面白すぎる!日本史の授業: 超現代語訳×最新歴史研究で学びなおす

著者 :
  • あさ出版
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本棚登録 : 533
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784866673660

作品紹介・あらすじ

大人の皆さんがかつて習ったあの歴史もあの人物もほんとうは……。
最新の歴史研究はどんどん進み、日本史はいまどんどん変わってるんです! 本書はそんな変わりゆく日本史を歴史好き芸人・房野史典氏がコミカルに、そしてNHK歴史探偵でおなじみ河合敦先生がアカデミックに解説します。 奈良の大仏建立は日本初の郊外案件?天下分け目の関ヶ原は一瞬で終わった? などなど「そうだったのね」の日本史が楽しく学べる一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • 私は50代であるが歴史が好きなので、小中学校で習った聖徳太子とか鎌倉幕府の成立について、40年前と今とでは教えていることも違うことは知っていたが、さらに突っ込んでみようとは思っていなかった。
    この本がPrime Readingの対象になっていたので、ちょっと見てみるかと思い見てみたが、歴史について、そして何でそのように教えているのかというところにまで踏み込んで書かれていることに興味深かった。
    聖徳太子が小学校、中学校、高校で教えている内容がバラバラだというのは大人の事情が知れて面白かった。

  • 日本史が苦手な私でも楽しめそうと思い読んでみました!始めの方は分かりやすく、面白かったのですが途中から人名がたくさん出てきたり、用語が難しかったりしてついていくのが難しかったです。でももっと日本史を勉強してみたいという気持ちになりました。

  • 令和4年のGW中にネットで見つけた本です、歴史本は好きで今までに多くの著者の書かれた本を追いかけてきましたが、この本の共著の一人である河合氏の本も面白いですね。

    この本では私のような年代あたりを対象に、かつて歴史の授業で習ったことが、現代の歴史研究によって学習内容に変更が生じた点を、その背景を踏まえて解説がなされています。特に、共著の房野氏の解説が面白いです、その後に河合氏が掘り下げた解説をしてくれています。この本の企画から出版まで2年を要したようですが、是非続編も出していただきたいものです。

    以下は気になったポイントです。

    ・聖徳太子(厩戸王)は、実在説を強く否定する研究者は少ないが、有力な皇子であるものの政治を主導したわけではないというのがほぼ定説になっている(p24)

    ・東大寺の大仏(盧舎那仏)は高さ16メートルもある巨大像で、これを作るには約500トンの銅が必要であった、その多くは長登銅山(山口)で賄われた。大仏の本体は錫との合金(青銅)で、この鋳込み作業は3年間で8回にわたっていて使用された錫の量は8.5トンに上った。その大仏に金メッキを施しているが、使用した金はおよそ400キロ以上、その金は陸奥国から調達できた、その知らせを聞いた聖武天皇は嬉しさのあまり、年号を「天平」から「天平感宝」(同年に天平勝宝に改元)したほどである。メッキのために、水銀に溶かして大仏に塗りつけてその後に表面を火で焼いて水銀を蒸発させる作業があるが、これにより多くの人が身体を壊したと想定される、この作業に動員された人数はのべ260万人以上、当時の人口は600万人(p36)

    ・桓武天皇は早良親王の怨霊に苦しんで長岡京(政治に介入する奈良仏教(南都六宗)の影響を断ち切るべく遷都した)を捨てて、平安京に遷都した。古代はある意味、怨霊が歴史を動かしていた(p48)

    ・鎌倉時代初期の幕府は全国を統治したわけでもなく、西国においては朝廷の力が以前強かった(p56)
    ・地方の郡や国単位の土地と住人を支配する者を戦国大名と呼んでいる、合戦をしなくても天下を目指さなくても戦国大名である(p60)

    ・天下布武の印を使った信長だが、天下は全国を意味する言葉ではなく畿内のこと、つまり畿内に室町将軍の政治を復活させようとした、それが天下布武の意味である、これが定説になりつつある、鎌倉新仏教は6つ(浄土・浄土真宗・時宗・曹洞宗・臨済宗)あるが、これは江戸時代まで残った6つの宗派を明治になって定義したもの、鎌倉時代に栄えたのは、幕府の保護を受けた臨済宗のみ。まだまだ鎌倉時代は、南都六宗(奈良仏教)や天台宗・真言宗などの旧仏教の方が圧倒的に力を持っていた(p63)

    ・日野富子が悪女と言うのも、幕府の財政を支えるための蓄財が生んだ誤解、応仁の乱の原因で重要な家督争いは将軍ではなく畠山氏の方であるであり、長い間唱えられてきた応仁の乱の認識が変わった、さらに戦国時代のきっかけは応仁の乱ではなく、明応の政変との説が有力となっている。(p96)

    ・室町時代、東国は幕府の出先機関である鎌倉府が支配していた、その長官を鎌倉公方、それを補佐して政務を取るのが関東管領である。鎌倉公方には足利尊氏の子孫、関東管領には上杉一族が代々就任していた、その後、鎌倉公方は下総国古河に逃れた成氏(古河公方)と、伊豆国を拠点とする将軍義政の異母兄である政和(堀越公方)とに分裂した。(p106)

    ・北条早雲は本当の名前は「伊勢新九郎盛時」であり、室町幕府政所執事の氏族であった、盛時はこの伊勢氏の庶流で備中国荏原郷を所領にもつ備中伊勢氏の生まれであった(p113)

    ・足利義昭は信長の傀儡だっという説も、最近の研究では否定されている、ある時までの二人は武力と権威を補完し合う関係であった(p125)

    ・関ヶ原の戦いは、開戦と同時に小早川秀秋が裏切り、それが原因でわずか2時間以内で決着のついた戦いとなる、問鉄砲や先陣争い(井伊直政と福島正則)もフィクションであろう(p165)

    ・士農工商という4つの身分制度はなく、武士と百姓・町民に大きく分かれ、江戸や大坂の城下町には、武士と町人が集められた(p181)農村に住んでいるのが百姓、町(城下町)に住んでいるのが町人、というように居住区や職業の区別はあっても身分に上下の差はない(p182)

    ・鎖国はなく4つの外交窓口があった、長崎(清、オランダ)、対馬(朝鮮)、薩摩(琉球)、松前(蝦夷)(p189)

    ・清の時代の銅銭材料の6−8割は日本から輸入した銅であった、江戸中期の日本は銅を清やオランダに輸出していた(p200)

    ・この本で伝えたかったことは、歴史は不変ではなく研究によって更新されるということ、1つの歴史的事実が解き明かされる裏には研究者の大変な努力がある、先行研究を読み込み、新たな史料を探しその上で先行研究とは何が違うのかを明らかにする、それを学術論文として発表する(p278)

    2022年5月8日作成

  • 非常にテンポが良く、日本史の話なのにすぐに読み終わってしまった。歴史に興味を持つきっかけになった

  • 鎌倉幕府は『いい国つくろう』ではなくなったことと大化の改新が乙巳の変に名前が変わったことは知っていましたが歴史の認識が変わったことがこんなにあるとは…と読んでおどろきました。
    小中高と年齢が上がるにつれて影が薄くなる聖徳太子の扱いには専門家の方々の苦労を感じます。
    織田信長のイメージがかなり違うのが一番のおどろきでした。

  • 面白かった。でも長年染み込んできたエピソードを拭うのって難しい。。。

  • 面白くて一気に読み終わった。勉強向けではないけど、目次を見たら各章のタイトルが面白くて手にした一冊。歴史好きじゃなかったら途中で飽きちゃうかも。

  • 高校から世界史選択の私にとっては、
    基礎知識がないばかりに置いてけぼりになる部分もあったけどそれでもサクサク読めて面白かった〜
    世界史版もほしい。

  • 特に目標もなく歴史の本を手にとってみる。
    なるほど歴史とは固定されたものではない。誰がどのような視点からみたかで真実は変わる。人の数だけある真実の中で何を学ぶのか。実際にあった出来事は間違いないかもしれないが、それについてどう考えるのか、背景を探ってみるのは面白い。
    今まで覚えた全部まではいかなくても、デタラメだったらそれもまたよし。
    もっと歴史に興味があれば、もっと楽しく読めたんだと思う。

  • 日々の研究によって歴史認識が変わってきているという事実。
    定期的歴史のアップデートが必要だなぁということを認識

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著者プロフィール

1965年、東京都生まれ。青山学院大学文学部史学科卒業、早稲田大学大学院博士課程単位取得満期退学。文教大学付属中・高校教諭。早稲田大学教育学部講師。教育活動の傍ら、精力的に執筆活動も行なっている。

「2016年 『大学入試問題から日本史を学びなおす本(仮)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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