近代日本の朝鮮認識 (研文選書 52)

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  • 研文出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784876361083

感想・レビュー・書評

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  •  本書は、日本と朝鮮問題を扱ったいわゆる「左派」の本であると思う。
     現在でも、韓国や中国とは「歴史問題」での軋轢がしばしば噴出するが、このような問題は「政治問題化」するだけあって「左・右」の意見が鋭く対立している場合が多い。
     本書は、一貫して「日本の朝鮮侵略」という厳しい視点から「日清・日露戦争」をはじめとした日本の歴史を考察しているが、「政治問題化」している課題である以上、本書の主張をすとんと飲み込めれる読者は限られるのではないかと思った。
     「韓国併合」や「日清戦争・日露戦争」の性格への評価は、本書では「侵略」と一貫しているが、そうスッキリ結論づけていいものかどうか。
     日本において、歴史問題の評価は簡単に結論づけられるほど国民の意識はいまだ成熟していないのではないだろうかと考えてしまった。
     本書は、歴史問題のひとつの視点を知るという点は、評価できるかもしれないが、もっと幅広い考察が必要なのではないかとも思えた。
     それにしても、日本は東アジアにおいて「日清戦争」「日露戦争」「韓国併合」「満州国建国」「帝国の破綻」と凄まじい冒険と挑戦の歴史を歩んできたものである。
     現在の平和ボケしている日本人が過去におこなったとは信じられないほどである。
     本書を読んで、これらの歴史を日本人自身が冷静に評価できるようになるには、まだまだ時間がかかるということだろうかとも思った。

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著者プロフィール

1929年、大阪府に生まれる。日本近代史、特に近代の日朝関係の歴史を主に研究。奈良女子大学名誉教授。
主な著書に『日清戦争の研究』(青木書店)、『近代日本と朝鮮』(三省堂)、『蹇蹇録の世界』(みすず書房)、『近代日本の朝鮮認識』(研文出版)、『歴史の偽造をただす』『歴史家の仕事』『これだけは知っておきたい日本と韓国・朝鮮の歴史』『現代日本の歴史認識』『司馬遼太郎の歴史観』『歴史家 山辺健太郎と現代』(以上、高文研)など。
共著書に『NHKドラマ「坂の上の雲」の歴史認識を問う』『東学農民戦争と日本』(以上、高文研)がある。

「2022年 『増補改訂版 これだけは知っておきたい日本と韓国・朝鮮の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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