てんかんの診かた

著者 :
  • 新興医学出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784880027647

作品紹介・あらすじ

まえがき
本書は精神科以外の領域の治療者,医療に携わる方々,教育関係者などの読者向けに,
てんかん治療に関わっている精神科医が経験した興味深い症例をまとめたものである.
本邦ではてんかんは主に精神科医により治療されてきたが,最近では小児科医(小児神経科医),神経内科医が多く,
脳外科医も積極的に治療に参加している.一方,相対的に精神科医の参加が少なくなってきた.
最近,てんかんを持つ患者のQOLには,発作の抑制,合併精神症状,治療による副作用が大きく影響することが明らかとなった.
新たな薬剤の導入,外科治療の導入などにより発作が抑制される患者は着実に増加している.
しかし,一方で外科治療により精神症状の発現増加,自殺の増加,人格変化,認知機能変化などが生じ,
薬剤によっては種々の精神症状,認知機能障害などが出現することがある.
したがって,てんかん治療は発作抑制だけで終了するものではなく, 術後のケアをも含めて治療全体に精神医学的配慮が望まれているのである.
治療者はてんかんを病む人間を治療していることに常に留意すべきであり,
てんかん治療における精神医学的視点の重要性を再度確認したい.

本書は読者が気になる症例,治療中の患者に関連する症例など,どこから読み始めても理解できるように,
各症例のポイント,関連する解説が記載されており,何時でも何処でも気楽に読むことができるように工夫されている.
各章は大きく分けられているが,各章の症例はいくつかの課題を抱えており,異なる症例であってもいくつかの要点に集約でき,
そこには精神科医の視点が集約されている.

長年にわたるてんかん診療の経験に裏打ちされた執筆者たちの診断に至る思考過程を辿ることは,
読者のてんかん理解を一層深めるものと考えている.

また,本書に記載された症例は個人情報保護に配慮しつつも医学的に症例の記載は正確に表現されており,
精神科医にとっても役立つものと考えている.本書の症例の解説にも記載されているが,
「もう少してんかんが多くの人々に理解されていれば事故などの悲劇が未然に防がれたのではないか」と,
啓蒙の必要性が強く指摘されている.それはまさに本書の目的の一つでもある.
是非,医療関係者だけでなく,当事者,家族,学校関係者,警察・司法関係者など幅広い読者に
本書の一例でも読んでいただければ,てんかんに対する理解が一層深まり,
てんかんをもつ方への理解,スティグマ軽減,そしててんかん制圧につながるのではないかと執筆者一同期待しており,
これらの多くの方々に役立てることができれば我々の大きな喜びである.
最後に,本書出版に当たり編者の無理な要求を受け入れ,
スムーズな出版にご協力いただいた岡崎真子氏に記して深謝したい.
北東北てんかんセンター
兼子 直

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著者プロフィール

弘前大学名誉教授

「2021年 『てんかんの薬物療法 改訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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