- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784866470894
作品紹介・あらすじ
50周年を迎える“ルーフトップ・コンサート”だけに焦点をあてた初の書籍!
1969年1月30日に行われたゲリラライブかつ、
ビートルズのラストライブとして知られる“ルーフトップ・コンサート”の舞台裏。
『ゲット・バック』セッションのクライマックスに行われた
歴史的イベントまでのメンバーたちの様子と、渦中にいた人々の証言によるドキュメンタリー。
ビートルズの再生とバンド内の人間関係を描きながら、
なぜルーフトップ・コンサートが行われたのか、
なぜあのような形になったのかを解き明かす。
痛々しい沈黙。その時突然、バンドリーダーとしてのジョン・レノンが蘇った。
「クソったれ、やってやろうじゃねぇか!」と叫んだジョンに度肝を抜かれ、
ジョージもリンゴも口をつぐんだ。
数分のうちに4人は一列になって螺旋階段を上がり、
観衆の前で演奏する最後のコンサートに臨んだ。 ――本文より――
1969年1月の寒さ厳しいある日の昼どき、
ロンドン、サヴィル・ロウ界隈にエレクトリック・ギターの音が鳴り響いた。
通りや建物に人々が集まり、何が起こったか確かめようと、
屋根やポストによじのぼる者もいた。彼らは昼食を忘れて音楽に聴き入った。
最後のライブから2年半余り。
ビートルズは新曲「ゲット・バック」、「ドント・レット・ミー・ダウン」など
数曲を屋上から響き渡らせ、仕立て職人たちの上品な耳をざわつかせた。
感想・レビュー・書評
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ビートルズファンの間では有名な、ビートルズ最後の公衆の前での生演奏となったロンドンのアップルビル屋上での「ルーフトップコンサート」(以下RTC)が行われるまでのドキュメンタリー。演奏自体は屋上で行われ、事前告知もなかったことから、ビル周辺にいた人たちしか聴くことができない上に、その人たちも彼らの姿を見ることはできなかった。ただ、ビートルズの演奏の一部は映画版「Let It Be」で後に公開された。
本書は、そのRTCの開催までの経緯を当時の社会情勢を含めた時代背景も交え、当時の関係者のインタビューを中心に丹念に追跡している。
残念ながらインタビューは生存するビートルズメンバーであるポールマッカートニーや、リンゴスターのものはないものの、Let It Beの監督や撮影スタッフだけに及ばず、当時のアップル社の社員、RTCを生で聞くことのできた一般人のものまでを収録しているところがすごい。著者の執念がうかがえる。
なお、RTCについてはブートで既に完全版と称する音源が出回っているが、本書を読むと収録されていない音源があることがわかったので、来年のLet It Be発売50周年記念の映画版新Let It Beや、音源版Let It Beのボーナスディスク等に何らかの形で完全版が公開されることを強く期待する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
映画『レット・イット・ビー』のあの印象的な屋上ライブが、どういう経緯で決まったか(実はたいへんな紆余曲折がある)のドキュメント。そしてそれにかかわった人、偶然見た人たちの屋上ライブの誌上再現。昭和後期生まれの僕に取って、ちょうどリアルタイムのビートルズである時期の、いままでテレビなどで何回も見たあの映像の裏側で起きていたことが興味深かった。ファンは文句なしに楽しめる本だと思います。
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1969年1月30日の「ルーフトップ・コンサート」をめぐるドキュメント。前年からの四人の状況、アップルという前代未聞の会社経営、スタッフの証言、30日の「コンサート」を体験した人々(「お巡りさんたち」も含む)の証言などからなる。
周知のようにこの演奏は映像としても記録され、映画Let It Beのクライマックスになっている。そして通常はグループ解散にいたる痛々しい人間関係を映し出した映像としてこの映画は語られてきたように思う。
映画全体にはたしかにそういう側面はあるのだが、しかし屋上での四人(とくにジョンとポール)の演奏の様子は楽しそうで充実しているようにみえる。個人的には、世評と映像での演奏の様子の落差に、なんとなく割り切れないような不可思議な思いを抱いてきた。
このドキュメントを読むことで納得することができた。何よりまず四人は傑出したミュージシャンで、バンドとして唯一無二のグルーヴを作り出すことができた。そのことを四人も、他のスタッフも深くわかっていたのだ。
「クソったれ、やってやろうじゃねぇか!」とジョンが気合いを入れて四人が一つになり演奏に向かう描写(p.172)が一番印象に残った。ビートルズのリーダーは、結局最後までジョン・レノンだったのだと思う。 -
ビートルズ解散直前のApple社屋上での、今風に言えばゲリラライブのドキュメンタリー。
4人の気持ちがビートルズから個々人の興味に、別の事柄が占める割合が増えてきたということなのであろうが、まだ20代の若者だったのだから(現代の感覚では信じがたいが)いたしかたない。
夫々の気持ちが感じられる、良いドキュメントである。 -
最近、ジョンが「Don’t let me down 」
を歌っている夢を見て、
「ああ、カラオケで歌いたい!」
と思ってしまった。
それくらい、映像で観た
ルーフトップコンサートのビートルズは
カッコ良かった。
だから、読んだ本。ただ、それだけです笑