- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877588250
作品紹介・あらすじ
登山の専門出版社の編集者を経て、文筆家として活躍する著者の旅の随筆集3部作の第2集。旅の記憶や広がる思考を読者がともに体感できるような、濃やかで静謐な文章で綴る。旅先はカナダやネパール、チリなど多種多様。前作『旅の断片』は第5回斎藤茂太賞を受賞。
感想・レビュー・書評
-
若菜さんの文章、生き方、考え方が好き。
こういう、物見遊山ではない、その土地の素の表情を見る旅がしたいなあ。
旅先や、出先で出会った知らない人の温もりが恋しくなった。
そういう出会いが今は皆無になってしまったけど、失ったものの大切さが少しだけ身にしみた。
明け方の空気を感じること=「生きる」をすること
空の色が変わっていく様子、辺りがまだ薄暗い中であかりが灯っている家……
そういう景色を見ると、心がじーんとするような。
夜が明けて朝になるのに、早朝が一番夜が深くて、空気が澄んでいて。
早起きした人だけが見られるこの景色と空気感は、何ものにも代えがたい。
なんでそんなこと好きなんだろうと思うことが、その人の個性なのだ。 -
短いものが多く、集中力が続きにくいときにも
読みやすい。
大袈裟ではない、小さな真心が、満天の星みたいに散りばめられているのはシリーズ通して変わりない。
-
同僚から借りた。前作の感想と似たようなこと書いてしまうかもだけどすごく静かな旅の随筆集。見た目も名前も知らない植物や動物や食べ物が世界には沢山あるんだなと思う。世界には平べったい桃があるらしい。自然の中の話、宿での出来事や市場の話が多い、素朴な旅。ちょいちょい出てくるお土産の話が好き。旅先でテンション上がって買った物って結局使えなくて後悔するのあるある。インドで石(宝石ではないただの石)を拾う話が好き。石拾いをしていて自分の納得する石を拾わなきゃ意味が無いってところから「生きていれば選択の連続で迷うことばかりだが、私の人生は他ならぬ私のものでしかなく、誰かが私の代わりに私の人生を幸せにしてくれるわけではない。だから私は私の道を自分で歩き、私自身が私を幸せにしていかねばならないのだ。」って人生観に行き着くのすごい。あと拾った石を物凄く迷った末に元の場所に返す話も印象的だった。手に入らなかった物ってどうも記憶に残るよね。
-
旅の何気ない一場面を切り取った、淡々とした語り口が心地よいエッセイ。
一つ一つがとても短くさらっと読めるのに、その光景が頭の中に想像できて、自分も体験したような気持ちになる。
また、時折り書かれている彼女の死生観や人生観が、ちょうど同じ頃に読んでいた星野道夫さんのそれととても似ていて、いずれの方も自然の中で自然に寄り添って生きている人という印象。
読んでいて穏やかな気持ちになれるとても好きな作品です。 -
「路上の石」という文章がすごく好き。石を拾うことを通して、人生の過ごし方を悟る。
-
旅で出会った人、植物、風景が
若菜さんの目を通して静かに綴られている。
大きな出来事もない。
(あったら大変)
私には、若菜晃子さんの語り口があっているのだろう。
「折り畳みパン」に出てくるおじさんが焼くパン、
素朴なパンを食べてみたいと思うし
ヤクのチーズはどんな味か確かめてみたい。
行ったこともない遠い国の話。
今回も楽しめました。 -
物理的に
すかっと軽くて持ち歩きやすい
ものとして美しい
文字と絵
言葉は、世界を旅するひと独特の表現
気づきは小さく壮大で普遍的なつぶやき
-
世界各地に夫婦で赴き、一般的な観光ではなしに石だったり植物だったりと、少し斜め志向の目的を抱えて旅をする。エッセイだから自分の感じ方を通して、その国の自然や文化を語るのだが、本書の多くは一編が2~4ページなので、うまく締めないと、ただの書き殴りになってしまう。ときおりうまいエンディングに出会うと悪くないなと思えるし、読んで良かったという気持ちさえ湧くが、その多くはなんとも中途半端だ。要するにあそこへ行きました、ここへ行きました、おしまい、という感じを拭えない。かなりの数の小品で構成されているが、4分の1くらいにブラッシュアップすると、もう少し注目を浴びたかもしれない。…というレベルかな?
https://www.gqjapan.jp/culture/...
https://www.gqjapan.jp/culture/article/20211115-gq-books-guide-november
https://www.kyobunkwan.co.jp/narnia/archives/webl...
https://www.kyobunkwan.co.jp/narnia/archives/weblog/eda41fdd