諏訪根自子 美貌のヴァイオリニスト その劇的生涯 1920-2012

著者 :
  • アルファベータ
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784871985772

作品紹介・あらすじ

天才美少女として注目され、ヨーロッパへ留学、ゲッベルスからストラディヴァリウスを贈呈され、戦後は日本各地で演奏するも、やがて沈黙。二十年の空白の後、バッハの無伴奏で復活を果たした、伝説の演奏家、その初の評伝。

感想・レビュー・書評

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  • 事実は小説よりも奇なりというが、まさに劇的生涯である。
    大正から昭和、そして平成へという激動の時代に生き、大戦に翻弄されたヴァイオリニスト、諏訪根自子。映画女優といっても通用するような美貌の持ち主でもあった。
    天才少女と世間の話題をさらい、昭和11年に16歳でヨーロッパへ留学、日本人ソリストとして初めてベルリン・フィルやウィーン・フィルと協演、そしてナチスの宣伝相、ゲッベルスからストラディヴァリウスを贈られている(それは一体どこから入手したものなのかという疑惑に生涯付きまとわれた)。
    ドイツより命からがら脱出したエヒソードや、帰国後の活躍など、その足跡は興味深く、あっという間に読み終えてしまった。
    日本のクラシック受容史としても読め、これまでどのようにして日本のクラシック演奏が発展してきたかということも合わせて知ることができた。

  • キングレコード CDあり

  • その不思議な名前と簡単な経歴しか知らなかった人なのに、その生涯を知って、その波瀾万丈と求道者のようなバイオリンへの思いに、ため息が出てしまった。もう少し詳しく知りたい彼女の思いなどもあったけれど、それは本当に個人的なもので、私が知るべきことではないのかもしれない。
    何かを一心に究めようとする人は、人を惹きつけるのだなぁと思う。

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4871985776
    ── 萩谷 由喜子《諏訪 根自子 美貌のヴァイオリニスト
    その劇的生涯 1920-2012 20130219 アルファベータ》
     
    ♀諏訪 根自子 Violin 19200123 東京 20120306 92 /“美貌の天才少女”
    /籍=大賀 小四郎の妻
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/20040121
     天才の日々 ~ 一月二十一日生れの人々 ~
      
    …… ドイツ駐在の外交官だった大賀小四郎と48歳で結婚するが、大賀
    は戦前において妻子があり、戦後は東大教養学部でドイツ語の助教授、
    教授を務め、定年前の59歳で西独公使になり、任期を終えて獨協大学教
    授になっている。だが残念ながら大賀には学者としての業績はほとんど
    ない。萩谷は、東大独文科教授としているが間違いである。それと、妻
    子があったわけで、離婚に十年かかったことなど、戦後の根自子と大賀
    のかかわりという、最も興趣深いところが書かれていないのが残念であ
    る。(というか、それを書いてこそのノンフィクションだと思う)写真
    多数で、若い時から、老いてなお美しい姿もおがめる。なお根自子を扱
    った小説として、里見とん『荊棘の冠』(講談社文芸文庫)と、佐藤春夫
    の遺作「珠を抱いて泣く」がある。
    http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4871985776
    ── 小谷野 敦 (東京都杉並区) 《美貌のヴァイオリニスト 20130224 》
     
    (20140330)
     

  • 逢坂剛「さらばスペインの日日」を読むと,戦中を欧州で過ごし,戦後アメリカ経由で送還された人たちのことが出てくる.その中にこの諏訪根自子の名前もある.最近亡くなったのを覚えていたのでこの本を手にとってみた.

    この本は一応諏訪根自子の評伝ということになろうが,よく調べてはあるものの,踏み込みが足りなくてちょっと残念なでき.

    ゲッペルスから贈られたヴァイオリンの正体もはっきりしないし,なぜ突然,キャリアの長い中断があったのかもわからない.不倫の上での結婚にも軽く触れられているだけ.引退のきっかけは?引退後の生活は?なんていう読者の当然の疑問にもまったく答えてくれない.一人の音楽家のキャリアの紹介ならそれでいいんだけど,著者の目標もそれではなかったはず.

    それにしても,「敵性語」を「適正語」と書いたり「週刊文春」を「週間文春」と書いたり,必要のないと思われるところで,文学的な(?)表現を使ったり,難しい字を使ったり.編集者はなにも言わなかったのだろうか.

  • 映画女優のようなポートレート、帯に書かれた「霧のヴェールに覆われた生涯」の文字に惹かれて手にとりました。
    クラシックには疎いので彼女のことは初めて知りましたが、戦前、貧しい環境にありながらヴァイオリンを学び、ヨーロッパ留学、ドイツ軍が侵攻したパリからドイツへ、そしてドイツ敗戦後アメリカへ収容され、やがて日本へ。そして一世を風靡。
    その波乱万丈の人生に圧倒されました。
    その中でも、生涯気品のある落ち着いた方だったようです。尊敬。

  • 図書館の本 読了

    内容(「BOOK」データベースより)
    天才美少女として注目され、ヨーロッパへ留学、ゲッベルスからストラディヴァリウスを贈呈され、戦後は日本各地で演奏するも、やがて沈黙。二十年の空白の後、バッハの無伴奏で復活を果たした、伝説の演想家、その初の評伝。

    戦火の中楽器だけ抱えての避難の先の帰国。
    敗戦国からの贈り物の盗品疑惑。
    戦後結婚した相手の仕事と立場。
    そんなものが無ければたくさん録音も演奏も、そして弟子も残ったでしょうに、時代のせいにしていいのか、とても残念です。
    偽物の可能性。
    それを知らず旅立たれたのは幸い。
    参考文献で読んでみたい本多数ありました。
    そちらにも感謝。
    彼女の録音は聞いてみたいと思います。

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著者プロフィール

音楽評論家。東京生まれ。幼時からピアノと邦楽、日本舞踊を学び、立教大学卒業後カルチャー教室講師(箏曲)を経て音楽教室を主宰する。その傍ら音楽評論を志鳥栄八郎氏に師事し、FMクラシック音楽番組の放送原稿執筆を機に評論生活に入る。現在『音楽の友』『モストリークラシック』『音楽現代』『ショパン』各誌に定期執筆。新聞、一般誌に随時執筆。全国各地のホールや大学で多彩なテーマによるクラシック音楽講座を開講中。専門研究分野は女性音楽史、日本のクラシック音楽受容史。ミュージックペンクラブ・ジャパン会員。日本三曲協会会員。山田流協会会員。

「2013年 『諏訪根自子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

萩谷由喜子の作品

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