老後はひとり暮らしが幸せ

著者 :
  • 水曜社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784880653303

作品紹介・あらすじ

子どもたちと“同居”? ホームへの“入居”?
それとも“ひとり暮らし”を始めますか?

穏やかな老後のためにはどのような暮らし方が最適でしょうか。そして十分な検討をした結果選んだのは本当に「最良の選択」なのでしょうか?
本書は高齢者支援活動や病院において、年齢、性別、満足度、悩み、現在の状況などを調査。分析の結果見えて
きたものは「ひとり暮らし」の高い満足度でした。
回答者・男女460名の声から見た、独居、 同居、ホームの長所と短所を紹介しながら、老後を幸せに暮らすための心構えと方法を考えます。

感想・レビュー・書評

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  • 現役時代から引退して老後へ。体力的にも衰えが出てくる中、老後をどのように暮らすのがよいのか、ちょっと考えてみませんか、という本です。

    タイトルは、著者らが行ったアンケート結果から、家族と同居している人よりも独居の人の方が満足度が高かったことによります。著者は大阪府門真市で耳鼻咽喉科を開業している医師で、著者の診療所を受診した人と、電話で健康に関する情報をやり取りした人を対象に、独居か同居か、年齢・性別・満足度・悩みの程度等の聞き取りを行いました。総計484人。ひとり暮らしの方が満足度が高い傾向には男女差はなく、年代的には90代未満で、また健康状態が悪いという人を除いて、一貫してこうした傾向があったとのことです。
    母数が十分なのか、特に細かく場合分けしたときに有意差があるのか、それ以前に満足度という主観的な尺度をざっくりとひとしなみに扱ってよいのか(数値にして意味があるのか)、というあたりは気になるところです。そのあたりは少し差し引きつつも、個人的に収穫だと思ったのは、さまざまな人の日々の暮らしに関する具体的な事例と、著者の医学的なアドバイスです。
    個々の人がどういったときにストレスを感じるか、つらいと思うのはどういう状況か、という事例から、ではどうしたら改善できるかなと考えてみたり、自分ならどうするかなと思ったり。
    事例を追っていく中で導き出されるアドバイスがいくつか挙げられています。炊事を自分で続けるとか、新聞を音読するとか、朝は一定の時間に起床して日光を浴びるようにするとか、仕事や趣味を可能な範囲で続けるといったあたりは、比較的実行しやすいですし、ひとりであろうと家族がいようと、実践してよいことだと言えるでしょう。

    老後、誰かと暮らすのか、ひとりで暮らすのか、それぞれの人のそれまでの生き方や家族関係によるわけで、実際に選択が可能なのか、その時になってみなければわからないところもあるかと思います。
    最終的には、ひとり暮らしであれ、同居で暮らすのであれ、自分でできることは自分でやり、誰かに寄りかかりすぎず、日々のリズムを作り、といったあたりがポイントになりそうです。当たり前のことではありますが、まぁ当たり前を貫くのが難しいということかもしれません。助けを借りつつも精神的には自立を目指すというところでしょうか。
    読み方によって、さまざまな世代の人に、老後の生き方について考えるヒントを提供してくれる本だと思います。

  • 大阪府門真市にて耳鼻咽喉医院を開業されている辻川覚志(つじかわさとし)さんによる著。
    主にアンケートの集計結果について考察を述べ、そこに知識を+αしていく形式です。

    <アンケート条件>
    2013年4/1~5/31の2か月間、門真市医師会「お元気ですかコール」活動に参加の60歳以上の人と、外来患者で60歳以上の人が対象。
    ・総数:484名。うち回答者460名(回答率:95%)
    ・男性:158名/女性:302名
    ・年齢層:60-92歳(平均年齢:73.2歳)

    <テーマとして興味深かった点>
    Q:同居と独居、どちらが満足度が高いのか?
    Q:健康状態が悪化した場合、同居と独居では何が異なるのか?
    Q:同居が絶対安心なのか?
    Q:一人を寂しくしない方法は?
    Q:ホームに入所するということの現実
    Q:お金の管理について

    この本が発行されたのが、2013年10月末ですから2019年現在ではかなり情報として古いものになることは承知ですが、この当時より劇的に何かが良くなったとは言えず、寧ろ状況は悪化していると考えるのが妥当だろうと思います。

    そこで肝心となってくるのが、金銭と遺言の話なのですが(笑)
    私は「契約家族」という制度を聞いたことすらなかったので大変勉強になりました。
    また、遺言に関しても「”不治”をどこまで定義すべきなのか」「延命は(全くないとは言えない)奇跡を待つのか、確率1/100であきらめるか、1/1000か、1/10000か」「副作用があってもモルヒネなどの鎮痛剤を使用して欲しいか」「抗がん剤や栄養の点滴、鼻からのチューブ、胃ろうを望むかどうか」など、医療関係者からの厳密な点から明確に記載しておくと良い点が提示されているのが他の老後関係の本にはない良さだと感じました。

    回答例がたびたび引用されているのですが、それが現実味を帯びていてリアルなため、実際の現場を想像しやすいということもあり、「自分だったらどう思うだろうか?」という想像の一助となりました。

    アンケートに多少の偏りや、年月を経ているということがあるとしても、辻川氏が患者さんに直に接しているからこそ、回答者の本意や状況を細微に渡って考察することができるのであり、このアンケートが6年前であるとしてもこの点においては十分に貴重な情報であると思いました。

    最後に記載されていた印象的な二文を以下に引用します。

    『ひとりを最高にするものは、心であり、気持ちの持ち様である』(p.198)
    『幸せは、あなたの手のひらの中にあるのです。』(p.199)

    同居でも家族が忙しくて孤独を感じる人もいれば、独居だから話す相手がおらず孤独を感じる人もいる……どうせ同じ年月なら、”気の持ち様”楽しく暮らしたいものですね。

  • 地域は限定されているとは言えアンケートに基づいて結果を導き出した本。説得力ある。
    自分自身も一人暮らしだけど日々ノーストレスだしそこそこ楽しいしこんなこと考えてるの自分だけかな、とか思ってたけど実はいたって正論だと分かってホッっとした。
    自分の感じ方や考えは間違えて無かった。

  • 老後の幸せをアンケート調査をまとめた内容だが、結果的に一人暮らしの老人たちが幸せに感じていた、というもの
    総じて、「一人で生きると決めたことによる覚悟」がベースとなっており、それが結果的にストレスの要素を減らしていた、ということになる。
    子供らとの同居になると、同居人らとの人間関係や生活リズムをあわせるなどのストレスがない
    同居であっても万一の時に在宅しているとは限らない、逆に期待してしまうが故、期待通りにならないことへのストレスが生まれてしまう
    老人ホームでは施設が色々と準備してしまうために自分で考える、行動する、ということが減ってしまい生活力が衰えてしまう。また周りとの人間関係を築かなければならない。集団の中での孤独感は非常に辛いものがある
    等々、同居やホームでの生活といった密接な人間関係が必要となる環境は一人暮らしに比べて様々なストレスを抱えてしまうという
    ただ、子供らの家が近くにある、三世帯での生活をしている人達は一人暮らしよりもポイントが高かったそう。ただ、そういった環境になるかは、なかなかコントロール出来ないのが現実である
    当然ながら一人暮らしでは病期、怪我等の様々なリスクも抱えてしまうので、生半可なことではない。が、可能な限り一人暮らしを続けたほうがよいというのが、このアンケートでの結果だった

  • 見守りサービスとして、定期配達や、トイレが一定時間使われないと警備会社に連絡がいくシステムは参考になった。
    ほかに、死後、認知症になったときなどの保護者サービスも。

    何にしても、ボケ防止、気力、体力、筋力はつけとかないとな。

  • 上野千鶴子がおひとりさまシリーズを書く前に読んでおけばよかったと朝日新聞の記事で読んだ。
    アンケート調査の結果から家族と同居している人よりも独居の人の方が満足度が高かったことが分かったといっている。
    母数は484人、満足度をどのように図っているのかはわからないが、
    夫婦や、子供と同居しているより、一人暮らしのほうが気が楽だろうなというのは想像できる。
    三世代同居していても、一人であっても、死ぬときは一人なのだから、それまでどう生きるかってことで、これからボチボチ準備でもしますか。

  • 超リアル!
    納得!

  • 一人暮らしもしあわせだろうし、
    三世代で暮らしてもしあわせだろうし、
    人それぞれだと思いました。

  • 門真市の老後の生活満足度のアンケートに基づくひとり暮らし肯定の本。ひとりでの死の迎え方まで触れていて、自由に気ままに、最後まで。という副題に違わぬ内容。

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著者プロフィール

大阪市立大学医学部卒、脳神経外科専門医資格を取得後、関西医科大学耳鼻咽喉科に転籍。独デュッセルドルフ大学留学、帰国後、厚生省前庭機能異常調査研究班の仕事に関与。一貫して神経系の研究ならびに臨床に従事。医学博士。日本耳鼻咽喉科専門医。2011年より門真市医師会「お元気ですかコール」活動に従事。著書に『老後はひとり暮らしが幸せ』『ふたり老後もこれで幸せ』(いずれも弊社刊)など。

「2022年 『ひとり老後楽生き事典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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