碧い眼に映った日光 外国人の日光発見

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  • 下野新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784882865605

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  • 日光は日本の有名な観光地だ。外国人にも人気があるが、外国人が訪れるようになったのは明治時代以降だ。





    日光東照宮などの建物、自然、日光金谷ホテルでのサービスなどにより、日光が外国人にとって魅力的な場所になった。




    中禅寺湖を見て「箱根の湖よりもずっとうつくしい」と日記に感想を書いた人物がいる。




    その名はイギリスの外交官アーネスト・サトウだ。明治5(1872)年3月に日光東照宮を訪れる前日に、雪深い坂を登って、目の前に広がる湖の光景を評したものだ。





    それから3年後に英文の「日光ガイドブック」を出した。




    日光東照宮の本殿に何もないことに驚いている。




    世界を旅した女性旅行家イギリス人のイザベラ・バードは、「丸い鏡の載った黒漆喰の机だけ」と感想を述べている。




    日光東照宮で様々なものを見たあとなので、何か豪華絢爛なものを期待したのかもしれない。




    日本人なら、神様のことは秘すべし、という感覚は当然であるべし、円い鏡ということで有り難く礼をして参拝を終えると著者は述べている。




    ヘンリー・アダムズというアメリカ大統領を2代輩出したボストンの名門の出身で、ハーバード大学の歴史学研究者をへて、アメリカ史や小説の執筆に専念している人物がいた。




    アダムズが来日して日光を訪れた際、同行したのが長年の友人、ジョン・ラファージだ。




    そのラファージは、「このように仏像も礼拝用の道具もないことは、確かにここが、ある人の住居ー神格化された魂の住居、その神霊がこの世に存命中、住みなれていた住宅という感じを残している」という感想を残している。




    日光の魅力を明治時代になって外国人が再発見して今の姿がある。




    徳川家康が日光を訪れる国内外の観光客がいたらどう思うかな。聞けるなら聞いてみたいものだ。




    コロナ禍をへてインバウンド需要が戻って来ている。




    現在でも日本人が気づいていない魅力ある場所があるかもしれない。

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著者プロフィール

東京大学大学院 人文科学研究科比較文学比較文化専攻博士課程修了。放送大学助教授、米国メリーランド大学客員准教授、ジョージタウン大学客員研究員を経て、現在、駒沢女子大学教授。専門は比較文化。共著に『異文化を生きた人々』『テクストの発見』(共に中央公論社)等

「2015年 『碧い眼に映った日光  外国人の日光発見』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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