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- Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877972332
感想・レビュー・書評
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科学の、魅力・威力と、精神・覚悟にみちた一冊。
一見薄くて文字も大きいのでたいして中身がないかと思っていたけど、副題が示す通り着実で真摯な調査の積み重ねにより、アユの生態や長良川ならではの特性(木曽川、揖斐川との比較)、そして河口堰の影響(の有無)といったことについても、わかる範囲のことをあらわにしている(または、わからない、ということを明らかにしている)。必読。
タイトル上(あるいは本文上も)は、必ずしも河口堰の影響をあぶりだす風には明示されていないが、それでも確実に意識している。
そのうえで、現地調査をもとにして、アユの生活ステージごとに、特徴や影響因子を説いていく様子には、まさしく惹きつけられた。
何よりやはり、まず調査するにあたり、漁協に加入し投網を習得したというところが肝だとも思った。
(M准教授も、現場ベースで、ぜひこういった境地をめざしてよとさえ言いたくなる。。)
・産卵場がわりと上流であり、海までの距離がそもそも長良川の場合は長いため、仔アユ降下に不利。またそれは木曽川・揖斐川にも共通
・遡上は河口堰建設を境に減ったようにもみえるが、科学的な分析が欠如。木曽川などとの比較や、カワウ等の影響も含む、真の研究が必要
・最近、(冷水病対策等で)琵琶湖由来アユの放流が控えられており、漁獲量の減少の一因になっている可能性
・長良川周辺ならではの鮎のおいしさには、流域地質がはぐくむ藻類の質の良さも強く関係。また、水質や河床の浮き石も重要
――といったあたりは、明快であり、重要な指摘。
いやはや、勉強になった。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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