内村剛介著作集 第5巻: 革命とフォークロア (内村剛介著作集(全7巻))

著者 :
制作 : 陶山 幾朗 
  • 恵雅堂出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (610ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784874300459

作品紹介・あらすじ

ロシアとは一個の「逆説」である。その象徴としてスターリンがある。……革命に突き進んだロシアの本質をフォークロアという視座から見据えたユニークなロシア・ソ連論。
●「ロシア文化」の文学的根拠としての「フォークロア」
スターリン・ラーゲリの囚人には、たとえ飢え切っても、労働の合間に詩を唄を口ずさんでいた詩人が存在した。このラーゲリ・フォークロアに関する親近から、著者のロシア文化への関心は口承芸術・フォークロアへの考究に赴く。このことは、たとえ飢えの極地にあったとしても真実を表現する、せざるを得ない存在ではないかという、著者固有の人間の誇りと言葉への確信にも通ずる。
●ロシアでは「馬鹿」が勝つ——逆説のロシア
著者によれば、ロシアを理解する鍵は「逆説(パラドックス)」にある。例えば、ロシアにおいては愚者が賢者に最終的に勝つ(イワンの馬鹿)。無知は力である(スターリン)=知は災いである(グリボエイドフ)。あるいは「逃亡こそ美徳」(コロレンコ)「弱き者こそ打て=ムジークを殴ればマッチを発明する」(ラーゲリ俚諺)など。この逆説のうちにロシアはその本質を顕す、と。
●ロシア・ナロードとは誰か
フォークロアの担い手としての「ロシア・ナロード」とは誰か。著者は、その本質は「ブラトノーイ=無頼=やくざ=マフィア」であり、そこを押さえることがロシアの運命を見究める上で重要であるという。本巻は、ロシア人の普通の佇まいから、ロシアやくざの動態までを視野におさめ、著者の肉眼を通した、聖から俗の極みに至るロシア及びロシア人論を収録する。
●ロシア革命&スターリニズムとは何であったか
20世紀にとってあのロシア革命とは何であったのか。革命の勝利は思想の中絶によってこそあがなわれたとする著者は、それが同時に「ユートピアへの磔刑」にほかならなかったことを示して、崩壊に向かうロシア・コムニズムの運命と20世紀の終末を重ね合わせる。

著者プロフィール

評論家、ロシア文学者。一九二〇年、栃木県生まれ(本名、内藤操)。一九三四年、渡満。一九四三年、満洲国立大学哈爾濱学院を卒業。同年、関東軍に徴用され、敗戦とともにソ連に抑留される。以後、十一年間をソ連内の監獄・ラーゲリで過ごし、一九五六年末、最後の帰還船で帰国する。帰国後、商社に勤務する傍ら文筆活動を精力的に展開し、わが国の論壇、ロシア文学界に大きな影響を与える。著書に『生き急ぐ—スターリン獄の日本人』、『呪縛の構造』、『わが思念を去らぬもの』、『ソルジェニツィン・ノート』、『流亡と自存』、『信の飢餓』、『失語と断念』、『ロシア無頼』、『わが身を吹き抜けたロシア革命』など多数。また訳書にトロツキー『文学と革命』、『エセーニン詩集』などがある。一九七三年から七八年まで北海道大学教授、一九七八年から九〇年まで上智大学教授などを勤める。
二〇〇九年一月死去(享年八十八)。

「2013年 『内村剛介著作集 第7巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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