- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784874154458
作品紹介・あらすじ
民権と国権の相克から誕生し、インドの独立、孫文の中国革命の支援など、アジアの自立に向けて活動した玄洋社。頭山満らの足跡を克明に追い、彼らが夢見た世界とその実像に迫る。
感想・レビュー・書評
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「緒方竹虎と日本のインテリジェンス」関連本。読売新聞西版連載。
新聞連載だけあり、丹念に証言が集められ、時代背景の説明もわかりやすい。現代史の中では、さらっと触れられる玄洋社とその周囲の人々が、確かに生きていた人として浮かびあがってくる。
箱田六輔、来島恒喜、中野正剛、緒方竹虎、広田弘毅。福沢諭吉、中江兆民、杉山茂丸、夢野久作。孫文、蒋介石、ラス・ビハリ・ボース。濃い。
高場乱、楠瀬喜多、西岡絹といった女傑たちも印象的。
数々のエピソードから、西郷隆盛に通ずるような人間的に魅了のあった人であることがわかる。渋沢栄一もそうだが、個を超えた使命感に畏敬の念を抱く。そして彼らをもってしても止められなかった戦争を思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
頭山満とその周辺の人々を描く一冊。著者二人はいずれも新聞記者で本書も読売新聞への連載を単行本化したものである。したがって、文章は大変読みやすい。
「人ありて」というのは本書の示さんとする頭山満像をよく表している。思想云々の前にまず人間だ、頭山が人間として魅力的だったからこそ彼のもとにはたくさんの有志が集ったのだ、というわけである。ゆえに本書は豊富なエピソードをもってその人間を描こうとする。それらのエピソードはとても興味深いものであり、明治人の強烈なバイタリティを物語るものである。これを読むと、かの時代と現代、この間に人間は確かに変化したのだと思わざるをえない。
もちろん本書ではこのアプローチの帰結として、頭山の思想的変遷についてはほとんど語られないし、背景となる歴史に対する叙述も薄い。一人の人間を歴史上に位置づけるには、やはりその部分は外せないと僕は思う。また、新聞連載ゆえかもしれないが、叙述対象があちこちに飛ぶので、頭山の伝記として読むにはやや難があると注意を促しておきたい(なお、著者の一人・井川聡氏は最近、潮書房光人社より『頭山満伝 ただ一人で千万人に抗した男』を刊行されたようである)。 -
玄洋社について、解りやすく知ることができます。