宗教はなぜ人を殺すのか ―平和・救済・慈悲・戦争の原理

著者 :
  • さくら舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865811759

作品紹介・あらすじ

宗教の本質がわかると、戦争と紛争が絶えない世界がわかる!

平和、愛、慈悲などをうたい、人を救うのは宗教である。だが同時に、暴力やテロ、殺人を犯すのも宗教である。一向一揆、十字軍など、洋の東西、時代を問わず、宗教は戦い、人を殺してきた。平和、愛、慈悲をうたう宗教が暴力と縁が切れないのはなぜか。宗教はやむなく戦い、人を殺してきたのか。それとも宗教のなかに暴力や殺人を肯定する論理や構造があるのか。宗教学者がイスラム教、ユダヤ教、キリスト教、仏教を横断的に考察し、知られざる宗教の実像に迫る!

【本書で扱う事例】
▼神とモーセによる暴力に満ちた『旧約聖書』
▼「多神教徒は殺してしまうがよい」と定めるイスラム教
▼ヒトラー暗殺計画に加担した高潔なキリスト教神学者
▼「空」の理論が殺人肯定を導く仏教 など

感想・レビュー・書評

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  • 「宗教と戦争」ないし「宗教と殺人」というテーマの本といえば、管見の範囲では石川明人の『キリスト教と戦争』(中公新書/2016年)が良書であった。

    同書がキリスト教に的を絞って深く掘り下げていたのとは対照的に、本書は代表的な宗教すべてと殺人・戦争の関係を総花的に扱っている。キリスト教・ユダヤ教・イスラム教・仏教には各一章を割いているし、それ以外にもヒンドゥー教などについて言及されている。

    総花的ゆえ、個々の宗教に対する掘り下げは浅い。が、「宗教と殺人・戦争」について考えるための概説書・入門書として見れば、なかなかよくできている。資料的価値も高い。

    平和を説くはずの宗教が殺人・戦争と結びつく理由を、各宗教の歴史と鍵になる経典の引用から、すこぶる平明に解き明かしている。

    たとえば仏教の場合、大元の釈尊の思想は徹底して非暴力主義なのだが、大乗仏教に至って生まれた「空」の思想の中に、殺人を正当化する余地があったとする。

    著者は宗教学者で、専門は日本密教・チベット仏教。
    ゆえに、密教やチベット仏教について解説した部分には知らなかった話も多く、新鮮だった。

  • 仕事(授業)準備で流し読みをしただけですが、イスラム教・ユダヤ教・キリスト教・仏教の各宗教が、どのように「暴力(殺人/(宗教)戦争)」を是認してきたのか、その歴史と背景を丁寧に解説した本でした。

    文章は非常に読みやすく、高校生から十分に理解できると思います。

    愛や平和を語る宗教同士が、なぜ争い続けるのか。
    どうすれば解決するのか。

    簡単に答えの出る問いではありませんし、本書にも解決策が示されているわけでもありません。
    しかし、単純に世界史的な知識だけで争いの原因を見つけようとし、解決策を探るのではなく、それぞれの宗教の根幹にある「思想」や「性格」について把握しようと努めること、そして自身で考え続けることは辞めてはならないと思います。

  • イスラム原理主義がなぜ極端なテロ行為に走るのか知りたくて読んでみた。イスラム教に限らず古今東西の宗教は為政者や野心あるものが都合よく解釈して人を洗脳するのに持ちいているに過ぎないことを知った。点数が低いのは筆者の書き方、編集の仕方が下手くそだと感じたため。二重否定とかの言い回しはやめて欲しい。主張を通して但し書きは*で巻末などで補完して欲しい。非常に読みづらかった。

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    内容(「BOOK」データベースより)
    『宗教の本質がわかると戦争・紛争が絶えない世界がわかる!邪宗徒は殺してよい、正法を守るための殺人は功徳、異教徒の死は神の栄光…慈悲と救済をうたう宗教の知られざる実像に迫る!』

    『宗教はなぜ人を殺すのか 』
    著者:正木 晃(まさき・あきら)
    出版社 ‏: ‎さくら舎
    単行本 : ‎248ページ
    発売日 ‏: ‎2018/12/6

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著者プロフィール

一九五三年、神奈川県に生まれる。筑波大学大学院博士課程修了。国際日本文化研究センター客員助教授、中京女子大学助教授などを経て、現在、慶應義塾大学非常勤講師。専門は宗教学(チベット・日本密教)で、とくに修行における心身変容や図像表現を研究。著書に『マンダラとは何か』(NHK出版)、『密教』(ちくま学芸文庫)、『はじめての宗教学』『お化けと森の宗教学』『千と千尋のスピリチュアルな世界』『カラーリング・マンダラ』『お坊さんのための仏教入門』(以上、春秋社)、『空海と密教美術』(角川選書)ほか多数。

「2019年 『密教の聖なる呪文 諸尊 真言 印 種字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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