アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり (11) (ゼノンコミックス)

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  • コアミックス
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784867205730

作品紹介・あらすじ

製薬会社の工場火災により起きた「医薬品不足」。その波は萬津総合病院薬剤部へも到達していた。患者たちの処方が次々と変更になる中、過敏性腸症候群の患者は薬が変わることに対して不安を募らせるのであった…。

感想・レビュー・書評

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  • 製薬工場の火災により、全国的な医薬品不足が発生。萬津総合病院では薬剤の調整に奔走する医薬品情報室へ羽倉がサポートに入った。患者はいつもの薬が手に入らない不安に駆られ──。

    製薬工場や倉庫の火災、製造工程での不正発覚など、現実でもあった医薬品不足が描かれる。まさに他人事ではない問題。代替品があっても、出荷調整で手に入らない。後発品が手に入らない場合は先発品に(薬価が高くなる)。製造がない場合は違う薬に変更するしかない。その混乱の背景には、医療費削減のために国が薬価を下げてジェネリックを推進したことがあった。

    国が決める薬価は下がるのに、輸送費などのコストは上がっていく。だから業界全体が供給ギリギリを狙って生産を計画する。すると、何かあった時のために在庫を確保しておいたり、急な増産ができなくなってしまう。患者としては「薬価が下がって助かる」と思ってしまっていたけど、その裏側を知ることができてよかった。現場の薬剤師たちは対応に追われるという負の連鎖に。別に薬剤師が悪いわけじゃないのに、矢面に立たされてしまうのは悲しい。患者も社会の一員として知る必要があるよね。

    医薬品情報室(DI室)の業務にいずれつきたかった羽倉は、医師、薬剤師、患者の連携がとれていない現状を変えるため、DI室へサポートに入る。そこでIBSの患者・名波(ななみ)が薬を変更したことで症状が悪化した問題へと当たることに。ぼくも確定診断はもらっていないけど、ガス型IBS的な症状があってミヤBM、ジメチコンと、症状が酷い時はイリボーにお世話になっている。ぼくの不安障害も同じく、ストレスが関係する病気は薬変更がストレスになるよね。そんな出したい薬はない!という逆境で導き出した答えはすごかった。薬だけが患者を治すわけじゃない。医療はチームなんだ。

    アレグラ(抗ヒスタミン薬)って花粉症のイメージがあったけど、蕁麻疹にも使うのは知らなかった。第二世代の薬が出て、昔みたいに眠気に襲われるってことはなくなった。ただ、それで油断してると恐ろしいことに繋がると勉強できてよかった。こういう啓蒙って大事だなと。

    そして、在宅薬剤師の世界に飛び込んだ小野塚と、薬剤師3年目が終わるみどりの焦り。激流のような毎日に流されながらも、薬剤師としての生き方を決めていかねばならない。次回の小野塚編が楽しみ。

  • 医薬品工場火災の影響で滞るあ薬品状況にどう対処しているかが描かれます。折しも医薬品不足。薬剤師の活動に頭が下がります。
    モチベーションをどう維持するかも興味深く読みました

  • 薬の製造自体がされていないのに確保しろと言われるのは気の毒過ぎる。
    薬剤師さんの発注漏れのように受け取られるのも困ったものだ。
    国が積極的に介入すべきなのだろうが、報道すら足りていないと思う。

    羽倉くんは自分からDI室に言ってみたり病院を移ることも考えてみたり
    やりたいことがはっきりしていて自分の考えもあってすごいと思う。
    仕事も早くてポスターやチラシもすぐ作るし
    ちょっとずつでも良い方に変わっていくと良いな。

    アレグラは花粉症のイメージがあったので、蕁麻疹にも使われるとは知らなかった。
    市販の薬を薬局が勧めることもあるのだな。
    同じような薬でも眠くなるものもあればそうでないものもあるのは
    やはり素人では分からないし、素人判断で勝手に量を増やして飲むなども危険だなと改めて思った。

  • ステロイド、自分はもう長いこと使っているので、世間ではそんな反応があることすら忘れていた。
    飲み過ぎの話もまあわからなくはないかな。
    蕁麻疹でそれやるってのもどうかと思うが。
    いや自分はたまたまうまいことやれていたからこう言えるのかねえ?
    今回は意外と身近な話題なはずが、しかしなんかひとごとだったかも。
    同じような目に遭っても悩むポイントが人によって全然違うのは当たり前か。

  • 薬剤供給に関する問題提起。コロナ前からの課題だけど、より可視化されたこともあり、国としても向き合い方の是正が望まれるところ。でもきっと、のど元過ぎれば…みたいな感じに放置されるのではないか、と。そういうのってもう、宿痾みたいなもんだな。

  • 毎巻思いますが、この漫画本当に勉強になりますね。しかも教科書的な描き方ではなく、いろんな立場によって同じ問題の捉え方とかアプローチの仕方が異なることが知れて考えさせられる。私は薬剤師ではなく、たぶん美化されて描かれているところもあるだろうと思いますが、それでもこの漫画を読んで薬剤師を応援する気持ちが増したことはあると思います。

    医薬品の不足についてはここ2年くらい関心を持っていました。もちろん患者さんや薬剤師を含めた医療従事者が皺寄せを受けていることも分かったうえで、メーカーや卸も大変だなと思っていた。薬価の仕組みって難しいなと思っていた。そのことが取り上げられて、問題の背景が広く知られるようになるとすれば意義の大きなことだと思った。
    国民の医療費を国民が節約するために、お医者さんにかかるばかりでなく、市販薬もうまく活用して、自分の健康を自分で管理する意識を持たないとならないなと思った。あと、特に薬剤師に対しては処方箋がなくても健康相談しやすい仕組み、つまり10割負担してでも必要な時に健康サポートしてもらえるサービスがあってもいいのではないかなとも思った。そして、製薬メーカーについては日本に対してそっぽを向かれないような薬価の仕組みとできるよう国に見直していってほしいなと思った。

  • 漫画内では製薬工場の火事のためだけど
    現実にも「医薬品不足」は起きていて
    それがこんなふうに波及的に影響していると
    よくわかりました。

    代替薬の確保や、薬効の広報に頑張る羽倉君。
    生真面目に取り組んでいるけど
    うまく歯車がかみあわないってことあるよな。
    最後は連携が取れて良かった(^_^)

    それから、薬の勝手な服用は
    やはり怖い…と思わされる話も。
    CMの「用法用量を守りましょう」は本当ですね。

  • たまに配信されるDIニュース、今度からもっと真面目に読んでみよう。

  • 出荷調整問題、インペアードパフォーマンス。

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著者プロフィール

荒井ママレ: 著作に『おもいでだま』全4巻、『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』全1巻(どちらも小学館刊)

「2023年 『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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