本当にヤバイ!欧州経済

著者 :
  • 彩図社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883927098

作品紹介・あらすじ

欧州を襲う3つのバブル崩壊!
まず、英国の「取り付け騒ぎ」から始まった!
スペインの不動産バブルは米国より2年遅れ。
主要国で国有化、公的支援の金融機関は、英国5、独3、ベルギーオランダ2…。
今、ラトビアが破綻寸前!次はリトアニア…
バルト三国の債権のほとんどはスウェーデンが保有。
スウェーデンが倒れると次は…。

感想・レビュー・書評

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  • これを読むと、欧州の
    しがらみとリスクが明白に
    なります。
    まだまだ、波乱要因が多い
    欧州です

  • ユーロ圏の問題点。
    ユーロは崩壊に向かわざるを得ない。

  • サブプライム問題が発生するまでは、欧州経済モデルは多くの場所で礼賛されていて、日本は不良債権処理に手間取って「失われた10年(人によっては20年とか)」によって日本は停滞しているといわれたものです。欧州において、アイスランドは数年前まで、「暮らしたい国」か何かで表彰されていたと思います。

    しかし、その化けの皮は剥がれたようで、欧州の金融機関を中心に欧州経済はかなりひどい状態になっているようです。日本においても米国のニュースはともかく、欧州のものはあまり報道されないような気がします。

    そのような環境にあって、三橋氏が監修されて書かれたこの本は、欧州経済の現状を知る上で私にとってはためになった本でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・欧州の保有債権は、高利回りを見込めるハイリスク非政府系機関による証券に偏っている、その額は5578億ドル(61.8%)(p18)

    ・欧州を震撼させる3つのバブル崩壊とは、1)米国サブプライムの証券化バブル崩壊、2)ユーロバブル崩壊、3)中東欧新興国バブル、が崩壊すること(p24)

    ・今回の金融危機を受けて、2008年10月13日に、欧州は銀行会計基準を大きく変更した、金融機関の保有資産区分を変更可能、保有資産を満期目的の資産へ区分変更可能することで、時価評価対象から切り離すことができる(p33)

    ・リーマン破綻によりCDS(破綻保険のような金融商品)の引受けとなっていたAIGは破綻が予想されたので、米国金融当局はAIGに膨大な資金を貸しつけた(p45)

    ・欧州の銀行貸出債権の多くは企業向けローンであり、その額は米国の5倍、これらの予測損失は全くバランスシートにいは織り込まれていない(p69)

    ・ロンドンのきんゆんセンターから資金が引上げられた後も、英国以外の欧州諸国(スペイン、フランス、アイルランド等)のバブルは継続した、これらを「デカップリング論」で説明する人もいた(p75)

    ・日本人が経験したバブル崩壊とその後の失われた10年がこれから欧州に訪れようとしている、日本の場合には幸せなことに、長年貯えた家計貯蓄と企業内部留保があったが、欧州には無い(p76)

    ・アイルランドが1988年からファンドを誘致を進めてこれた背景は、1)低い法人税率(ケイマンの0%につぐ、12.5%)、2)金融知識を備えた人材豊富で安価、3)英語圏、4)ファンド向けサービス提供者が政府による認可制で投資家の安心感が高い、である(p90)

    ・フランス国債の格下げは、ユーロ信任に直結するもの、ユーロはフランスフランとドイツマルクをベースとしているので(p121)

    ・英国政府は09年4月までにGDPに匹敵する規模の金融支援を行っているがそれでも不十分とされている、その理由は自己資本率にレバレッジをかけて資産をもっている(自己資本比率が10%ならば、自己資本の10倍が資産総額)ので(p131)

    ・名目GDPと住宅価格がクロスするところが適正価格考えられる、図5-2によれば、その交差ポイントは住宅価格=130(09年3月現在で150)程度(p136)

    ・英国は連合王国であり、大ブリテン島だけで、イングランド・スコットランド・ウェールズがあり、スコットランドでは地域通貨としてスコットランド・ポンドが発行、使用されている、これは英国ポンドとの兌換紙幣であり、現在3つある通貨発券銀行が倒産しても兌換保証されている(p150)

    ・2009年3月25日には、英40年国債において、2002年以来の札割れが発生した(p162)

    ・スペインはEU内において人口比は9%に過ぎないが、2001年から07年に建設された新築住宅のうち29%をスペインでしめた、現在150万軒の住宅が売れ残った(p176)

    ・欧州の対外債権の比率は高く、スウェーデンやスイスは50%以上となっている、米国は5.7%、英国34.8%、ドイツ38.2%(p187)

    ・スウェーデンはバルト3国の対外債務の6~8割を引き受けている(p188)

    ・米国の金融当局は、米国内にある「コルレス口座:国際間の決済口座」を完全な監視下に置いており、最悪の場合、口座の閉鎖すらでき体制をとっているこれが基軸通貨ドルの強さの源泉である(p232)

    ・現在EUは加盟各国でリスボン条約(EUの最終的政治統合)の批准進んでいるが、2008年6月のアイルランドでの批准失敗(09年10月3日に批准成功)によりユーロ価値がドルに対して下落した(p245)

    ・2009年3月末時点でのルクセンブルクの対外負債は1.82兆ドル(164兆円)で、GDPの33倍(549億ドル)に達しており、国民1人あたり3.3億円の借金である(p253)

  • FXでファンダ派だった為、少しでも勉強しとこうと興味を持った本。
    この後、ユーロ/ドルは下落していったわけですが。
    普段読みなれていない為難しい点もありましたが、この手の本は参考程度に色々と目を通しておきたい。

  • 「本当にヤバイ!欧州経済」を読みました。

    アメリカ発といわれ、現在おきている不況の引き金となったリーマンショック後の欧州への影響をまとめた本です。
    正直なところ、細かい内容までは理解し切れませんでしたが、
    概要としては、表面化以後、アメリカの消費の持ち直しがおきているが、
    むしろ欧州が実はCDSを大量に保有していることから、欧州はこれからがショックの本番化する可能性があるということを訴えております。

    これらの動きを実際のニュース記事を一つずつ示して着々と説明するスタイルの本で、
    非常に説得力があります。
    事実、欧州各国は順番に不動産バブルが崩壊していることなど、
    さらに悪化する欧州経済の予兆を感じさせるデータがまとめられています。

    大前研一氏の本でユーロが最終的にはドルと覇権を争い、
    最終的には融合するという見通しを立てておられましたが、
    欧州経済の急激な悪化という可能性があると、それも一筋縄ではいかなさそうです。

  • まさに欧州が最近不穏なので平積みされたものを購入。字も大きくて読みやすいのとテンポがいいのでたぶん再読しないとうっかり読み飛ばしていそうで怖い気がします。気をつけねば!

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著者プロフィール

1969年生まれ。日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務した後、独立。海外の経済情勢に精通すると同時に内外の経済・政治状況のリサーチと解析に定評があり、2009年に出版した「本当にヤバイ!欧州経済」(彩図社)で欧州危機を警告してベストセラーになる。
近著「山口組分裂と国際金融」「パナマ文書」(徳間書店)「トランプ! ~世界が変わる日本が動く」(ビジネス社)「貧者の一票」(扶桑社)など。

「2017年 『平和ボケ お花畑を論破するリアリストの思考法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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