アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり (9) (ゼノンコミックス)

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  • コアミックス
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (164ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784867204290

作品紹介・あらすじ

イスラム教の女性患者が、日本の医療現場で感じた違和感を払拭するため、萬津総合病院で特別女性チームが発足! さらに薬学生が実習で薬剤部に訪れるものの、ある問題を抱えていて…。医療の未来を切り開く第9巻!

感想・レビュー・書評

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  • 緊急入院したイスラム教徒の女性患者・ワユニ。言語や文化の壁を感じて医療機関を避け続けてきた彼女。萬津総合病院は「外国人患者への対応と検証」のチームを発足し、医療チームを結成して対応する!後半では、男女1人ずつの薬学生の実務実習受け入れがスタート!しかし、実習は病院内に思わぬ混乱をもたらして──。

    前巻から引き続き、イスラム教徒の患者回第二幕。息子・ファジャルの病状は安定したものの、その母・ワユニを襲った異変。言葉も通じず、文化も違う──そんな孤独な中で病に侵され、通院しなくてはいけない。家族がいるとはいえ、想像を絶する不安だよね。ぼくの身近な総合病院も外国人受け入れのために工夫していてすごいと感じる。

    「カルテだけじゃなく患者を見ろって それは外国人だろうが戒律の厳しい宗教だろうが関係ない」
    瀬野の言葉に不意を突かれる。外国人やマイノリティへ気を遣っているようで、属性だけを見て、まったく患者を見ていない空回り。患者を見る──誰が相手であろうとそれが基本なのだ。「相手を知ろうとすること」からすべてが始まっていく。

    実務実習編は大波乱な予感…というか、すでに最悪なことをやらかしていて恐ろしい。室井のあの態度はあっけに取られてしまった。「人の心とかないんか?」と。いいところが一つもない(笑) 彼は彼でコンプレックスを抱えてそうだけど、病院に来たら医療人というのはその通り。患者の害となる実習生は存在感を消した方がマシ。でも、そのまま有資格者になられるのも怖いよな…。彼女に対する態度も劣等感マシマシで、実習のために利用してるだけでは?とすら思えてくる。彼の過去を知る旧友の存在がどう出るか。丸川の方の糖尿病患者も難題になりそうで続きを読むのが怖い。

  • 薬学生の実習がメイン。
    一見優秀そうだけれどやる気が無い子と、あたふたしている子。
    しかも2人は付き合っているという、結構ありそうな設定。

    病気の認識が薄い患者さんの相手は大変そうというか
    こんなにもりもりやりたい放題できる患者さんのメンタルが強すぎて凄い。

  • 外国籍の患者さんと医療の問題。
    言葉が通じても不安の多い病院という場所で
    意思の疎通が難しいと、不安もふくらむ。
    今は便利な翻訳機もあるけれど
    薬や治療のことは微妙なニュアンスで
    伝えにくいこともあるだろうし
    現場の方々の苦労がしのばれます。
    でも、やっぱり最後は人と人だと思いたい。

    後半は実務実習の若者たちとの物語。
    こっち(ジェネレーション間)の
    意思の疎通も大変ダァ!

  • どうもこの漫画は本当に難しい題材には深入りしないでちょっといい話程度でお茶を濁して終わることが多いな。
    そうこんなうまく行かないし、一番無難な線で落ち着いて尻切れに終わってしまうのが気になった。
    新しい話もショッキングなのは最初だけにならないか不安だ。
    みどりの顔芸が多彩なところはよかったが。

  • 2階マンガコーナー : QV021/ARA/9 : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410168952

  • 外国人対応の難しさありますね。実習生編が始まり、双方にどんな化学変化があるのか楽しみです。

  • 研修制度について。安定のクォリティ。

  •  病院薬剤師を描く9巻は短編を挟んで、少し腰を据えた中編が始まった感のある巻である。
     ざっくりと内容を見てみると、

    ・在日イスラム教徒の患者(女性)への応対

     という短編的な2話完結の物語が描かれて、残る3話分で

    ・病院実習に来る薬大生
    ・糖尿病を罹患したグルメ系の雑誌の編集長
    ・薬大生と旧知の妊婦(※正確にはパートナーが旧知)

     といった辺りがトピックとして描かれている。
     後編の展開は次巻にまたがる形で、どれくらいの規模感は現状分からないが、中編~長編の形で描かれてそうな重さのある新編である。

     宗教、あるいは異国の文化の違いや言語上の問題、そこから生まれてくるトラブルといった前半の内容も興味深い。
     しかし、やはり中心的なのは後半だろう。
     このエピソードでは

    「改めて(研修生の視線を通して)病院薬剤師の実際の仕事を分かりやすく描く」

     という意図が感じられる。
     この物語を通じてトピック的に現場を知ることはできるが、現場を知らない読者としてはこうしたエピソードは望ましいものがあった。
     関係者からすると、少し基本的過ぎるかもしれない。だが、それが逆にありがたい。

     同様の視点で見ると、糖尿病患者の飯島さんにおける齟齬は興味深い。
     おそらく医療従事者の視点では

    「ああ、居る居る。病気を甘く見てる患者の典型だなあ……」

     ぐらいの感覚で見てしまうだろう。
     ただ、この物語上の描写を見ていると、医療の素人の側からは

    「本当に患者に対する説明は果たされているのか?」

     という疑問点が浮かんでくる。
     彼女には「一生付き合っていかないといけない病気が発覚した」という自覚が欠けているが、その自覚を促す(明確にコンテクストを定める)行動はインフォームドコンセントの範疇に思える。
     作中ではあくまで薬剤師の説明が描かれているに過ぎない。
     ただ、お互いが前提にしている認識に齟齬があり過ぎるのが目に付くのだ。

     色々な意味で今回も興味深く読ませていただいた。
     今回も星五つで評価したい。

  • 言葉の通じない国で生活する不安が、体調が悪くても医療機関の受診控えを招く。その結果、もしも病が進行していたら悔しすぎる。日本で暮らす外国人が、宗教や言葉の壁を不安にする事なく医療機関を受診できる環境が増えればいいと思う。
    そして薬学部の実務実習生編。適当に流している感のある実習生がどう変化していくのか、次巻が楽しみ。

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著者プロフィール

荒井ママレ: 著作に『おもいでだま』全4巻、『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』全1巻(どちらも小学館刊)

「2023年 『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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