あの日の海 (現代短歌クラシックス09)

著者 :
  • 書肆侃侃房
4.50
  • (1)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 36
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863854970

作品紹介・あらすじ

【収録歌より】
カーテンに春のひかりの添う朝(あした)はじめて見たり君の歯みがき
含み笑いをしながら視線逸らしたる生徒をぼくの若さは叱る
さびしさを押しつけたから君はもう静かな海をぼくに見せない
掌(て)の中に燃ゆるさびしさ 点さんと花火さがせどさがせども闇
生徒らの脳に蛍があふれいて進学試験の教室ぬくし
パキシルに統べられぼくの脳(なずき)にもセロトニン舞うゆあーんゆよーん

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 復刻版ということで、早速購入。
    胸騒ぎ、寂寥感、ほんの少しの希望を抱く。
    人のぬくもりや街のにおいみたいなものを想像し感じつつ付箋はりはり。
    教師だった頃の苦悩や生徒への愛情が伝わってきて冬の入試シーズンにほっこりしてしまう。
    触発されて私も作ってみた
    数学の最終問で時間切れアラーム鳴りて目覚める睦月

    すきな歌厳選
    プルタブを持ちあげたとき潮騒に消えゆく君の嗚咽を聞いた
    「教員の方が辛いわよ」ぼくなどに本音は言わぬ介護士である
    生徒らの脳に蛍があふれいて進学試験の教室ぬくし
    解答をあきらめた順に生徒らは机に伏して航海に出る
    思い出を語らず歩く焼き牡蠣がぷしゅと破れる商店街に

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

1977年茨城県生まれ、埼玉県に育つ。
歌集に『あの日の海』(本阿弥書店、2011年)、『人魚』(角川書店、2016年)、現代短歌クラシックス『あの日の海』(書肆侃侃房、2021年)がある。
短歌同人誌「外出」「西瓜」同人。短歌結社「まひる野」編集委員。

「2023年 『初恋』 で使われていた紹介文から引用しています。」

染野太朗の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×