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- Amazon.co.jp ・本 (425ページ)
- / ISBN・EAN: 9784872330526
感想・レビュー・書評
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『風花の舞』
君は、と、瑞生は言った。
「――お母さんのためだけに生きているの?」
わからない、と、晶は首を振った。
「でも、あの人が生きているかぎり俺は捨てられない」
「捨てられないって……何を?」
「俺の命を――人生をさ」
変だな、とその声は自分を嘲笑うように低く続いた。
「狂った母さんがいるから生きてなんかいたくないんだろうと思ってたのに……でも母さんがああじゃなければ死んじゃってるかもしれないなんて――」
僕は、とややあって瑞生は言った。
「君のお母さんに感謝している」
「……え……?」
「だってきみをこうして生かしていてくれるんだもの」
晶が息をのんだ気配が伝わった。
「君はほんとに僕にとって菩薩だった」
「そんなこと――」
「君は気づいていなくても、君は僕を救ってくれたんだ。僕は今、ほんとに幸せなんだよ」
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