続日本先史考古学史の基礎研究 山内清男の学問とその周辺の人々

著者 :
  • 六一書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864451598

作品紹介・あらすじ

本書は,著者が2008年以降発表した学史関係論文のうち,「縄紋学の父」・山内清男(やまのうち・すがお)博士に関わるものを選んで一書となしたものである。
 先年刊行した『日本先史考古学史の基礎研究』(六一書房 2008年)や『日本先史考古学史講義』(六一書房 2014年)を読んでくださった読者には,もう十分におわかりかと思うが,「山内清男」という人物は,日本の先史考古学研究の基礎を作り上げた偉大な学者である。それなのに,一般の人々にはほとんど名前が知られていない。「考古学」という学問自体が世間ではあまり馴染みのあるものでないことも理由の一つであるが,いわゆる商業出版社を通じて専門書や啓発書をあまり多く世に出していないことが最大の理由であろう。「売れる」書籍を刊行するためには,出版社側の要望に対して柔軟に妥協しなければならないが,学問一筋であった博士はそうした安易な妥協はほとんどしなかったのである。今,博士が関わった数少ない一般向けの書籍を繙いてみると,とても世間一般の読者が理解できるものとはなってはいない。一方,専門研究者向けの機関誌に寄稿した論文を通観して感じるのは,「わかる人がわかればそれでよい」という態度で執筆していることで,挿図が少なく,データの提示も極力省略している。したがって,現在の若い学徒が博士の論文集(『山内清男・先史考古学論文集』)を読んでも真意をとらえることは困難であると思われる。
 著者は大学で考古学を組織的に学んだことはなく,職業も考古学とは無縁な高校教師であった。学窓を出てから今日まで,常に座右に置いて自分の考古学研究の拠り所としたのが『山内清男・先史考古学論文集』であった。そこで学び得た成果をまとめたのが上述の二つの書籍と本書である。著者の山内考古学研究の基本姿勢は,眼前にある考古学的課題を解決するために山内博士の論文からその鍵を得ようとするものであり,原典を分析して新しい発見をすることに重点を置いている。通常の考古学史関係の書籍とはその点が多少異なっていることを最初にお断りしておきたい。
 山内博士の考古学は,それまでの日本先史考古学の成果の上に立ちながら,生物分類学・比較解剖学・遺伝学・自然人類学ならびに欧米の先史考古学や民族学の知識を駆使して構築したものである。あまりにも多岐にわたる教養を基盤としているので,そのすべてを一人の研究者が理解するのはほとんど不可能であるといってよい。著者の研究成果は,「山内考古学」のほんの一面を覗いただけのものであり,恥じ入る次第であるが,本書を通じて「山内考古学」に関心を抱く若い研究者が少しでも生まれることを願っている。
(本書序文より)

著者プロフィール

1951年 千葉県に生まれる
1974年 中央大学文学部史学科卒業
1974年~2011年 千葉県立高等学校教員
2012年 学位(博士 史学)を中央大学より受ける
2013年~2015年 中央大学非常勤講師
2017年~2021年 立正大学非常勤講師
現 在 下総考古学研究会 代表

「2022年 『続日本先史考古学史の基礎研究 山内清男の学問とその周辺の人々』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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