火の後に: 片山廣子翻訳集成

著者 :
  • 幻戯書房
4.50
  • (1)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 35
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864881340

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今現在、たぶん一番買い求めやすい片山廣子の翻訳作品集。これで初めて幻戯書房の名を知った。独創的なラインナップでけっこう気になる出版社。ちょっと前に日和聡子の『おのごろじま』が気になっていたのを思い出す。読まねば。
    そして今月刊行予定の『片山廣子幻想翻訳集 ケルティック・ファンタジー』のため正座待機。

    小説と戯曲と詩。著者も形態も作風も様々な作品の翻訳をキュッと詰め込んだ充実の1冊。頁数は思ったより控えめながら、広い紙面にたくさんの文字数、時に2段組みでぐいぐい読ませる。さらりと軽めの本づくり、中身は多彩にずしりと重い。素敵。
    大正時代が思ったより昔でないのか、訳者が特別優れた訳業をしているのか、訳文に古くささもぎこちなさもないなと再確認(台詞回しにだけは昔の文学作品の「らしさ」がある)。モダンな作品はモダンに、古雅な作品は古雅に写しているから、やはり後者か。「兎と亀の実録」は電子書籍の『51の物語』でも読んだけど、片山廣子訳のほうが端正。あっちはもしかして、名詞を名詞のまま訳しすぎなのかな。
    多彩な中に特に目を惹いたのがミステリ作品。こういうものも訳していたとは。アイルランド文学、ケルト文芸復興関連の作品から入った身としてはとても新鮮。何より単にとても面白かった。リヴィングストン「ホテルの客」、盗人、不良探偵、その相棒、警察の御用探偵が続々集まって、それぞれの思惑で動くスリルがたまらない。最後にうまいことまとめてしまったトレイナーに拍手(途中の泥臭さに自ら報いた!)。しかも締めのグランヴィル夫人の台詞が秀逸。「Ⅴ 資料」から、訳者も楽しく読んだのだろうと思われて嬉しくなってしまう。

  • 伝説の才人ですって、、、

    幻戯書房のPR
    http://genkishobo.exblog.jp/25729362/
    http://genkishobo.exblog.jp/25910686/

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

片山 廣子(かたやま・ひろこ):1878~1957年。東京生まれ。歌人、随筆家、翻訳家。東洋英和女学校卒業、佐佐木信綱に師事し歌人として活躍、歌集『翡翆』『野に住みて』を出版。松村みね子の筆名で、シング、イエーツなどのアイルランド文学の翻訳を手がけ、坪内逍遥、森?外らに高く評価された。1953年刊の随筆集『燈火節』(暮しの手帖社刊)は第3回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。芥川龍之介の思い人としても知られ、『或阿呆の一生』に登場する。

「2024年 『片山廣子随筆集 ともしい日の記念』 で使われていた紹介文から引用しています。」

片山廣子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×