- Amazon.co.jp ・本 (628ページ)
- / ISBN・EAN: 9784876986880
作品紹介・あらすじ
ギリシア哲学に関心をもつ読者のための本格的案内書。「世界」や「人間存在」の意味を深く問いかけた最初の哲学者たちの思索を厳密な原点批判に基づき論じた古典的名著。
感想・レビュー・書評
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初期ギリシャ哲学の解説本をどれか1冊だけ選ぶとするなら,本書を選ぶだろう.英国の古典研究者によってかかれたものであるから英語で読めばいいわけであるが,やはり日本語で読めるに越したことは無い.言語の選択肢を英語だけ追加するにしても,それだけで一気に選択肢が増える.ただ,日本語で読めるものということであれば,迷わずこの一冊にする.もちろん,何も1冊に限定する必要はなく,それぞれに特色があり,それぞれに学びとるものがある.
ともかく,ソクラテス以前の哲学者について,アリストテレス(の『形而上学』や『自然学』など)を通して得た知識だけに頼るのは良くない.そこには誤解と偏見があるから.しかし一方で,Diels-Kranz の断片集から得た知識だけであっても誤解は免れない.その意義は断片だけからでは知りえないから.そうして辿り着いた理想.それは,そのどちらにも親しみ,本書を精読する.その際に他の種々のものも参考文献として援用する,というもの.
本書以外にもソクラテス以前の哲学について書かれたものは邦語文献だけでもそれなりにあり,それぞれに学ぶところがある.ただ,本書を一読すると分かるように,その筆致には強い説得力がある.過去の研究を批判的に採り上げ,まずい所はまずいと言い,分からないところは分からないと言い,随所に曖昧さを排する努力が窺える.だから,駆け出しには丁度良いし,十分な詳しさである.詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
木原志乃(翻訳):國學院大學文学部哲学科教授。
※國學院大學図書館
https://opac.kokugakuin.ac.jp/webopac/BB01021227