- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784864106900
感想・レビュー・書評
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学校の日本史で宗教の名前を教わった意味がやっとわかったような気がしました。宗教が経済にどのような影響を及ぼしているかを学べて面白かったです。
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京都五山、鎌倉五山、加賀の一向一揆、信長があらゆる意味で手を焼いた本願寺や延暦寺などがなぜ武士の時代にお金と権力と武器を持って台頭したか?をとてもクリアに説明してくれる、目から鱗な一冊。マーケティングなんて言葉が存在しない時代の最高のマーケター、商売人はお坊さんたちでもあった。
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上念司さんの経済で読み解く日本史 室町戦国時代を読了しました。
テクノロジーが今と昔とでは段違いだけどそれでもベースとなる人間はそんなに変わらない。
でもこういう歴史の本を読むとやっぱりわからないなーとなっちゃう。
なんで当時の人は、あんなに戦ばかりしていたのだろうとやっぱりそう思ってしまうな。
江戸時代以降そんなに戦は多くなくなったがやっぱりこういう時代の反省みたいなのがあるのかな? -
教科書で学んだ日本史に対し、本書は経済状況を与えてくれるため、当時の寺社勢力、室町幕府、武将たちの行動意図が良く見えてくる。個人的にはこの時代での宗教による経済支配の大きさに驚いた。
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【概略】
日本の歴史を経済的な観点から紐解いたら、何が見えるのか?室町時代から平成時代までを6冊に分け、各時代の背景や出来事を貨幣量や米価、また経済学の考えから、事実に登場人物の「意図」を織り込んでいく。本書は第1巻として、室町・戦国時代を読み解いてみる。
2023年12月02日 読了
【書評】
えっとね・・・面白いよ、この本は!「経済」「経済学」という要素が(それを知らない・それに疎い人にとっては)難しいと思えてしまうかもしれないけれど、そこは実は大きな問題ではなくて。もちろん知識があった方がより深く楽しめるのだけど、そうではない、浅いレイヤーでも大いに読み楽しめるね。
だって現代でいうところのVシネだとか島耕作だとか半沢直樹だとか、そういった要素が凄いもの。本書では「越後屋システム」(商人、場合によってはお寺とお代官、場合によっては武将の Win-Win な関係)をわかっていれば楽しめちゃうのよ。著者である上念さんは全くそんなつもり(宗教的な観点から特定の寺社・・・とりわけ仏寺を批判するというつもり)はなくて、あくまで社会システム・経済システムとして語っているのだけど、もう脳内で登場するお代官様と越後屋が、Vシネ俳優っぽい感じで笑える笑える。
「そりゃ信長は、本願寺を焼き討ちするよなぁ」なんて思いながら読んでしまった。一般の方達・市井に生きる人達・・・自分みたいな立場だね・・・そんな人達は精神的な拠り所として宗教というものを見るだろうし、多くの方達の宗教へのイメージは、自分のイメージとそれほど変わらないと思う。でも経済システムとしての宗教、ここでは京都五山であったり比叡山であったり本願寺であったり日蓮宗であったりは・・・もうね・・・誤解を恐れずに言えば・・・反社会的勢力と何が違うのだろうぐらいな(笑)大河ドラマ「平清盛」で定期的に強訴のシーンがあったけど、あれって現代で言えば・・・・・・・・・おっと、誰かが来たようだ。
誤解のないように、こんな書き方をしてるから仏教を、宗教を否定していると思われるかもだけど、そうではないからね。具体・抽象のレイヤーを「イチ個人」、しかも一般の人というところで見ると、やはり宗教は「そばにあるもの」なんだよ。現代では、そばにあるものが多過ぎてありがたがられることが少なくなった宗教だけど。
あともう一つ面白いと思ったのが、「事実」に色々な「意図」であったり著者による「推測」、そして現代的な「たとえ」を加えることによって、エンターテイメント色が強くなった「真実」として楽しめることができること。そしてそれは「歴史は面白い」につながっていること。
教科書って、(他の国の教科書は不勉強だからとりあえず日本の教科書って)無味乾燥じゃない?〇〇年、〇〇が△△した、みたいな出来事の羅列なだけで。だから若い時は、機械的に暗記できる能力を持っている人間が点を取るという意味では有利だったわけじゃない?教科書だから可能な限り「無垢」でいるべきだ・・・ってことだと思う。誰かの思想であったり推測であったりは極力排除しないとって力が働いてる。で、それが無味乾燥につながり、面白くなくなっている。本当は各歴史学者さんの独自の「(歴史上の人物に対する)人物像」であったり「(各出来事に対する)評価」まで加わって面白くなるのに。本書では経済という要素と、著者の現代にパラレル(たとえる)する表現で、事実を真実に昇華してくれてた。それが面白く読めた最大の要因となったね。
「歴史から学べることは沢山あるはずだ」なんて部分は、この事実を取り巻く真実要素じゃないかなと思う。真実は一つじゃなくて、相手側から見える真実とこちら側から見える真実は、必ずしも一緒じゃないよね。奇しくも本願寺(浄土真宗関連)で吉崎にまつわるエピソードが出てきたのだけど、数年前に浄土真宗の方達が創られた「なぜ生きる」ってアニメを観たのよね。そっちはもちろん宗教色が強い作品ね。でも本書では、強い団体としての描かれ方がされてたね。大河ドラマ「どうする家康」でも一向一揆のあたり、寺内町という言葉が出てて。あれも、あの町で一つの経済圏になってたものね。面白い。
次の安土桃山時代も既に手元にあるから、早く読みたいね。 -
ポイントは寺社がたんに海外に僧を派遣するだけでなく、それ自身が巨大な商社でもあり、権力機構でもあること。経済と宗教の切り離しが信長や秀吉の課題となる。
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経済の視点から日本史を見ると、当時の各勢力の考えがわかって面白かったです!
歴史上の出来事の「意図」をもっと教えるべきという考え方にも共感できました。 -
面白かったが、最初は経済的な知識を学べたが途中から当時の宗教ネタばかり。細かくて途中から関係性がこんがらがった。あとがきの日本の歴史教育は意図を教えてないというのは同意。
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日本史の教科書には足りない歴史的な出来事を
起こした人々の「意図」「背景」まで踏み込んで
語っている。また歴史的な出来事の羅列ではなく、テンポよく文章化されているので、読んでいても時間の経過を感じない。室町時代の貨幣経済の仕組みなどの解説でサラリと経済学の知識が使われており、このシリーズを読むと同時に経済学の勉強もしたいと感じた。 -
上念さんの分かりやすい例えがふんだんに使われており、室町時代のことがすっと理解できた。「カネ」にまつわる話は古今東西同じですね。