- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784866214320
作品紹介・あらすじ
「私のほうが先に死んでまうやろ!」
常識も理屈も通用しない高齢者4人を世話する日々を描いたむき出しの介護エッセイ。
故郷にUターン移住した先に待っていたのは、
92歳の老父と90歳の老母、そして子どものいない88歳の叔父叔母夫婦との何ともやっかいな生活。
わがまま、逆ギレ、能天気、人任せ……四者四様の様相を呈して立ちはだかる4人に、
「これは修行か! はたまた罰ゲームか!」
顔を歪めながらも奮闘する日々。
「ピンピンコロリ!」なんて逝き方は夢のまた夢。
合わせて360歳、平均年齢90歳の彼らに将来の自分の姿を重ね、
「私たちは、どう老いるか」
恐怖を伴った問いが頭から離れない――。
介護を経験した人であれば首がもげるほど共感できる
家族愛もきれいごとも一切通用しない本当の介護を描くせきららエッセイ。
感想・レビュー・書評
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著者の両親と叔母夫婦、4人の介護生活を描いた本。
もう、修行である。
いや、罰ゲームか!と確かに思ってしまう。
とんでもなく凄まじいものである。
認知症といえば、ある程度は我慢して堪えるしかない…と言えばそうかもしれない。
だが誰にでも限界はあると思う。
しかし、見捨てるわけにはいかない。
わがまま放題、逆ギレするし、理屈ばかり言う気の強い実母に対し、叔母夫婦は管理能力がないという現実問題に奮闘する。
厚生労働省によると、団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者になる2025年には約32万人の、2040年には約69万人の介護を担う人材が不足するらしい。
自宅での介護がむずかしくなったとき、入居できる施設やお願いできるヘルパーさんが見つからないとき、一体誰が高齢者の面倒を見るのだろうか。
決して他人事では済まされない大問題だ。
人それぞれ、置かれている状況も考え方も経済状態も異なるだろうが、情に流されず、介護保険や福祉サービスなど使えるものはどんどん使い、割り切れることはキッパリと割り切って、自身が老いたときの予行練習をしているくらいの気持ちで向き合っていかないと、終わりの見えない介護はやっていられない。
確かにそうなのだと痛感する。
親のこともそうだが、自分のことも先が見えない。
ピンピンコロリとならなければ、不安は募る。
老後の資金も不安であるが、まずは健康でいることだと思った。
認知症を防ぐためにできることはやっておいたほうがいいだろう。
まずは、要らないものは処分することが先かもしれないな。。
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会社員を辞めてUターンし、両親と叔母夫婦の四人の介護を担うなんて...想像を絶する。
よくやるな、と尊敬の気持ち。
どうしよう、私は最期までやれないかもしれないし、そもそもやりたくないと逃げてしまうかも。
ご本人も書いておられたけど、同じように両親や姑などの介護をする友人たちと愚痴ったり笑ったりできるのがまだ救いかもしれない。同じ立場の人がいなく、気持ちを吐き出す場所がなく介護する人達は、本当に壊れてしまうだろうな。
と同時に、自分が将来ワガママ三昧、人の話は聞かず、すぐにキレ、家はごみ屋敷、子供たちが介護のために離職、なんてことになりそうで心底恐ろしい。
ただでさえ短気なのに。ブルブル -
私は介護しながら、この気持ちをどうすればいいか悩んでいました。
この本を読んで、全く私の今の状況を代弁してくれたようで、私だけじゃないんだ、と気づかせてくれました。
冒頭の部分で、
「介護の大変さ=下の世話や入浴の介助だと思っていたけれど、判断力や理解力の低下、感情のコントロールが利かないなどまともなコミュニケーションがとれない老父母や叔父叔母との実にくだらない些細な出来事に苛立ち、それが積み重なることで神経がすり減っていくのである。」
とある。
まさに今この状態なのです。
すごくわかります。もう自分の都合しか考えられなくなり、何でも丸投げで物を頼み、人にものを頼んでおきながら、私が、今は忙しいから後で… などと言おうものなら、憤慨する。全てこちらでやってあげないといけないし、それが結構私の時間を食いつぶす…
しかたのないこととはいえ、この生活がいつまで続くのか、と思うと体調も悪くなるのです。辛い… -
介護する側の本音を知ることができた。1人で4人も面倒をみる。こんなことできる人はそういない。コミュニケーションもままならない、話の通じない人間を4人も相手して、私なら発狂してしまうっ!!
私、まだ20代で子育て真っ最中。自分の祖父母もまだまだ元気。介護が全く身近にないため、他人事として考えていた。
でも巷では介護の問題がよく取り上げられているし、長い介護生活の末、肉親に手をかけてしまった、なんていう事件も多々ある。なんとなくその実態?を知りたくて手に取った本であった。
未来ある子供を育てるのは大変だけど希望がある。でも老いて死にゆくものの面倒を見るのは、しんどいなぁ。そして自分が将来認知症になって人に迷惑かけまくったらどうしよう!って不安にも駆られて、逃げ場のない不安と恐怖と憂鬱感に襲われた。
この著者も今、まだ終わりのない、しんどい介護生活の真っ只中にいるんだろうなぁ。 -
お金の問題を抜きにして、介護は語れない。
その面からのタイトルだと思うが、気持ちから言えば、
「親が死ぬか、自分がストレスで先に死ぬか、それが問題だ」
ということになるのではないか。
自分の経験から、そう思う。
小説ではないので、「起承転結」があるわけではないが、ある意味、全編クライマックスで、「起」の後は「承、転、承、転、承、転、承、転・・・」とどこまでも続き、「結」だけが来ない。
いつか筆者に、幸せな「結」が静かに訪れますようにと願わずにいられない。
とはいえ、真っ暗な話でもどん底でもなく、延々と不毛なイライラが続く介護の様子を冷静につづって、どこか可笑しみさえ感じられる体験談。
1970年の日本の平均寿命は、男性が69歳、女性が74歳だった。
2022年の発表では、男性が81.49歳、女性が87.60歳。
この50年での平均寿命の延びは驚異的としか言いようがない。
長く生きることは、果たして幸せなのだろうか、ということは一時置いても、
あまりに急な変化に、制度も、人の認識も、追い付かなくて当たり前かもしれない。
介護される側の老人たちは、今まで生きてきた結果がすでに出てしまった状態だけど、これから老いる私たちはやるべき事を何か発見できるはず。
読んでみて下さい。 -
著者のご両親や叔母夫婦はかなり強烈であるが、そこまで強烈じゃない老人を介護中の人でも『ホント、そうだよね!』と思うことが多かれ少なかれあると思う。自分だけじゃないと思えることは介護を続ける上で救いになる。
なかなか人には言えない『本音(他の方が書かれているので省略)』は、誰しも一度は思うのでは。 -
「この人、一体いつまで生きるつもりなんだろう」
「とっとと逝っちゃってください」
本文中に登場する本音にドキっとする。
本作を面白いと言うと語弊があるけれど、高齢者介護を扱ったエッセイの中で群を抜いて面白かった。
介護の為に故郷にUターン移住したこかじさん。
一人を介護するだけでも大変だろうに、そこで待ち構えていたのは92歳の実父、90歳の実母、更には子どものいない89歳の叔父叔母夫婦、癖の強い4人の介護地獄。
こかじさんの奮闘と献身ぶりに尊敬の念を抱く。
誰もがいずれは通る道。
これは他人事と思わず読んだ方が良い作品。 -
実の両親に加えて叔父叔母の介護まで。四者四様のキャラに振り回される介護エッセイだが、これがなかなかきっつい。高齢者に優しくだのなんだの言っていたら介護者が持たない。介護は全然優しくない。絶望感しかないのにぐいぐい読める。
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図書館で借りて読んだけど
購入して度々読もうと思う -
【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/567208