文字の霊力 (杉浦康平 デザインの言葉)

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  • 工作舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784875024590

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  • 杉浦康平デザインアーカイブ特設サイト「デザイン・コスモス」を公開しました | 武蔵野美術大学 美術館・図書館
    https://mauml.musabi.ac.jp/news/20159/

    「杉浦康平デザインの言葉」概要/工作舎
    https://www.kousakusha.co.jp/DTL/sugiurakotoba.html

    文字の霊力/工作舎
    https://www.kousakusha.co.jp/BOOK/ISBN978-4-87502-459-0.html

  • 前半部分が特に興味をひかれた。

    以下引用

    清冽な書が記す紙の上を走る点・面の軌跡とは、こうした自然気のゆらぎをなぞる全身的行為の、二次元への投影なのではないか。文字とは、自然と人間との、深々とした交換運動の結晶として生まれでたものなのではないか

    人のふるまいをのせ、全存在を映し出す文字、声の波動とともに天の啓示を請来する文字、そして微塵を体内化して凝集する文字、、、。いずれもが、音素や形態素としてあつかわれた記号としての文字ではなく、呼吸し血脈されもつ、凛凛とした気をはらせる生きた文字であった

    異形のたたずまいをもつ文字に出会うたびに、文字は生き物だという強い実感が私を包み込んだ

    楔形文字を見つめていたパビロニアの老学者が、突然眼のなかで、文字の一点一画が縦横の棒へと解体してしまうとう話。そのとき、バラバラな点画を結び付け、意味や音を生み出すものは、文字霊でないか

    漢字には、かつての記憶を絶対に手ばしたくないといった造形の魂魂を感じます。

    漢時のおもしろさの根源-中国の人は即座に、それは絵だという。単なる点群、あるいは一点一画の集積ではなく絵とか相という全体像として見とる。つまち漢字には、ドットまで解体してはならないという、グリッドやメッシュとは次元を異にする強い意志がある

    文字というのは、まず砂や土、骨の上に記された、つまり「場」と非常に深くかかわろうとする意志を持っていた

    漢字は一個ずつの文字のなかに意図を増やしていく・

    文字は、身体の運動軌跡。身体が動いて、初めてうまれでる。気配や気がにじみ出るもの。

    ★イルカの音声をテープに録音したんだけど、ある時、それを自分で書きたくなって書いた。ところがアルファベットだと、イルカの持っている音に合わない。
    →感じで書いたらどうですかと。

    ★★イルカだけでなく、人間以外の話し声や風の声とか、鳥のさえずり芋虫のつぶやき、、、とかを文字化するとしたらどうなるのか。

    漢字について考えるとき、私はまず太極拳や気功に想いをはせる。古代中国で創案されたこの心身の鍛錬法。宇宙に遍満する大気のひろがり、その絶え間ない流動が万物の生成・変化・消滅をつかさどると考えた

    気功は、活力に満ちた外気をとらえ、身体に取り入れて気力を養う修行法

    漢字は、単なる機能性を超えて、天の声をきき、天地自然のふるまいを写し取る聖なる道具として使われていた
    →世界の「意志」としての記号過程の定着。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784875024590

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著者プロフィール

杉浦康平(すぎうら こうへい)
1932年、東京生まれ・東京芸術大学建築学科卒。グラフィックデザイナー。
現在、神戸芸術工科大学名誉教授、同大のアジアンデザイン研究所所長を歴任。2011年秋、それまでの半世紀余にわたるデザイン作品の寄贈先である武蔵野美術大学美術館・図書館が「杉浦康平・脈動する本」展を主催。ブックデザインの集大成といえる作品群が一堂に会した。引き続きデザインアーカイブ特設サイト「デザイン・コスモス」が構想され、2021年に公開。主な受賞に、1997年の毎日芸術賞および紫綬褒章、2019年の旭日小綬章がある。
主著に、万物照応劇場シリーズ『日本のかたちアジアのカタチ』(三省堂)、『かたち誕生』(日本放送出版協会)、『宇宙を叩く』(工作舎)がある。また、本書『本が湧きだす』を含む「杉浦康平デザインの言葉」シリーズは、2010年『多主語的なアジア』(工作舎)から刊行をスタートした。2014年には、ダイアグラムと時間をテーマに『空間のシワ・時間のヒダ』(鹿島出版会)ほか、多くの著作がある。

「2022年 『本が湧きだす』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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