私は途中までこの本はスポーツマンガなのではないかと思いました。序盤の小指をヤギくんのおしりに入れたときの「独りですんの怖かっただろ?」からの「勇気が出せる」、そしてその後の「うまく出せたら今日の晩飯奢れよ」までのくだりはどう考えても某少年誌にあるスポーツマンガではないでしょうか?いわゆるこれは商業BL漫画ではなく、セッのスポーツマンガなのだ…と私は思ってしまいました。また口淫のシーン、「秒殺だぞ」もライバル校の主要キャラが主人公のいるチームに向けて放ったかっこいいセリフにしか思えません。
しかし、やはりこの漫画はBL漫画なのです。それは口淫のシーンのあと、ヤギくんが黒瀬の顔が忘れられなくなってしまうことから始まるのです。途中までゲラゲラ笑っていた私も、数回目の雨のシーンの「黒瀬、折り入って相談が」のセリフでは号泣してしまいました。その時の私はさながらスポーツ漫画で好きなライバル校が負けたときのような涙を流しました。
この作品の1番の見所は、黒瀬がヤギくんの王子様になるシーンだと思います。私は男性が"お姫様になる"というシチュエーションや設定が大好きで、この漫画の例のシーンを見たときにはやはり胸がとてもドキドキしました。
この攻め、あまり感情を漫画内で書かれていないのですが、読了後再読することで探っていけるのがとても面白いです。恐らく、雨の中ヤギくんが白崎さんと一緒にいたホテルの近くでセフレと一緒にいたのも計算の内の一つだったと思うのですが、それに気付いたとき黒瀬の計算高さに震えました。きっとこの先もヤギくんは黒瀬の掌でコロコロと転がされていくんだろうなあと思いました。
計算高くて執着心のある攻めが大好きな人にオススメの作品です!