オスカー・ワイルドとコーヒータイム

  • 三元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (140ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883034994

作品紹介・あらすじ

「悪魔の辞典」のごときしゃれた警句で世に知られるオスカー・ワイルド。かれはヴィクトリア朝ロンドンの伊達男そのものだった。ただしそれは愚かな名誉毀損訴訟を起こし、悲劇的な破滅に追い込まれるまでのこと。とはいえ「同性愛の罪」による投獄だけで、その名が歴史に刻まれたわけではない。『ドリアン・グレイの肖像』『真面目が肝心』など珠玉の作品がワイルドの名を不朽のものとしている。
さあ、彼自身に語ってもらいましょう。
 作者マーリン・ホランドは、ワイルドの血を引く唯一の孫であり、20年以上にわたり祖父の生涯と作品についての研究をおこなってきた。その“悪名馳せる”がゆえに祖父の名を奪われた実の孫が架空のインタビューをする、という“皮肉”な設定は、ワイルドの残酷な運命と没後の世界的な影響力を知るうえで、おあつらえむきとも言えるだろう。

感想・レビュー・書評

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  • ヴィクトリア朝時代のロンドンで伊達男として名をはせたワイルド。
    軽妙でウィットにとんだ会話を得意とした彼ですが、愚かともいえる名誉毀損訴訟を起こしたことで、逆に破滅に追い込まれ、悲劇的な最期を遂げることとなりました。

    彼の死後、イギリスではオスカーと名付けられる赤ん坊は何年間もいなかったほど、ワイルドは人々から見放されていましたが、彼の遺した作品は、反対にヨーロッパ大陸で人気が上がっていったそう。

    彼について、包括的によく研究されており、本当にワイルド自身がインタビューに答えているようです。

    あとがきで知りましたが、著者はワイルドの孫娘。
    彼の後半の人生については、かなり切なく思っていることでしょう。
    最終シーンでは、ワイルドは記者である著者に金の無心までしています。
    祖父にお金をたかられる孫の悲哀たるや、いかなるものでしょうか。

    コーヒータイム人物伝、ほかの作家のものも面白そうですね。
    一つ難を言えば、質のいい集めの紙が使われているため、ページめくりが薄い紙よりもうまくいかないところが少々不便だという、贅沢な悩みが生じた本です。

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著者プロフィール

オスカー・ワイルドのただ一人の孫で、20年にわたり祖父の生涯と作品についての調査を行なっている。The Complete Letters of Oscar Wilde(『ワイルド全書簡集』)の共同編集者の一人で、写真つきの伝記The Wilde Album(ワイルドのアルバム』)および1895年の名誉毀損訴訟の記録を初めて検閲なしで発表したIrish Peacock and Scarlet Marquess(『ワイルド裁判実録』)の著者でもある。この訴訟ののち、ワイルドの妻コンスタンスは姓をホランドと変えざるをえない状況に追い込まれ、以後、親族がそれをワイルドに戻すことはなかった。

「2019年 『オスカー・ワイルドとコーヒータイム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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