- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784886223395
感想・レビュー・書評
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こんどはコケですか!?と思いつつ読んだら、コケ、面白い。コケがこんなに深いとは知らなかった…。
「生き物屋はその存在自体、社会性の欠如そのものである」の言葉が妙に印象的でしたww。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「ゲッチョ先生、コケを食う」という副題がついているが、私も小さい頃コケを食べた事がある(^_^;)と言うか、コケの胞子体は血の味がして、季節の珍味だった。
当時は銭苔と杉苔と銀苔くらいしか区別がついてなかったけど、コケの世界は深~いという事がよくわかる本。 -
著者は同じ研究室の出身。ただし彼の方がずっと若いので重なることはない。別の場面でちょっとだけお会いしたことがあるだけだ。
このディープに変な生き物が好きなところがよくわかる。私と同類なのだ。
コケは植物界の両生類は引用だそうだが、コケの習性がよくわかる言葉である。1ヶ月に35日雨が降る屋久島が日本一のコケの宝庫なのも両生類ならばである。乾燥気味の南大東島にコケが少ないのも納得。
蘚類と苔類にかなり外見の差があるのがわかるが、系統的にもかなりかけ離れたもので、両方の専門家はいないというのは改めて納得。他にツノゴケ類というのがあるのは初めて知ったけど、イラストを見ると、あ、これ見たことがある。地衣類かと思っていたけど。ゼニゴケはいちばん好きだけど苔類の典型ではなく異端者というのも初めて知った。 -
2024年3-4月期展示本です。
最新の所在はOPACを確認してください。
TEA-OPACへのリンクはこちら↓
https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00247431 -
苔は、クソマズイそうだ。
「ゼニゴケを千切りにしてうどんに入れたのだそうだ。見た目はネギそっくりであったという。ところが、一口食べたら、うどんごと放り投げた」
https://seisenudoku.seesaa.net/article/488430621.html -
なぜオレがコケ?(笑)
まあ縁あったと思って読んでみたんですが。
話はまず「生き物屋」という人間の生態から始まります。冷蔵庫の中に生き物の死体が詰まっていて平気だとか(骨を取ったりするためらしい)、ゴキブリを飼育するとか、生物の研究者や好事家に、世間なみの常識を求めてはいけない、といった話。
いきなりコケの話を振られても入って行けなかったかも知れませんが、そんなクスグリで、つい上手に引き込まれてしまいます。
ほかにも例えば、生徒たち(著者は“骨屋”もしくは“ドングリ屋”で、沖縄県の学校などで教えている人です)の関心を引く「3K」があって、それは「怖い、キモチワルイ、食える」である(そしてコケは食える)。とか、沖縄のとある城跡の井戸周辺で絶滅危惧種に指定されているコケをみつけたが、それは立小便跡によく生えるコケだった(ということはそこで…?)。とかのエピソードの数々にクスっとしたりニヤっとしたりするうち、いつの間にかギンゴケだのゼニゴケだのに興味を惹かれちゃったりする自分がいるわけです。
話術が巧みなんですねぇ。
でも最後に著者は、コケの勉強が深まり、“コケの病”が進行するうちに「コケが見たい」から「コケで見たい」に変わってきた、と言います。そのくだりは感動的でさえあります。
コケでなにが見たいのか? 森です。つまり、森にいる種々のコケが生育する環境(なぜそうなっているのか)から、森のありさまを理解するということなんですね。
山歩きをしていると木や花の名前を覚えたくなるものです。「山体験」がさらに深まるからです。鳥の声も聞き分けたくなる。石もなにか語りかけてくる。そして、コケにだって「コケ」と一言で済ませられない多様な世界がある…。
となると、今度はコケもちょっと注意して見てみようかな、という気持ちにすっかりなっちゃっているわけですねぇ。
啓蒙書として素晴らしいデキですね。 -
コケより「生き物屋」に興味が湧いたので、次は著者の「生き物屋図鑑」という本を読もうと思う。(笑)
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鳥取環境大学の小林先生の<先生、>シリーズが面白いのに味をしめて、似たような雰囲気を感じていたので。
自然は面白いし、それを楽しむ人間がまた面白い。
「コケの名前がわかるかどうかはどうでもいいことです」「コケを見ていて、何でこんな所に生えているの?という発見がおもしろいんです」というキムラさん(著者のコケの師匠)の言葉は、先日読んだレイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』にも通じます。
装幀 / 戸田 ツトム