日本人が知らない恐るべき真実 〜マネーがわかれば世界がわかる〜(晋遊舎新書 001)

著者 :
  • 晋遊舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883808816

感想・レビュー・書評

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  • 久々にブクログの更新。最近メッキリ面白い本に出会わない。面白くない本を紹介してみても意味がないことを痛感する。3.11以後、政局はてんでバラバラな動きをしているし、エコノミストが指摘している内容も支離滅裂だったりする。一体、今の日本経済をまともに認識しているジャーナリストがどれくらいいるのかさえ謎である。情報に過ぎないデータを、知識として昇華していて解決策までキッチリ指摘できている経済書はないか探していて、やっと本書にたどり着いた。内容はamazonレビューから抜粋すると…

    ・日本の財政は深刻な多重債務状態であり、このままでは2020年までに破産する。
    ・毎年国会で審議されている国家予算である80兆の「一般会計」は実は見せかけの予算であり、国会で審議不要の裏予算、300兆に上る「特別会計」が本丸である。
    ・税金の決算(使い道の申告)が4年も遅れたまま、翌年の予算審議が平然と行われている。
    ・それら一般人が知り得ない情報を、書籍に記し告発した元国会議員は刺殺されている。
    ・先進国が途上国を搾取し続けているのは、搾取をしないことには成立できない現在の貨幣システムに構造的な欠陥があるからである。
    ・金融の話になると必ず登場するユダヤ人。なぜ彼らが金融・経済において優位にたっていったのか、その歴史的背景。
    ・お金の歴史と新しいお金のあり方。
    ・本当に豊かで住みやすい社会を実現するための経済システムとはなにか。

    …となる。その処方箋として、今や忘れられた経済学者シルビオ・ゼゲルの「持ち越し税」や「地域通貨」を飲用している点が秀逸。ここまで正確な事実認識と提言をまとめた良書は今のところ見当たらない。そもそも「的中率No.1エコノミスト」と謳っているヤツほど信用できない。本書の著者はエコノミストでも経済学者でもない。一市民に過ぎないというスタンスから、自説を展開している点も好感が持てる。

  •  タイトルがおどろおどろしいが、その「賛否」はともかくとして現状の世の中の構造がよく理解できる内容。またそれが「真実かどうか」もともかくとして、仮に「ウソ」だとしても一部の人間が決断すればその仕組みは実現するだろうということ。それはお金の存在意義からしてもそうだし、自分をモデルとした人間の性質からしてもそう。自分をよほど特殊な人間と仮定しない限り、あるいは相当の数の人間が極めて優れた人間であると仮定しない限りその結論を崩すのは難しい。

     ニュース記事に触れる度に不思議に思うことがある。「なぜ景気を良くすることが正しいのか」「なぜ多くの人が経済をよくすることを望むのか」ということ。どういう状態になれば「景気がよい」といえるのか。とりあえずは「GDPの数字が上がれば」景気がよいといえるのだろう。GDPはお金が動かなければ上がらない。モノを作っただけでは上がらない。親しい人からプレゼントされてもGDPは上昇せず、その人がモノを売ればGDPは上がる。またお腹を空かせている人にご飯を作って食べさせるよりも、高価な宝石を与えて「それ売って何か食べな」といったほうがGDPは上がる。「それ違うよ」と言われるかもしれないが、この理解はそれほど遠くズレてはいないはず。また「それでいいんじゃん」というヒトもいるかもしれないけど「あたしの幸せはそれじゃないわ」という人もいるはず。さらに経済は効率である。不効率は不経済と同じような意味だろう。効率がよくなるのは「手がかからない」ということであり、それは「人出がいらない」ということである。それは雇用促進とは反対の方向にあり、両立させようとすれば「シーシュポスの神話」のようなお仕事をしないと生きていけないような世界となる。

     経済をよくしたいとする。お金が大きく動けばGDPは上がって景気が回復する。それならばお金を使うところにお金を流せばいいはず。それならお金を貯めこむような余裕のないところにお金を流せば勝手に使ってくれるのではないか。今の世の中はそんな余裕のない人は存在しない、ということならば理解できないではない。預貯金を多くもっている人達にお金を流せばさらに貯めこむ。それを必死になって「みんなお金使ってください」とアピールする。もちろん認識が違っているかもしれないし、認識が正しくてもそこには何かしらの意義があるのかもしれない。そこはぜひとも教えて欲しい。ほんとうのこと言ってくれるかどうかわからないけど。

     本書で提案している「地域通貨」は現状に影響を与えうる一つの方法だろう。これも含めた「試行錯誤の方法」を数多く試みる前提として有効と思われるのは、今では鳴りを潜めてしまった感がある「地方分権」の実現ではないのか。しかし一部の人間はそれを許さないだろう。「時期尚早」「現実性に欠ける」の大合唱が想像できる。彼らの言う「地方活性化」は「地方分権」を伴わない。地方を活性化すればするほど抜けられなくなるのは容易に想像できる。もちろん当事者にとって一時的「お得」なこともあるだろう。でもほんとにいいんですか?それで。

  • とても勉強になった。お金の仕組み、資本主義の仕組みなど。このままでは日本は破綻すると改めて思った。

  • お金の流れについては、最近いろんな人がいっているが、なかなか一般の人には伝わらない。まして、一般のマスコミは伝えようともしない。マスコミは、情報を操作し、お金の流れをコントロールしている。
     せめてインターネットの中でこのような情報が一般的になり、世の中の大きな流れになることを期待しています。

    この本の内容と同じことを説明している、DVD スライブも見てほしいなと思います。

  • 300万人が読んだといわれる安倍氏のブログを書籍にした本だそうです。近未来にくるであろう金融危機について書かれていますが、これについては類書も出ていてそれほど驚きませんが、その先にある姿として「地域通貨」の可能性を挙げている点は興味深く読むことができました。

    タイトルに「日本人が知らない~」とありますが、サブプライム問題をはじめとして、日本には肝心の情報は届いていないか、マスコミも知っていても公開はしていないと思います。そのような状況にある私にとっては、興味ある情報も少なからず含まれていました。

    最近話題になった政府紙幣は、現在発行されていて(硬貨はその対象)、法律によれば紙幣も無限に発行できる(p107)のですね。価値の裏づけがされない貨幣が発行されて30年が過ぎましたが、そろそろ年貢の納め時なのでしょうか。

    以下は気になったポイントです。

    ・平成20年度の一般会計予算は83兆円、租税等収入が58兆円、国債収入が25兆円、年収577万円(月収48万円)の会社員が、生活費39、田舎仕送り13、ローン返済17万円の合計830万円を使っている状態(p26)

    ・中央銀行による国債引き受けは制度として禁止されているが、償還期限が到来したものは、国会議決があれば借り換えが可能である(p42)

    ・日本国の実質予算は、一般会計が85兆円、一般会計との重複分を除く特別会計は175兆円なので、合計260兆円となる(p57)

    ・国民年金とは異なり、公務員用の共済年金、国会議員用の議員年金は、一軒の記録ミスもなく、運用も別口で堅実に行われている(p67)

    ・2回目の国家破産時(1946年2月16日)には、資産調査後に10万円を超える資産に対して25~90%の財産税、郵便貯金は10年間払い戻し禁止、払い戻し時に3分の1をカット、その間に物価300倍なので、実質的には900分の2が返還された(p71)

    ・1985年から赤字国債の償還が始まる予定であったが、1984年の法律により、国債償還は60年まで延長された、このルールによれば10年経過時には6分の1のみ返還、残りを借換債が可能となった(p73)

    ・原発の廃棄物である劣化ウランは、2002年時点で、アメリカ:73万トン、フランス:30万トン、日本:1万トンあり、アメリカはこれを利用して劣化ウラン弾を製造(p103)

    ・現時点において、政府紙幣とは、6種類の硬貨及び記念硬貨であるが、紙幣も発行可能であり発行上限がなく、担保も不要(p107)

    ・世界に流通しているマネーは2007年末で、6京3000兆円、全世界のGDP合計が5000兆円、貿易に必要なドルは1200兆円を考えるとものすごく多い(p113)

    ・地球温暖化に影響を与える因子としては、太陽の黒点運動や地球磁場の影響が大きく、温室効果ガスの75~90%は水蒸気(雲)である(p135)

    ・WTOの閣僚会議の前に、4極代表(米、カナダ、日本、EU)と他先進国、一部途上国が参加して秘密会合が行われて練られたものが提出される(p152)

    ・ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は、同じ唯一神ヤハウェを信仰する一神教である(p173)

    ・ドルというお金の正体は、米国政府が発行する国債を担保に連邦準備銀行が政府に貸し付けた手形=借用証書である(p205)

    ・ゲゼルの提唱した地域通貨は、1週間で額面の0.1%減価、年率で5.2%に相当するもの(p276)

    ・労働証明書による地域通貨は1933年6月までに200以上のオーストリアの年で導入検討がされたが、中央銀行による禁止通達が出されて廃止になった(p278)

    ・地域内でのモノ、サービスの取引が自律的に高まってこそ、地域通貨は必要とされる(p286)

    ・地域振興券を一定期間内に複数回使用可能とすれば、お金は循環することで経済効果を生み出す、期限が過ぎた振興券は5%の手数料で新券と交換可能にすれば、減価する地域通貨のできあがり(p289)

    ・日本テレビ=読売新聞、フジテレビ=産経新聞、テレビ朝日=朝日新聞、(テレビ東京=日経新聞)というように、放送業界と新聞業界は一蓮托生(p310)

    ・お金の使用料にあたる利子は、現在はお金のない債務者が払うが、減価するお金では、循環を途絶えさせる所有者が負担することになる(p316)

    ・収益性のある事業以外にも、国民にとって必要な事業(インフラ整備、農業、福祉、介護、環境保護、教育)は、利子のつかない政府通貨や地方自治体が発行する地域通貨を使うのが望ましい(p322)

  • ユダヤ人が構築した金融システムの歴史については面白いと思った。地域通貨、上手くやれば面白いと面白いと思う。

  • 「金融のしくみは全部ロスチャイルドがつくった」に続く、安部氏の第二作。

    よかったです。
    読んだ後に、自分も何かやらねば・・・という気分に。
    とりあえずレビュー。

  • お金について考えさせられる。考えてみることが必要。利子による搾取など。エンデの本も読みたい。

  • これは、まるでマユツバのようなタイトルの本だが、いいんですよという『We』読者のIさんのオススメを聞いて、借りてきてみた。たしかにこのタイトルだけでは、ただの煽り本のように思えて、どなたかの手引きがなければ読まなかったかもと思う。

    これは、もとは同じタイトルのブログ「日本人が知らない 恐るべき真実」に書かれた文章を、データなどを新たに修正の上まとめたものだそうである。なので、大筋のところは、ブログの過去記事をたどって読める。しかし、本のかたちになってもらったほうが読みやすい。

    サブタイトル「マネーがわかれば世界がわかる」のとおり、これは現行のカネの仕組み、流れ、その世界的な意味あるいは日本にとっての意味を書いたもので、今のカネのあり方の問題点を解いた上で、別のかたちの、オルタナティブなカネとして地域通貨の可能性を説いている。地域通貨についてこの人が書いた『ボクらの街のボクらのお金』という本もあるそうなので、こんど読んでみようと思う。

    たしかに「知らない真実」がいっぱいあった。内容もIさんのおすすめどおりよかったが、「まえがき」「あとがき」にガンジーの言葉が引かれていることが、私には印象深かった。『非暴力ってなに?』をまた読みたくなった。

    私が借りる本は古かったりマイナーだったりするせいか、予約がついていないことが多いが、この本はめずらしく後ろに2人の予約待ち。

  • 政治・経済の難しい仕組みが分かりやすく書いてあります。
    私たちは、このまま搾取され続けるのでしょうか?

    おススメです^^)v

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