の海

    ○わたしビーアンビシャス今すぐここに来てひとりじゃできないことばっか好き

    ○思い出としての機能を持たない日重ねて少しづつ年を取る

    ○ふるえれば夜の裂けめのような月 あなたが特別にしたぜんぶ

    ○待ち合わせでばかみたいにお互いを探してそしてはじめる日のこと

    ○もしあなたが突如有料になったならぼくはお金を払うそれが愛になる

    ○なにになったらわたしはさみしくないんだろう柑橘系の広場の中で

    ○届かない言葉としての心臓だ 触れない背中に浮かぶ汗染み

    ○目の白いとこの面積すらもすきだいじにくるんでおきたいこころ

    ○ぼくたちは狂っていたけど降りかかる雪がふたりを水でつないだ

    • 夜型さん
      まことさん。

      女子高の出身だったのですね。
      花巻から通っていたお嬢様が新幹線で…っていうと東北のほうですか。
      賢治のルーツに近いのですね。...
      まことさん。

      女子高の出身だったのですね。
      花巻から通っていたお嬢様が新幹線で…っていうと東北のほうですか。
      賢治のルーツに近いのですね。

      宮沢賢治はとてもヘンな男なので、僕は宮沢賢治も好きな詩人ですよ。彼の作品は読みづらい時もありますね…。
      2022/01/10
    • 夜型さん
      ああ、もうこんな時間に……おしゃべりに付き合わせてしまい、申し訳ない。
      まことさんのことをまたひとつ知りました。
      どうもありがとうございまし...
      ああ、もうこんな時間に……おしゃべりに付き合わせてしまい、申し訳ない。
      まことさんのことをまたひとつ知りました。
      どうもありがとうございました。
      2022/01/10
    • まことさん
      夜型さん。

      宮澤賢治は花巻出身です。
      賢治の生涯については、派生した、小説を何冊か読んで知りました。
      いいね!どうもありがとうございました...
      夜型さん。

      宮澤賢治は花巻出身です。
      賢治の生涯については、派生した、小説を何冊か読んで知りました。
      いいね!どうもありがとうございました。
      おやすみなさい。
      2022/01/10
  • 初谷むいさんの第一歌集。先に第二歌集のほうから読んでいたからわりと落ち着いているなという印象を受けた。

    それでも定形をあえて崩し独特のリズム感をもたらすテクニックというかセンスは流石で、あとがきのところにも書いてあるが息継ぎまでも短歌に織り込んでいるような繊細さが際立っているのが魅力の歌人です。

  • 何日もかけて読んだ。
    私は私、あなたはあなた、ありのままでいること。
    いつの間にかそんな当たり前のことすら忘れていた。
    気づかせてくれてありがとう。今日はよく眠れそう ぽやしみ。

  • むいさんの詠まれた"精液"はどこか神聖で浮世にはないような自らが性的嫌悪であってもするりと言葉として落ち着く。驚くことにそこに卑猥さがない。初々しく、冒険的で、本当に読めてよかった。

  • お世話になった人から教わった最初で最後の本
    これまであった「型にはまったもの」というイメージだったものをまるでひっくり返してくれました
    現代的な言葉遣い 少ない文字数で表される小さな心の揺れ
    瞬間瞬間を切り取るような短歌に共感したりそんな景色を見てみたいと思ったり
    恋をしているような気分でページをめくりました
    次はどんな気持ちを教えてくれるのか 逸る気持ちを抑えながら一首ずつ丁寧に読み砕くよう努力しました
    この本をきっかけに現代短歌の良さを知ることができました
    本当にありがとうございます

  • こんな風にかわいくてやさしい言葉だけで大事なことをすくいとって本にしてしまえるなんて、すごい。読んだことがない、と思った。ぽやしみ、って、なに?

    -

    きみが生きているのがつらいふとももから鋏をいれてはだかにならなきゃ

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1996年生まれ、札幌市在住。第一歌集『花は泡、そこにいたって会いたいよ』(書肆侃侃房、2018年)、第二歌集『わたしの嫌いな桃源郷』(書肆侃侃房、2022年)。

「2023年 『現代短歌パスポート1 シュガーしらしら号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

初谷むいの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
恩田 陸
千種創一
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×