- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784884746124
感想・レビュー・書評
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内村鑑三は敬虔なキリスト教徒だったが、
そのバックボーンには武士道があった。
二つの「教え」は一見まるで違うものに見えるが、
内村の中では全く矛盾せず、むしろ強固に
結びついたのだろう。
新渡戸稲造も、日本の武士道と西洋のノブレス-オブリージュをかなり近いものと見なしていた。
内村が選んだ5人の代表的日本人はみな、
強烈に武士道の美徳を備えた人だったと言える。
西郷隆盛は「天の人」という感じがした。
彼の道徳規範は「天」。「天」に恥じない行動をすること。「天」に忠実であるということは、己に忠実であるということ。
鷹山の徳による治世。尊徳の仁政。
みな武士道を地で行った人たちだ。
キリスト教は「神の道」、武士道は「人の道」。
でも、正直、勇気、恥を知るという武士道の道は、
実はキリスト教の神がその道とするところでもある。
今の日本人には、武士道の道徳感はだいぶぼんやりとしてきて、ほとんど消えかかっているようにも見える。
だけど、やはり私は日本人なんだから、
現代に生きていても、武士ではなくても、
これを失ってはいけないと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
代表的日本人解説。
まさに読みたかった内容にしたり。 -
岬龍一郎・著、初版・2001年11月、220ページ。
内村鑑三の『代表的日本人』の現代版解説書。
という本の性質上、どうしても、原書よりも内容的に薄まっているのと、
後は著者の意見が反映されてしまう。
現代の政治家などに対する批判もところどころに見られる。
ただ、武士道精神を体現する(内村が考える)代表的な日本人を通して、
武士道について理解を深めるという意味では良い本。
ちなみに、内村の『代表的日本人』で取り上げられているのは、
①西郷隆盛
②上杉鷹山
③二宮尊徳
④中江藤樹
⑤日蓮上人
の5名。それぞれ違う側面をもって、日本人の精神を代表する人物としている。
日本人・日本人の精神(武士道精神)に対する理解を深める際に参考になる一冊だが、この本だけを読んでも、恐らくそれほど心に響かないと思われる。
そういう意味では、初心者向きの本ではない。
最後に西郷の章で書かれている【指導者の十の条件】
【指導者の十の条件】
①心身共に健康である
②仕事に対して哲学を持つ (何のためにやるかという目的意識)
③人間的魅力がある (明朗さ、誠実さ、やさしさなどの性格)
④強い意志と行動力がある (不屈の精神)
⑤大局観を見る能力がある (先見性、状況判断力)
⑥自己啓発力がある (すぐれた師匠を持つ、自らを高める努力)
⑦孤独に耐えうる力がある (付和雷同しない力、ある意味の冷徹さ)
⑧演出力がある (説得力、実行力、威風堂々)
⑨人材育成能力 (公平、公平に人を見る)
⑩尊敬される能力がある (一つでも卓越した能力がある)
だそうです。これは、抑えておくべき。