鬼の哭く山

著者 :
  • 新宿書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784880084497

作品紹介・あらすじ

熊野山村の盛衰-。死者と生者が寄り添って生きる山の日常-。古道を踏むといつしか出会う異形の世界。巡礼路にある善根宿を営むおえん。那智の近くの山中の集落を廻る山の郵便脚夫岩次郎。栗の壺杓子屋晃太郎。修験者の最後の宿坊を守る五郎。力作中篇の4作。民俗伝奇小説集第4弾!

感想・レビュー・書評

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  • 久々の宇江敏勝作品、しかも超久々の小説集。

    この人はもっと評価されてもいいと思うのだが、この人の本はマイナーな出版社から少数しか刊行されないうえ、メディアの露出もほとんどない(俺は偶然「本の雑誌)の記事で知ったのだが)からなぁ。

    宇江さんのホームグラウンド果無山脈の話は1つで、残りは隣の山脈大峰が舞台。大峰奥駈道踏破を目指す俺には、興味津々の舞台。この大峰山系で生活する人々(山小屋の守であったり木杓子の職人だったり前鬼の名取だったり)の日常の中にひょんとつけいる怪異。

    そこには恐怖ではなく、畏怖だったり崇拝だったりちょっと滑稽だったりを感じる。宇江さんに異世界がある現世を描かせると本当に上手い。独特の味わいがあって、なんだか無性に山に行きたくなるのである。

    随分軽薄になってしまった「都市神話」だとか「学校の怪談」だとか、そのレベルの話に飽きてしまった人にも是非読んでもらいたい。日本の民俗学や土着信仰に興味がある人は勿論、ケルト神話はじめ異国の土着信仰に興味がある人にも是非。山好きにも、農業林業を営む人にも…あらゆる人に宇江敏勝は愛読されても良いと思うのだけどなぁ

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