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- / ISBN・EAN: 9784865896398
感想・レビュー・書評
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2巻は心の暗部を抉られるようだった
「スメルズ ライク グリーン スピリット」では怪物のような柳田が今作では唯一まともな感性を纏った大人のような気がする
永井先生は自ら蓋をして抑圧された人間の欲望を描くのがとても上手い
醜く滑稽で時に可笑しい程果てしなく自身を翻弄する欲望
今作では柳田の心の深潭に居続けた南條くんの謎も
少しずつ解き明かされていく
露悪的に思えた渚の瞳の中の闇は
周囲の大人達の欲望と底知れぬ絶望を伝えてくる
3巻発売まで耐えられるかな?
できることなら柳田と渚の救済が描かれる未来であって欲しい
南條くんの心の真実を知った柳田の魂が癒されますように
渚を束縛する鎖を断ち切って自由になれますように
永井先生はまだまだ私達を深い淵へ誘い迷子にさせる詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『スメルズ~』も、思春期の男の子たちの、男が好きなんだろうか、女装が好きなだけなんだろうか、あいつが好きなだけなんだろうか、そもそもこの感情はなんだを描いた手法は「青春漫画」的で、BLがドーンと前に出て来てる感じがしなかった、こちらも同様。地方の田舎町と言う場所の閉塞感、居場所が無くなった逃亡者が辿り着いても閉塞感、そんな小さな場所に於いて、もしかしたら本編と同じ事の繰り返しになるんじゃないか、と言う恐怖感が渚の言動に現れてて、魂の行救済は肉体を持っていては困難なのか、と考えさせられる。
BLと言うジャンルでは読む本求めてないので、既に知っていて、その人の作品が好きだ、と言う情報だけが頼りなんだけども、BL読んでると言う感覚が一切沸かなかったなぁ、『深譚回廊』は。
線がぐちゃぐちゃに入った吹き出しが何とも言えないザラつき…渚が聴き取れたのは、他の人達とは違って「そんな言葉を自分が受けるいわれはない」と言う事を信じてる人が殆どで、呪詛を受け止めない方が楽に生きていけるからだろうし。渚は「そのままを聞く」んだろうな、耳がいい訳じゃなくて。よく聞かなければ、大人が自分に向ける言動の「意味を理解する」事が難しいからで、理解しなければ振る舞い方が分からないから、自然に身に着いて行ったんだろうと思う。頭が良いので、こう言うことが出来てしまうんだな… -
これは柳田の贖罪の物語なのか。ひたすら辛くて苦しくて、天使か悪魔に見えた渚は傷ついている一人の幼い子供だった。あの笑顔の下にどれだけの感情をすり減らしてきたのか。互いの存在が唯一の救いとなったのも束の間、柳田にはまた爆弾が落とされる。ラストに明かされた真実に彼は向き合えるのか。渚の境遇と取り巻く環境が醜悪すぎて、柳田には何とかあの村から渚を連れ出してほしいけど、きっと世間はそれを許さない。正しい答えは分からないけど、少しでも二人の行く末に光がほしい。台詞はあまり多くないのに、まるで小説を読んでるかのような繊細な描写、空気感、永井さん流石です。次巻も楽しみにしています。