- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784883752089
感想・レビュー・書評
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●短い期間の輝きでしかない少年の美には、その喪失の予感によって、メランコリア=憂鬱がつきまとう。図版&紹介[七戸優・甲秀樹・neychi・カネオヤサチコ・神宮字光・清水真理]、「ベニスに死す」、タルコフスキーの少年、グレーデン男爵とタオルミナ、ボーイソプラノ、阿修羅像と『少年愛の美学』、維新派「透視図」ほか。
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高校生の頃に挫折した稲垣足穂を、もう一度読んでみようと思った。
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そこここに足穂の名前が散見されて本来ならば好きな領域のはずなのだが、ファルス中心の現在の私には、響かず。
ただ、林美登利の作品を蒐集している沖縄のO氏には興味を。
稲垣足穂は記した。
「少年の命は夏の一日である。
(中略)青年期へ足をかけ、ペニス臭くなったら
もうおしまいである」
(『少年愛の美学』)
少年の美とは、一瞬のうちに通り過ぎて行くものだ。
鉱物や貝殻などが「少年」と親和性があるのも、
鉱物や貝殻は、美が凍結された永久不変のもので
あるからに他ならないだろう。
また、もしかしたら少年愛というものは、
その「少年」に「ペニス臭さ」を幻想してしまう
倒錯のことを言うのかもしれない。
いずれにしろ少年美には、
それが失われてしまうであろう予感によって、
メランコリア=憂鬱がつきまとう。
美しきこの瞬間に、ようこそ。
主な内容
七戸優〜知的好奇心に溢れた純粋な少年
甲秀樹〜少年と被虐の嗜虐のファンタジー
neychi〜囚われの少年に心奪われて
カネオヤサチコ〜クズだからこそ愛おしい、おにいさん
神宮字光〜少年人形だからこそ、自由にイメージを練り込める
清水真理〜中性的な魅力漂う少年
逆光の少年時代〜大人を支配するこどもをめぐって/「トワイライト・ゾーン」と「ベニスに死す」●樋口ヒロユキ
一番幸せだったのは子供の時代〜タルコフスキーが描いた少年たち●忍澤勉
地中海の小村に華開いた少年愛〜グレーデン男爵とタオルミナ●志賀信夫
ボーイ・ソプラノの魅力と儚さ〜バッハのカンタータを例に●市川純
妊婦はBLの夢を見るか?〜興福寺阿修羅像と稲垣足穂『少年愛の美学』●宮野由梨香
少年であること、少年に擬態すること〜無垢と性的欲望の間で/稲垣足穂・谷崎潤一郎・萩尾望都●べんいせい
意思を持たない「少年」〜我々の愛する敬虔な犠牲者/維新派「透視図」と中島梓「少年学入門」●荊冠きざき
時分の花を過ぎても〜弘法大師からジャニーズまで永久不滅の少年美●浦野玲子
ペッパー君とワトソン君〜人を堕落させる少年たち●本橋牛乳
「少年愛の美学〜君なくして何の薔薇〜」展〜定評ある少年の描き手が集う
四方山幻影話24●写真=堀江ケニー
こやまけんいち絵本館22〜少年サーカス団の憂鬱●こやまけんいち
《コミック》 DARK ALICE 14. ギディオン●eat
《写真小説》 Dr.Odd's mad collection vol.4〜僕の天使●最合のぼる×Dollhouse Noah
『半ズボンの神話』を読む●斎藤栗子
母性のディストピア〜「少年」の消失と「成熟」の喪失●梟木
忘れてきた星座早見表〜『星の王子さま』が教えてくれるもの●西川祥子
私が愛したマジキチ少年アラカルト●日原雄一
美少年は大好物!! ●あや野
Review
三島由紀夫「豊饒の海」●梟木
澁澤龍彦「菊燈台」●梟木
北杜夫「みずうみ」●日原雄一
須永朝彦「美少年日本史」●沖沢あきら
ベルナール・フォコン「飛ぶ紙」●沙月樹京 ほか
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