その悩み、哲学者がすでに答えを出しています

著者 :
  • 文響社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784866510057

作品紹介・あらすじ

「将来が不安」「お金がほしい」「死ぬのが怖い」
これらの現代人の悩みははるか昔から私たちを苦しめていた人類共通の悩みです。

であるならば、哲学者たちはこれらの悩みに答えを出しているはずです。

平易な言葉で哲学を学べて、あなたの悩みが解決する1冊です。
 
「将来、食べていけるか不安」⇒アリストテレスが答えを出しています。  
「忙しい。時間がない」⇒アンリ・ベルクソンが答えを出しています。  
「お金持ちになりたい」⇒マックス・ウェーバーが答えを出しています。

感想・レビュー・書評

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  • もう出しているという答え自体が深すぎて、その答えに従うには?というさらに問いになっている感も若干。
    道元の「自己とは自分を忘れること」と説いたこと、アドラーの自分の課題と他人の課題を分離せよ」という答え、カントの「道徳法則に従うことこそ人間の自由である」という考え、どれもガツンときた。
    217冊目読了。

  • 世の中には一流のビジネスマンや経営者、作家などによって書かれた、人が抱く様々な悩み(例えばお金持ちになりたい、嫌いな上司がいる、やりたいことがないなど)に答える自己啓発書やビジネス書があるが、それらの悩みに対し歴史上の哲学者・思想家が答えるというコンセプトの本は本書だけであろう。一流の人たちが書いた自己啓発書を読むのも良いが、たまにはこういった哲学者・思想家という人類の悩みや叡智について深く考え続けた者達が悩みに答えるというような本を読むのも良いだろう。

    本書は26人の哲学者・思想家達が私たちが抱く様々な悩みに対しどのような考え・答えを出しているかをまとめた本である。各哲学者の顔やその背景・哲学、悩みに対する答えなどが分かりやすくかつ簡潔に書かれており、哲学について広く浅く知るにはとても良い本だと思う。また、各セクションの最後には、悩みに答えた哲学者に関する著者オススメの本も掲載されており、これを機にそういった本格的な哲学の本を読むのに進んでも面白いだろう。

    全員を紹介するわけにはいかないので、気になった悩みとそれに対する哲学者の答えを書いてみようと思う。

    1.「やりたいことはあるが、行動に移す勇気がない」
    ルネ・デカルト A:「困難を分割せよ」(壮大な夢も本気で取り組める小さなゴールにすれば、夢は夢でなくなる。)

    2.「嫌いな上司がいる。上司とうまくいっていない」
    バールーフ・デ・スピノザ A:「嘲笑せず、嘆かず、呪わず、ただ理解する」(起こること全ては必然であり、最初から決まっている。嫌いな上司が嫌なことを言うに至った経緯や人生、その他全てを世界の表れとして理解してあげる。そうすると魂の平穏を得られる。)

    3.「やりたいことがない。毎日が楽しくない」
    道元 A:「生活全てが禅である。」(日常の全てが悟りを開くための行為であり、何かの役に立てると言う考え方をやめて、今ここ、この私に徹すること。一心不乱に徹底的に取り組み、自分のことを考えるのを忘れてしまうと、自意識が小さくなり生きる歓びを感じられるようになる。)

    本書は是非これから哲学を読む人のためにオススメしたい本である。また、既に哲学を読んでいる人にとっても参考になる内容が載っていると思う。

  • 悩み相談に対して、歴史上の哲学者達が、相談に回答をしていく。

    身近な悩みを切り口(観点)にすることで、哲学者の小難しい考え方が現実に役に立つものとして、親しみを持てる。ありそうでなかった画期的な切り口。

    哲学者は古代から現代までバラエティーに富んでいる。

    哲学者の考え方を読むにつけて、哲学者ってトガってるなと、自分がいかに常識にのっとって生活をしているかを、ハッと気付かされる。

    常識を疑い続けることは相当エネルギーがいるはず、その信念を貫くことの底力。
    その時代の底抜けに非常識な人たち。それが哲学者。

    例えば、徹底的に世の考え方に疑いを持ちながら0ベースで思考を積み上げていったデカルト。
    神がいることが当然の時代に、ほぼ無神論の立場で考えを発展し、死ぬまで発表されなかった『エチカ』を書き続けたスピノザ。

    一見、ネガティブで批評的に見えながら、きちんと新たな考え、新たな世界を見る眼を示し、未来への道筋を示す、哲学者たち。

    その姿に痺れます。

    他にも、オリジナリティの際立った考えの方々が盛りだくさん。

    ・ベルクソン
    皆、時間という目に見えないものを「空間」的にとらえているが、時間とは、誰にとっても客観的で一律なものではないのでは?
    本当に自由な時間とは主観的な濃密な時間であり、「純粋な持続である」

    → まさに、普段、空間的な時間に追いまくられている、自分の姿に気付きました。

    ・ウェーバー
    カルヴァンのプロテスタントの考え方をより深めた。
    『予定説』は、人間はあらかじめ運命が定められているが、その運命はわからない、誰が神に救われるかわからない不安を常に持っている。
    人々は、『天職』に必死に励むことで、「自分は救われる」人間であるという拠り所を求める「世俗的禁欲」。

    利益を求めることを禁じたキリスト教本来の姿に戻ろうとしたカルヴィニズムが、「天職」という、禁欲的に労働へと駆り立てるモチベーション・エンジンの発明によって資本主義を生む原動力となった逆説。(P40)

    → 資本主義、自由主義の原点って、実はキリスト教の原点に帰ろうという仕組みから発展したものだったのか。と驚愕。

    注釈も、さらりと内容の濃いことに触れられていて、読み飛ばせません。

  • 哲学を知るだけで悩みのほとんどは解決できる。この本だけで充分なくらい。深掘りしたい場合はすれば良いし、哲学を知るキッカケになる。

  • 〈学んだこと、印象に残ったこと〉
    ・時間を空間的に2次元のように捉え、「たくさん予定を埋める=充実している」と考えるのではなく、もっと自由に時間を使うことで濃密な時間を過ごすことができ、その時間が過去や未来にも繫がる4次元的な時間になることで、自分らしく過ごせる
    ・お金を得ることを目的にするのではなく、楽しんだ結果、お金という結果も付いてくる
    ・困難を分割する(ハードルの高いゴールをいきなり目指すのではなく、目指す段階を区切って物事に取り組んでいく)
    ・人は失う悲しみの方が得られる喜びより2.5倍感じやすい
    ・選択肢が少なかったり、他人に判断を委ねた方が楽に生きられる
    ・SNSなどで承認欲求を満たすのではなく、未来に残るような物事など、もっと大きなスケールで承認欲求を満たすことが本当の満足に繫がる

    〈全体を通して〉
    すべての考え方を日常に照らし合わせて実践できるわけではなさそうだったけれど、多くの先人が悩み、苦しみながらそれぞれ生きやすくなるための考えを巡らせていた事実に勇気をもらった。
    さまざまな考え方に触れたことで視野が広がり、もう少し肩の力を抜いて楽な気持ちで日々を過ごせそうだと感じた。

    本書の中では苦しみを修行のように捉える考え方が多く登場したが、現代では仕事も苦しみを伴うものではなく、楽しむことが大切という考えも一般的になっているので、現代の哲学者の考え方もぜひ知りたいと感じた。

  • 週末にサクッと読めた。
    人生、悲観したくなるときはたくさん訪れる。人は悲観できるから楽観でき、生の意味を問い直すことができる。ポイントはきれいにまとめてもらった半面物足りなさはある。でもこういう本なので、そこから興味があればそれぞれの本に誘ってもらうという展開で考えればよいと思う。

    哲学者が答えを出しています、というタイトルはキャッチーなのだろう。答えを即物的に求めたい世相には合いそう。も、本当に大事なのは、問いをどのようなかたちでいつどこで誰に発するのかだろうなと感じた。
    答えはここにあります!というのはここで取り上げる哲学者が忌み嫌うアプローチではないかと。自分も問いを考え続けていこう、たとえそれが苦しくても、と感じた。

  • 2021/05/30
    世界史を復習した後に触れる哲学は、より一層おもしろい。

    哲学者は、その時代や個人が持つ課題・悩みに立ち向かい、その解決のため思考をめぐらした人々である。彼らが、どのように問題を捉え、どこにボトルネックを見いだし、解決したかは今も尚活用可能なものが多い。

    近年、哲学は心理学同様に、様々な学問と結びつき多様化の一途をたどっている。バイオテクノロジーが発展する今日において、“人”とは何か考える必要性が認知されているのではないだろうか。

  • 読み終わった。
    現代社会につきものの悩みを、古今東西の哲学者の思想を引用して「こう考えたらどうですか?」と提示する話。
    ここ最近読んだ中では相当良い本だった。名著!!とかって感じじゃなくて、あー、これなんか良い本だなぁってじんわり思う感じ。

    哲学素人にこそおススメと思われる。

    prime readingで読んだけど、手元に置いといても良いかも。

  • それぞれの悩みがばーんと1ページ黒バッグで書かれていて、その次に誰が解決するのか大きいイラストが書かれています。
    その後に解説の文章があるのですが、太字がその人物のセリフと解説者のアピールしたい文章と一緒になっていて読みづらいです。
    いっそ悩みを見て、解説後のその人物が出した回答を見て、しっくりくれば解説を見直すという流れのほうが読みやすかったです。
    人物の答えのすぐ横に参考書籍が載っているので、それを次見てみるというのも面白いと思いました。

  • いい哲学入門書

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著者プロフィール

株式会社電通シニア・コンサルティングディレクター
1976年生まれ。専攻は哲学、美学。電通トランスフォーメーション・プロデュース局・シニアコンサルティングディレクター、ビジネスデザイナー、エヴァンジェリストとして活躍する傍ら、2019年まで事業構想大学院大学の客員フェローとして事業創造人材の育成に従事。テーマは哲学・人類学など人文科学の知見と戦略思考を統合し、包括的で越境的なアイデアを実行すること。大手食品メーカー、大手衣料メーカー、大手実用出版社、大手通信企業などでサービスや商品をヒットに導いてきた。ビジネス思想家として活動し、2018年に出版した著書『その悩み、哲学者がすでに答えを出しています』はわかりやすく深い哲学入門書として各界称賛のロングセラー(4万部)に。共著に『ウケる技術』『電通B チームのニューコンセプト大全』など。累計25万部以上。ヒットコンテンツ、アイデア発想、職場の人間関係といった身近なテーマを、哲学や認知科学、ビジネス思想も交えて文理産学を融合して考える「知の変態」。2019年より社会人向けオンライン学習動画サービス「Schoo」で哲学講義を担当。

「2801年 『したたかな知的生産術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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