片山廣子幻想翻訳集 ケルティック・ファンタジー (銀河叢書)

制作 : 未谷おと 
  • 幻戯書房
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本棚登録 : 46
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (411ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864882071

作品紹介・あらすじ

大正期、アイルランド文芸復興運動に日本から連帯した翻訳家・松村みね子(筆名)。
芥川や鷗外が激賞した美しき夢想の徒による、野蛮かつ荘厳な、精霊の息づく世界。

目がさめてみたら夢のなかでさづかつたのがまさしく枕上にあつたといふやうな本に等しい――三島由紀夫
若き天才が熱狂したケルト綺譚『かなしき女王』、一世紀を経て、初の完全再録

感想・レビュー・書評

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    資料室だより №67 東洋英和女学院
    特集:片山廣子と東洋英和 東洋英和の宝"廣子とみね子"与那覇恵子
    https://www.toyoeiwa.ac.jp/kaihoushi/images/siryo67.pdf

    2020年10月の新刊 1 銀河叢書に片山廣子翻訳のケルト綺譚ほかが加わります。 : 幻戯書房NEWS
    https://genkishobo.exblog.jp/28231886/

  • 幻戯書房から最近刊行。ビビッドなカバーが目を惹く。本文はほんのり淡く見えて優しい風味。
    マクラウド「かなしき女王」、夏目漱石「幻影の盾」現代語訳、F・W・ベイン「印度風奇譚」3篇、アイルランド民話4篇、「燈火節」より12篇を収録。単行本初収録のものもあるとのことで、編集者(愛好者)の情熱が垣間見える。

    片山廣子の訳業から、ケルトの魂に源流を辿る幻想作品を中心に編纂した1冊。「かなしき女王」は単行本も文庫本も出ているのだけど、初掲載時のものを併録している点が珍しいところ。掘り出して、しかも収録してしまう執念と努力。マニアックだ……。ちなみに私は(今のところ)単行本だけ持っていて、今回これで現代仮名遣い版を得た。単行本の見た目含めた古色がとても好きでありつつ、こっちもこっちでやはりいいもの。こんな本が今もって出る嬉しさ。やはり根強い人気があるんだなあ。
    今回何より心惹かれたのがベインの翻訳。印度風綺譚、全作訳してほしかった……! 訳者本人は力不足を詫びているけどとんでもないと思う。訳者の納得いくレベルまで突き詰めたらいったいどんなものになったのかと恐ろしい。「闇の精」以外は一部分のみと抄訳とのことで、惜しさもひとしお。もっと読みたかった。
    「闇の精」のナタブルクテが語る、めくるめく歓楽と欲望の運命絵巻、アジャにかける蜜と毒滴る誘惑の言葉がとても好き。アジャが誘惑を振りほどいてハッピーエンドじゃ物足りない、と思っていただけに、結末には快哉を叫びたい気持ち。これもゴシックだろうか。
    「スリヤカンタ王の恋」の続きがとても気になる。盛林堂書房から出た『月輪の指』が楽しみ。

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著者プロフィール

片山 廣子(かたやま・ひろこ):1878~1957年。東京生まれ。歌人、随筆家、翻訳家。東洋英和女学校卒業、佐佐木信綱に師事し歌人として活躍、歌集『翡翆』『野に住みて』を出版。松村みね子の筆名で、シング、イエーツなどのアイルランド文学の翻訳を手がけ、坪内逍遥、森?外らに高く評価された。1953年刊の随筆集『燈火節』(暮しの手帖社刊)は第3回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。芥川龍之介の思い人としても知られ、『或阿呆の一生』に登場する。

「2024年 『片山廣子随筆集 ともしい日の記念』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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