広告は、社会を揺さぶった ボーヴォワールの娘たち

著者 :
  • 宣伝会議
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883353453

作品紹介・あらすじ

広告はジャーナリズムではない。しかし世の中の人心は広告の影響で揺れ動く。女性の自覚と責任を応援した「ボーヴォワール的広告」を70年の歴史とともにたどる。

感想・レビュー・書評

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  • 時代の流れは早い。本書が2015年出版で既に古さを感じる。安倍政権で女性活躍を掲げ、女性を大臣に登用し、2020年までに管理職30%を目標とし…というトーンでスタートするが、2021年にはもはや「女性活躍」の形骸化が明らかになった。管理職の目標は先送りされ、元政治家や経営界が女性蔑視発言を繰り返し、ジェンダーギャップ指数では2015年より下がった。
    ツッコミどころも多い。「女性は仕事のことで自殺などしないので、過労死で死んだりしない」もはや事実ではない。「均等法時代になっても男性と女性を一緒にできない」という考え方も否定されるだろう。「キャリアウーマンでも容姿は一番気になる、プレゼンで容姿は最も効果的な小道具」「女性は年を取れば取るほど化粧品が不可欠、いくつになっても綺麗と言われたい」こういう発想もルッキズムとして却下。
    さらに表紙と冒頭糸井重里の広告である。SNS時代になって、糸井氏はフェミニズムとは相反することが露呈した今、この広告で語るなと言いたい。この発言をレベッカ・ソルニットが読んだら怒るだろう↓
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    ぼくは、じぶんが参考にする意見としては、「よりスキャンダラスでないほう」を選びます。「より脅かしてないほう」を選びます。「より正義を語らないほう」を選びます。「より失礼でないほう」を選びます。そして「よりユーモアのあるほう」を選びます。
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    脇田氏は80代か、世代的な限界を感じる。ともあれ、本書で明治からの長い歴史を振り返れば、遠い所まで来たという感慨はある。

  • 広告の流れと合わせてウーマンリブや、フェミニズムの広がりがわかって面白かった。
    今や、女子、女子力という言葉は、そういう考えを持っている人にはむしろ毛嫌いされているけど、オトナ女子のように使われ始めた時には「人の評価などは気にせず、自分がいいと思うものを信じ、自分に備わった魅力を認め、それを更に洗練させようと努力する」女性像を表していたらしい。
    女の子、と区別させた言葉。
    こう変わっていくこともあるんだ。

  • ニュースが世界を動かしている底辺で、広告活動が大衆を揺さぶる。ジャーナリズムと広告は糾える縄の如し。本書のテーマは「広告と女」。著者は広告業界の最前線で長く仕事を続け、女性の視点で広告の時代変化を見守ってきた第一人者だ。男性社会にフェミニズムを意識させた広告、女性の本音をぶつけた表現、性的役割分担や雇用制度などを一考させるキャッチフレーズなど、不条理な立場を表現してきたことが男性上位の意識改革を進めることになった。婦人参政権、ウーマンリブ、男女雇用機会均等法、女性を大きく社会へ進めた波の跡を追いながら、これから始まる第四の波の行方をさぐる。

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