北海道日本ハムファイターズ流 一流の組織であり続ける3つの原則

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  • アチーブメント出版
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784866430072

感想・レビュー・書評

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  •  2000年代初頭まで長期低迷していた日本ハムファイターズが、北海道移転後5度のリーグ優勝を成し遂げた決定的原動力に本書の著者・白井一幸の存在があることは、ファイターズのファンやウォッチャーならば周知の通り。立て板に水のごとく理路整然とした語り口に「ビジネス野郎」的な胡乱臭さはあるし(企業コンサルタントの影響を受けすぎている)、その主張内容に矛盾や疑問もないではないが、とかく精神論・根性論と暴力・威圧が支配した日本野球界に「近代化」をもたらした先駆者として評価しなければならないだろう(一般的な世評では栗山英樹の手柄になっていることも、実際は白井の功績である場合が少なくない)。野球解説者としても説得力は抜群である。

     なお本書の刊行は2016年優勝の直後だが、結局翌年に白井はチームを去ることとなる。彼の持論である「1塁への全力疾走」が、17年シーズン後半はなぜか全くできなくなっていた。「目の前で起こる手の抜いたプレーを見て見ぬフリができ」(p.177)ない白井が座視するはずはないので、白井の意思がチームに通らないよほどの事情があったのだろうし、だからこそ「決別」のような形で(最終戦を前に退任を発表し「胴上げ」まで行った)ファイターズを去ったのだろう。その後のファイターズは急速に「暗黒時代」を思わせる転落に陥っているが、白井を手放した必然的結果である。フロントに白井を敵視する幹部がいて障害になっていると仄聞するが、どうにか一度は監督をやらせてみたいところだ。

  • コーチングの本は定期的に読む必要があると感じた
    何事も自分事に
    教えるのをやめて励まし続けることでチームは強くなりました

    どうだったどこにかけてたどうやって動いた教える代わりに質問をします人が質問をされると答えるために考えます
    叱れない続けられない他者の評価が気になる指導者も嫌われたくないし嫌な思いをしたくないですしかし自分でなく選手にとって何がベストなのかを考えればどう思われても選手の成長に必要なことを言い続けることが指導者の役割と責任です

  • 今の自分を振り返り新たな一歩を踏み出す勇気をあたえてくれる一冊

  • 2016年日本一の功労者が語る強い組織のつくり方。その手法はメンタルコーチング。始終つきっきりで指導できるわけではない。選手が自発的に考えて動けるようにもっていくこと。そのためには技術の指導よりも心の指導。選手を詰問するのではなく,オープンな問いかけで,自ら考えることを促す。駄目な指導法の具体例(39頁以下)も面白い。
    本番のつもりの意識付けを普段から工夫してやる(大一番だからといって慎重に動くと普段とは違うことをするが故に失敗する,本番を見据えた所作を意識して練習)なんて話は,受験生相手にもそのまま応用できる。
    こういうのを読むと,自分はまだまだだと痛感します。

    ちなみに,(1)2軍監督時代,当時若手だった田中賢介を雰囲気が険悪になるほどしつこく指導した話や,(2)ヘッドコーチ時代,あくまでもヒルマンを助けるためにコーチに就くので,ヒルマンが退任するなら自分も辞めるとの約束で引き受けたという告白(当時,ヒルマンの後任は白井氏ではないかと思われていた),(3)レアードの寿司ポーズが生まれた逸話,(4)攻守交代時の中田が全力疾走するようになった話,など,ファイターズファンにはたまらないエピソードも盛りだくさん。

    (一つ難点をいうと,タイトルの「3つの原則」というのが何を指すのか,よくわかりません)

  • わかりやすい。
    何よりも、白井コーチがステキ(笑)
    実際にプロ野球選手と私が接するわけじゃ無いし、プロ野球選手と私たちが接する後輩や、部下とでは仕事に対する姿勢は結構違う気がするので(一生懸命やらなくても戦力外にされることはないし、したらブラックだのパワハラだの言われるし、給料はかわらないし)、自分に合った方法を模索する必要はあるだろうけど。

  • 日ハムの試合を見ていて、選手よりも白井コーチに目がいくことも多かった。それくらい存在感がありました。どんなことを考えているのか?気になって読み始めた本です。読みやすく書いてあるのはありがたいことですが、私なら、白井さんのお話なら、もっと読めます。もっと文字数があってほしかったです。

  • 寿司ポーズの人、というイメージだったのに、この本読んですごさがわかった。合理的かつ人間性が1番解放される方法で、そしてファンへの感動の与え方まで指導するあたり、素晴らしいと感じた。

  • タイトルの、「三つの原則」は出てこない?けど、経験と理論に基づいた言葉には重みがある。

  • NPBの異端・・というか傍からみてたら頭おかしいとしか思えないチームの、マネジメントが読み取れる良書
    勉強になりました

  • ・日本一のチームに必要な3つの条件とは、
    1)チームの目標を全員で共有して、
    2)一人ひとりが役割を果たし、
    3)最後につきまくっている。
    これが日本一になれるチーム。

    ・プロ野球選手は「気合を入れろ」という言葉が大好き。選手にとってプラスにならない"活"を、選手のためを思って指導者が無意識でどんどん入れる。指導者は"怒る"というがんばりを重ねてしまう。ミスがあったときに選手を萎縮させてしまうと勝つチャンスが減る。当時プロ野球界の指導は怒りと脅しがセットになっていた。教えることはとても重要だが、指導者側に一度きりで伝えるという気持ちがなければ伝わるものも伝わらなくなる。そして聞く側も「このコーチは一回しか教えてくれない。この一回ですべてを聞き取ろう」という気持ちになっていないと吸収できない。指導者が何度も"教える"と、選手は受身になって考えなくなる。生返事になり、言葉が落ちていかないばかりか、人間関係も悪化していく。①結果に対して怒る ②原因に対して教える ③上達するために猛練習させる 弱いチームほどこの指導が繰り返される。必要なのは選手がうまくなるかどうか、成長するかどうかだけ。日本一の指導とは、選手の身体を強制的に動かそうとするのではなく、自発的に心を動かす、やる気にさせる関わり。「どんまい、どんまい。野球にミスはつきもの。大事なのはミスした後だ。ミスをした選手はまず元気がなくなってミスを重ねる。萎縮して消極的になってしまう。ミスしたあとほど元気を出していこう。積極的にプレーしていよう!」「キャンプ中から誰もいないところで黙々と練習していた姿を見ていたぞ。おまえならできるはずだ。このミスを取り返していこう!思い切ってやってこい!」選手は指導者に影の努力を認めてもらえることに安心感わ覚え心強く感じる。ファイターズは教えるのをやめて励まし続けることで、チームは強くなった。

    ・選手は自ら問題点に気づき指導者は考えるきっかけを与えるだけ。無理にさせる練習はまったく必要ない。選手たちが自ら取り組める環境を整えてあげはり。怒る、教える、強制させることをやめたことでファイターズ全員が日本一のチームにふさわしい取り組みを始めるようになった。

    ・一生懸命努力するだけでは成長しない。努力することは尊いし成功に必要不可欠だが、それ以上に頑張り方、努力の方向性が大切。やみくもに全力プレーを選手に求めても方向性が間違っていたら実力はつかない。

    ・ファイターズは何十年も優勝から遠ざかっていて日本シリーズを経験している選手がいないから負けると言われるだろうがそうではない。プレッシャーがかかって失敗した経験をもっている選手はそれがマイナスに働く。プレッシャーを乗り越えられるかどうかは経験ではなく、準備ができているかどうかなんだ。接戦になるとプレッシャーがかかり、ミスが許されなくなる。そこでミスをしないためには、普段から慎重に丁寧に練習すればいい。強化するために猛練習させる指導は山ほどある。練習させることが指導者の役割だと思っている人がたくさんいるが、指導者が強いるほど選手はサボほうとし逆効果になる。

    ・思い切っていけ!ではなく、どうしたら思い切りが出るのかを考えて、具体的に指示する。思い切りがよいとは、やるべきことが明確になっていること。「この手を打って相手にやり返されたら仕方がない」と思えるから、思い切りのいいプレーができる。「なるようにしかならない」というのはあきらめ。「これさえやっていれば大丈夫!」という確信のもとで「このプレーに徹する」と決め、あとは結果を受け入れる精神状態、これが開き直り。

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著者プロフィール

駒澤大学卒業後、1983年ドラフト1位で日本ハムファイターズ(現北海道日本ハムファイターズ)入団。91年リーグ打率3位、最高出塁率を記録。現役引退後は米ヤンキースでのコーチ留学を経て、日本ハムの二軍監督、一軍ヘッドコーチなどを務め、リーグ優勝2回、日本一2回を獲得。17年に退団後は、野球解説のほか企業研修などにも活動の場を広げる。

「2020年 『神コーチング 人が育つ言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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