絶望読書――苦悩の時期、私を救った本

著者 :
  • 飛鳥新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864104876

作品紹介・あらすじ

悲しいときには、悲しい曲を。絶望したときには、絶望読書を。

感想・レビュー・書評

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  • 立ち読みで半分読み終わった。
    本に吸い込まれた、、、

    買って4時間ほどで読み終わっていた。
    めくる手が止まらなかった。

    自分には
    心に響いたところに付箋を貼る癖があるんだけど
    貼った付箋は40枚を超えた

    いまうつ病真っ只中の自分を救ってくれた。
    お守りの一冊だ。この本があれば、これからどんなことがあろうと大丈夫だと思えた。



    ぜつぼうしたとき、いちばん大切なこと

    絶望した時、まず何が必要でしょうか?
    立ち直りの方法でしょうか?
    励ましの言葉でしょうか?

    それより前に必要なものがある、と私は思うのです。

    絶望は[瞬間]ではなく[期間]

    という書き出しで始まります。


    絶望したときには、まずはどっぷりと絶望にひたり、あまりすぐに立ち直ろうとしないことが大切なのです。
    海に落ちたら、誰だってすぐに浮かぼうとしてあがきます。海でいったん深くまで潜ったときには、あまり早く浮かび上がろうとすると、かえって潜水病になってしまいます。 本文より引用。


    そんな素敵な、絶望に寄り添ってくれる本です。
    そして、そんな絶望の時期にオススメの本や映画、ドラマを紹介してくれる本です。

    決してただの励ましではなく。

  • 書籍紹介の本が好きで結構な頻度で読んでいるけど、「絶望した時に寄り添ってくれる本」というアプローチは新鮮に感じた。

  • 療養等で、こもり気味になっている人に

  • これは面白い本。わたしも数年間絶望していた経験があるからよくわかる。絶望しているときは励ましではなく共感を。一緒に泣いてくれることが一番うれしい。わかる、わかる。当時、ずいぶんと本にも救いを求めた。わたしの場合は、ナチスの迫害を逃れた人の本とか、ドリアン助川さんの本とか。苦境の中で生き抜いた人のもの、真に生きるとはどういうことかといったテーマのものが多かったかな。あ、赤毛のアンシリーズにもけっこう救われたな。ローラの「長い冬」とか、児童文学には素晴らしい作品が多いよなー

    ただ、この本の中で著者が言われるように、特段、明るい本ではなく暗い本を、とは思わなかったのだけど。カフカの「変身」、読み返してみたくなった。
    あとイタリアのディーノ・ブッツァーティという人の本も読んでみたい。『神を見た犬』に入っている「七階」という作品に興味がわいた。

    p42
    しかし、その人生の物語の脚本を書き直さなければならないときがあります。
    とくに、絶望的な出来事によって書き直さなければならないときは、それはとても困難です。
    人生が混乱し、本来の人生を失った気がして、新しい人生は受け入れがたく思えます。
    そういうときそういうときに、なんとか脚本を書き直して、その後の人生を生きていくためには、書き直しの参考となる、物語が必要です。
    それが、カフカの言うところの「必要な本」であり、「苦しくてつらい不幸のように……ぼくらに作用する本」ではないでしょうか。
    「ぼくらの内の氷結した海:つまり、これまでの物語にとらわれて、こり固まってしまった心を、「砕く斧」としての絶望の文学です。

    P71
    自分はいくら悲しみにひたっていようとしても、周囲がそれを許してくれないことも少なくありません。

    たとえば、絶望で倒れこんで、立ち上がれない人がいるとします。
    倒れた当初は、たいていの人が同情してくれますし、心から心配してくれるでしょう。

    問題はここからです。
    倒れている人が、「肩をかしてもらえるのはありがたいんですが、まだ無理なんです。前を向いて歩くどろころか、起き上がる気にもなれないんです」と返事をしたとします。
    すると、さらにしばらくは待ってくれるでしょう。
    でも、だんだんと周囲の人たちは、いらだってきます。
    「せっかく人が肩をかしてあげると言っているのに、なぜ立ち上がろうとしないんだ」と、親切だったはずの人が不機嫌になってきます。
    さらには「だいたい、そんなふうだから倒れるようなことになるんだよ」などと悪く言い始めます。
    ついには、「迷惑だから、どこか見えないところに行って倒れててくれ」と見捨てむしろ憎み始めます。

    p89
    「私の気持ちは、誰にもわからない!」という気持ちを、本はわかってくれます。
    それどころか、自分でもよくわからない、もやもやした気持ちまで、「まさにこういうことなんだ!」と感動するほど、見事に言葉で表してくれます。

    UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)が行った研究によると、ストレスが高い状況にさらされたとき、「それを表現する言葉がある」と、ストレスホルモンの放出が抑制され、ストレスが鎮まるそうです。
    絶望し、孤独に陥ったとき、そういう気持ちを言葉で表してくれる本を読むことは、それだけで、絶望や孤独をいくらか癒してくれるのです。
    それは実感としてもたしかですし、こういう科学的な裏づけもあるのです。

  • 「絶望の期間をどう過ごすか」が腰低く書いてある。そんなに謙遜しなくても、
    私はこれ読んで絶望から抜け出た感じですよ。
    このままでも生ける、この本また読めば、これあるから生けるって思ってぞわぞわした。

    前半部分の解説っぽいところなんて、
    私の気持ちそのままことばになっていて感動した。
    私が本を読むのも、好きだからというだけでなく、こういう理由だったんだわ。

    一時期『カラマーゾフの兄弟』にはまり、違う訳者さんで3つのカラマーゾフ読んでた。
    3つ目の前半でぱたっと止まってしまったけど、
    なんでこんなにのめりこんで読んだのか納得。
    また3人目の訳者さんのカラマーゾフ読み始めようかな。

  • 物語の力とは何か?私はずっとモヤモヤとしていた。物語や小説は「ただの作り話」で、そんなもの読んだからってただの嘘っぱちじゃないか、と主張されると価値がないように思える。なぜ私は物語を読むのか。読むことによって何が満たされるのか?言い表せない疑問があった。

    この本に、その疑問への一つの答えが書いてある。
    人間が絶望したとき、立ち上がれないときに、物語の世界が、絶望によりそうこと。

    後半のおすすめの本の紹介も興味深いが、前半の絶望の状況と物語の関係の説明が衝撃的に真実を言い当てていると感じた。

  • 私が 絶望していたときには
    残念ながら 本を一冊も読まなかったのですが
    この 絶望読書を読んでいたら
    きっと 心を慰めてくれる本を
    探したのに
    と残念に思います

    きっと 今なら
    少しは理解できるかも
    と思って
    お勧めの絶望読書を
    読んでみたいと思いました

  • この本を読んで、「物語を読む、知るとはどういうことなのか」を考えさせられた。人間は誰しも絶望を感じることがある。様々な物語を知っていれば、少しでもその絶望や不安を軽くすることができる。本文中の外国小説の紹介で知的障害のある女性の話はとても印象的だった。
    文中にたくさんの名言が散りばめられていて面白かった。また、本や映画の紹介もされていて面白かった。太宰治の「待つ」など、気になった作品に触れてみようと思う。

  • S図書館
    救われる内容の本
    絶望したとき寄り添ってくれる絶望な本が必要だ

  • 古典にはバッドエンドが多いというのは、確かにそうだと感じていたし、的を射ていると思った。
    水木しげるが戦地でお守りは捨てても「ゲーテとの会話」だけは捨てなかったことを知り、それだけ面白いなら読んでみたくなった。
    絶望した時には読書しよう、実際リラックス効果あるみたいだし。

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著者プロフィール

頭木 弘樹(かしらぎ・ひろき):文学紹介者。筑波大学卒。大学三年の二十歳のときに難病になり、十三年間の闘病生活を送る。そのときにカフカの言葉が救いとなった経験から、2011年『絶望名人カフカの人生論』(飛鳥新社/新潮文庫)を編訳、10万部以上のヒットとなる。さらに『絶望名人カフカ×希望名人ゲーテ 文豪の名言対決』(草思社文庫)、『ミステリー・カット版 カラマーゾフの兄弟』(春秋社)を編訳。著書に『食べることと出すこと』(医学書院)、『落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ』(ちくま文庫)、『絶望読書』(河出文庫)、『カフカはなぜ自殺しなかったのか?』(春秋社)、『自分疲れ』(創元社)。ラジオ番組の書籍化に『NHKラジオ深夜便 絶望名言』(飛鳥新社)。名言集に『366日 文学の名言』(共著、三才ブックス)。編者を務めたアンソロジーに『絶望図書館』『トラウマ文学館』(共にちくま文庫)、『絶望書店 夢をあきらめた9人が出会った物語』(河出書房新社)、『ひきこもり図書館』(毎日新聞出版)がある。NHK「ラジオ深夜便」の『絶望名言』のコーナーに出演中。日本文藝家協会、日本うんこ文化学会会員。

「2023年 『うんこ文学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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