ヘッドフォン・ガール

著者 :
  • アルテスパブリッシング
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本棚登録 : 41
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865591293

作品紹介・あらすじ

時間と運命が複雑に交錯していく
ミステリアスなミュージック×タイムトラベル小説!

20世紀の音楽史への深い造詣をもとにしながら、
謎をはらんだタイムトラベル・ストーリーの中に、
架空の音楽やミュージシャンたちの日常をリアルに描きこんでいく。
SF? ファンタジー? 音楽小説? ジャンルを軽やかに超えながら、
静かな感動を呼ぶラストまで一気に読ませる上質のエンタテインメント!

──行方不明になった伯母の家で、カズは祖父の遺品達を発見する。
古いスライド映写機を点けると、カズは近未来の地下鉄車内に飛んでいた。
しかも、ヘッドフォンで音楽を聞いている女性の身体の中に。
目の前の光景は本当の未来なのか?
好奇心に駆られたカズはタイムスリップを繰り返していく。
伯母の教え子だったヴァイオリン奏者のリキは親友に励まされながら、
自分自身の音楽を生み出そうとしていた。
ドイツからやってきた伝説のロック・ミュージシャン、ジーモン、
彼の祖父が遺したナチス時代のリボン・マイク、
伯母が愛したベヒシュタインのピアノ、京都の老技師──
数十年の時を超える因縁が人々を結びつける。
そして、生れ落ちる一枚のアルバム…⋯。

感想・レビュー・書評

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  • 音楽評論家のみならず音楽プロデューサー、レコーディング・エンジニアとしても活躍する高橋健太郎による初の小説。

    しかもSF仕立てのタイムトラベルもの。
    正直意外な展開だったけれど、読んでみると著者のこれまでの活動やTwitterでつぶやかれる原発などの社会問題へのスタンスなどから垣間見れる世の中へのスタンスが出た物語になっていると感じた。

    物語の鍵となっているのはドイツからやってきた伝説のロック・ミュージシャンだったり、ヴィンテージのマイクだったりするあたりが正に高橋健太郎という感じだし、タイムスリップというSFの中では古典的な設定もこの物語の中ではダブのような感触を覚える(まぁ、これは穿ちすぎだとは思うけれど)。


    贅沢を言えば見ず知らずの新人作品として先入観なしに『ヘッドフォンガール』を読んだら「この著者は何者なんだ!?」という驚きと興奮を覚えられただろうなぁとは思う。更にそれこそTwitterとかで正体暴きが盛り上がったりして。

  •  本当に叙情的な作品として完結する。
     

  • タイムトラベルもの。結果が未来にすでにあって今に影響が出てくるパターン。音響機器の名前がよく出てくるが、これらの物の名前を聞いただけでイメージや意味を持つことができる人は少ないだろうと思う。昔のドイツの機械というとらえ方で意味やイメージを見るのとは、少々ずれがあるのではないかと気になってしまった。

  • 音楽評論家の人が書いた小説なので、マニアックな話でも出てくるのかなと思っていたけど、誰でも読めるし読みやすい作品だった。舞台設定が15年くらい前という”すこし昔”なのも、自分が通ってきた時代(まだ子どもではあったが)だし、読みやすさの一因だったと思う。
    タイムスリップという要素が出てくる。特に前半にその要素は多くて、実際あらすじや帯にもその言葉はよく出てくる。でもかといってSFか、というとそこまで堅い感じはしない。
    それより描写されているのは、主人公とその彼女、家族、親友などとのやりとり、あとは主人公の思考といったことが多い気がした。彼女とのやりとりや、主人公がもうひとりの主人公と出会って交流するくだりにも、結構、青春ものっぽい印象を覚えた。

    普段映画やドラマから小説に入るので、普段と違ってどうも人物やロケーションの具体的なイメージが固まらず、なんとなくふわふわとしたイメージのまま読み進めていた。そのまま終わるのかなと思っていたら終盤の展開。そしてそこまでにちりばめられた線もすべて繋がる。私には十分楽しめる小説だった。
    なんとなく優しい雰囲気の作品に感じられたのは、そのふわふわしたイメージもあるけど、表紙のイラストのせいもあるだろう(というか今書きながら思ったが、この小説、悪い人が全然出てこない。悪い人が出てきて悪いことする、みたいなそういう物語でもないけど)。

    書店員としては、音楽書のコーナーに置いておくにはもったいないなと思う。音楽評論家が書いた小説、という先入観を持って読むのはもったいない。



    (ところで、終盤の展開で、著者が以前書いていた映画評を思い出した。まぁ今改めて読んでみたら、関連性があるのかどうか、繋げてみるべきなのか、よくわかんなくなっちゃったけど)

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著者プロフィール

横浜生まれ。古典や名著、哲学を題材にとり、独自の視点で執筆活動を続ける。近年は特に弁論と謀略がテーマ。著書に、アリストテレスの弁論術をダイジェストした『アリストテレス 無敵の「弁論術」』(朝日新聞出版)、キケローの弁論術を扱った『言葉を「武器」にする技術』(文響社)、東洋式弁論術の古典『鬼谷子』を解説した『鬼谷子 100%安全圏から、自分より強い者を言葉で動かす技術』(草思社)などがある。

「2019年 『欧米エリートが使っている人類最強の伝える技術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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