かかわりあいの人類学

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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872597455

作品紹介・あらすじ

フィールドワークの極意と真髄とは何か。「他者」への理解、他者との「共生」に必要な手がかりを探る。――
 人類学の基本はフィールドワークである。それは、自己とは文化・社会的背景の異なる「他者」と長期間接することによって、他者を深く理解する「かかわりあい」の営みである。人類学にとって「かかわりあい」は、研究に必要な一次資料を集めるためのたんなる手段ではなく、他者との相互作用であり、その過程で自己も他者も変容していく。また、かかわりあいの道程はけっして平坦なものではなく、煩わしさ、誤解や葛藤に満ちている。研究対象との個人的なかかわりを回避して科学的な客観性を保とうとする他の人文学・社会科学と人類学は、この点で大きく異なっている。
 しかし、人類学にとって本質的に重要な営みであるにもかかわらず、「かかわりあい」はこれまで研究テーマとして主題化されることは少なかった。本書は、「かかわりあい」が持つ学問的な意義とは何かを正面から問う、日本語では最初の人類学の書籍である。日本を含む世界各地で実施したフィールドワークの過程で、他者とどうかかわったのか、それは自己と他者にとっていかなる経験であったのかを、具体的かつ批判的・自省的に考察し、フィールドワークにおける、そして人類学における学びや気づき、そして発見を伝授する。
 かかわりあいは、人類学だけに限定される課題ではない。すべての人間は、他者とのかかわりあいの中で日常生活を送っている。個人の孤立や、人間同士のつながりの希薄化が問題となっている一方で、多様な他者を包摂することが求められている現代社会において、自己が属する社会とは空間的にも心理的にも遠く離れた社会に自ら進んでおもむき、他者とのかかわりあいを求める人類学者のあり方は、普遍的な意味合いを持っている。
 人類学とはなにかを学ぶことができる教科書として、また、異文化理解・多様な他者との共生を考えるための実践的な入門書として最適の1冊。

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著者プロフィール

大阪大学大学院人間科学研究科教授。
奈良県生まれ。1980 年京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。修士(文学)。国立民族学博物館助教授等を経て、2000 年大阪大学大学院人間科学研究科助教授。2003 年から同教授。社会人類学とアフリカ民族誌学を専門とし、南スーダンのパリ人と、エチオピア西部のアニュワ人を対象とする長期のフィールドワークに従事。個別社会に関する狭義の民族誌的調査研究を継続する一方で、内戦や民族紛争、難民、食料安全保障、人道援助、平和構築と戦後復興といった領域に研究テーマを拡大し、取り組んでいる。

「2022年 『かかわりあいの人類学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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