- Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
- / ISBN・EAN: 9784864881340
感想・レビュー・書評
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今現在、たぶん一番買い求めやすい片山廣子の翻訳作品集。これで初めて幻戯書房の名を知った。独創的なラインナップでけっこう気になる出版社。ちょっと前に日和聡子の『おのごろじま』が気になっていたのを思い出す。読まねば。
そして今月刊行予定の『片山廣子幻想翻訳集 ケルティック・ファンタジー』のため正座待機。
小説と戯曲と詩。著者も形態も作風も様々な作品の翻訳をキュッと詰め込んだ充実の1冊。頁数は思ったより控えめながら、広い紙面にたくさんの文字数、時に2段組みでぐいぐい読ませる。さらりと軽めの本づくり、中身は多彩にずしりと重い。素敵。
大正時代が思ったより昔でないのか、訳者が特別優れた訳業をしているのか、訳文に古くささもぎこちなさもないなと再確認(台詞回しにだけは昔の文学作品の「らしさ」がある)。モダンな作品はモダンに、古雅な作品は古雅に写しているから、やはり後者か。「兎と亀の実録」は電子書籍の『51の物語』でも読んだけど、片山廣子訳のほうが端正。あっちはもしかして、名詞を名詞のまま訳しすぎなのかな。
多彩な中に特に目を惹いたのがミステリ作品。こういうものも訳していたとは。アイルランド文学、ケルト文芸復興関連の作品から入った身としてはとても新鮮。何より単にとても面白かった。リヴィングストン「ホテルの客」、盗人、不良探偵、その相棒、警察の御用探偵が続々集まって、それぞれの思惑で動くスリルがたまらない。最後にうまいことまとめてしまったトレイナーに拍手(途中の泥臭さに自ら報いた!)。しかも締めのグランヴィル夫人の台詞が秀逸。「Ⅴ 資料」から、訳者も楽しく読んだのだろうと思われて嬉しくなってしまう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
伝説の才人ですって、、、
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