30日でつくれる人事制度、だから業績向上が実現できる―成果主義人事制度をつくる

著者 :
  • 鳥影社
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  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784886297242

作品紹介・あらすじ

30日でつくれる人事制度だから業績向上が実現できる。

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  • ■どんな人事制度も最初から完璧は無い、導入後も問題が発生する。
     その問題を解決して行く事で、良い人事制度になって行く。

    ■良い人事制度とは
     ①社員をやる気にさせ ②社員がどんどん成長し ③結果素晴らしい業績

    ■成熟期に入った会社は、経営者が新しい業態やビジネスモデル作りに
     着手してゆく必要がある。
     社員の成長のみで、会社の成長サイクルは作れない事を認識すべき。

    ■成果主義人事制度の発表
     各個人の処遇に差を付ける事が目的ではなく、成果を上げたスタッフのやり方
     を全員で学び、全員が高い成果を上げ、高い給与を取ってもらう事が目的。
     その結果会社も成長する。
     「今回は賞与が少なかったね、次回は増やそう、君も一生懸命やってくれたけど
      やりに工夫が必要だね、私ももっと指導するので頑張ろう!」

    ■社員間のやり方の違いを可視化して共有する → 成績の良い人に話してもらう
     数字が上がったのは、何をどうやったかを吸い上げる。

    ■社長が何を褒めているのかを明確化 → 人事制度 → 評価基準を伝える
     それぞれの個人に何をして欲しいかをまず決める → ゴールを示す

    ■評価シートの中の重要項目が「評価要素」。成果を上げる能力は何なのかを
     明らかにする事が重要。当社の成果を上げている能力とは何か?
     重要な物から順に上げてもらう。 例)クレームを上手に解決する能力

    ■教育研修は、評価シートの「重要項目」に直結した事を行なう。
     全社の点数の低い評価要素を良くする為の研修を受ける必要がある。

    ■管理者は部下に成果を上げる方法を指導し続けなければならない。
     社長が「やれ」と言った事が「評価対象」やらなければ評価が下がり
     賃金なし、やれば評価が向上すると言う事を認識させる。

    ■社員を育てる仕組みは2つのみ
    ・社員を評価する仕組み
    ・社員を処遇する仕組み

    ■評価シートとは
    ①実現して欲しい成果 ②その成果を上げる為の重要業務
    ③その業務を実施する為の知識と技術 ④そして勤務態度
    ※社員毎に内容は違い、一定期間同じ内容で運用する。

    ■評価要素
    ①期待成果(何を評価するか?)
     それぞれの職種ごとに実現する事を期待している成果
    ②重要業務(どうやって①の期待成果を実現するか?)
     自社内で成功事例を探す→成果の上がっている社員の行動を分析する。
    ③知識、技術
     ②の重要業務を実行する為に必要な知識や技術。自社で今どんな知識や
     技術が必要か分かったら、それを職種ごとに一覧表にする
    ④勤務態度(全職種統一)
     規律性、積極性、協調性、責任性、明朗性、柔軟性。使命感
     危機感、チャレンジ意欲

    ■評価基準(どの様に評価するか?)
    ・会社の評価基準には絶対値を記入すべき。
     例)5点 1億円(この数値は現在トップの人の数値を採用)
       4点 8000万円
     ※モールごとに指数を掛ける事で公平を期する  
    ・重要業務の場合
     5点 - 優秀であり他の模範となるやり方で実施している
     4点 - はぼ模範となるやり方で実施している
     3点 - その業務をやっているが、やり方が不十分
     2点 - その業務をやったり、やらなかったりしている
     1点 - その業務をやっていない

    ・知識、技術 (重要業務を上手にやる為、成果を上げる為に必要)
     誰も5点を取れない評価基準を作ると、5点のイメージが出来ないから
     過大な水準を設定しない。
     5点 - 業務実行に必要な商品知識は全て持っており職場全体に広げた
     4点 - 応用的な商品知識もかなり持っており。他の社員意対しても
        分かりやすく教える事が出来た
     3点 - 基本的な商品知識はほぼ身に付いており、業務は1人で実施した
     2点 - 最低限の商品知識は持っているが、業務実施にはしばしば
        支援を必要としていた
     1点 - 商品知識が不足しており身に着けようとする意欲が見えない
     ※「商品知識」を別の知識や技術に変えると運用できる。 

    ■ウェート(4つの項目のウェート付け、会社の状況に応じて、社員の役職
          によってウェートの比率は変わる)

    1.期待成果 = 重要業務 X 知識技術 X 勤務態度
     ①売上高  ・・・  5ポイント
     ②粗利利益 ・・・ 12ポイント
     ③新規開拓 ・・・  5ポイント
     ④回収率  ・・・ 8ポイント  合計 30ポイント

    2.重要業務 30%
     期待成果の中でウェート付けの高かった評価要素を高める為の重要業務の
     ウェイトが高くなる。
     この重要業務が毎月のミィーティングの中の討議テーマになるべし
     
    3.知識、技術 30%
     重要業務の中でウェートの高いの業務をやる為の知識、技術。
     その知識、技術を習得する為の教育研修を行なう

    4.勤務態度 10%
     成果を出す組織としてどんな勤務態度が重要か?
     積極性やチャレンジが重要、その確認をしながら、勤務態度項目の
     各評価にウェートをつける。


    ■評価制度を運用する
    Q1. あなたの部下はやるべき仕事(重要業務)をやっているか?
    Q2. その重要業務は、我が社の共有化されたやり方でやっていますか?
    Q3. その重要業務を実施する為の知識と技術を度の程度習得しているか?
    Q4. 現在どの様な勤務態度ですか?
    これらが分からなければ指導教育は出来ない。

    評価は、まず本人にさせてから、上司が評価をする。
    その後そのギャップを確認する。その上で本人に上司の評価を伝える。
    本人に評価要素ごとに出来ている事、出来ていない事をはっきり意識させ
    今後の取組む自己育成テーマを決定する。

    ■成長シート(五段階評価)
    ①やっていない ②少し出来た ③基本手なやり方でできた 
    ④優れたやり方で出来た ⑤教えた
    ※売上が上がっても教えないと④止まり。教える事が一番成長する。
     ※社員は誰かと比較されるのが一番嫌。この段階が上がれば褒める。

    ■採用時の注意
    ・自社の評価基準に沿ってもらう事を伝える。
    ・成長のゴールを示す(中堅職 → プレイングマネジャー → 管理職 → 経営)
    ・具体的なモデル賃金を示す(賃金の可能性)
    ・人を育てる仕事が有る事を伝える

  • 人事制度は業績を上げるためにあるという考え方の下、どのように作れば良いかが書かれている。
    会社全体の業績と個人の業績の2つの軸で判断できると良い。

  • 成果主義の根幹である正当な評価に重きを置いた内容。人事制度は経営の一つの手段であり、それを基に社員と会社が成長し行く事が大切だと述べている。
    成果主義とタイトルはついているがそれにとどまらないバランスの良い著書。

  • この本には理想とする成果主義の制度がテンプレートとして用意はされていましたが、それも運用次第でガラクタになることを、著者自身十分承知の上で提示しています。
    結局のところ完璧な人事制度などは存在せず、どんな制度も社長・社員その他諸々の状況により天国にも地獄にもなる。結局なところ、そんなもんなんですねぇ・・・

    ま、当たり前といえば当たり前ですが。


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    ・多くの企業では、評価結果を本人に伝えていないのだ。
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    ⇒伝えたいができない。評価者によって甘く見たりひいきが出たりして、評価結果がそもそも公平にならないから。公平にならないから処遇と評価を直結できない。直結できないものは公表する意味がない。評価結果を公平にするにはそもそも評価者が同じ意識・力量にならなければならない。

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    ・評価制度の場合にはぜったい評価以外ありえない。全社員の評価結果の合計が会社の評価であり業績になるのである。相対評価にしたら、結局は社内での情報の共有化をして、全員で高い評価を受けようということは建前になる。
    絶対評価のポイントは、社員の評価が高いときには、会社の業績が高いこと。社員の評価が低ければ、会社の業績が低いこと。これだけは評価制度を作るときの大原則である。
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    ・規模が大きくなると管理者が必要になる。スパンオブコントロールの原則。一人で直接指導できる社員数は10人くらいが限度。ここで問題が生じる。管理者に社長と同じことができない。社長は褒める事と処遇することが一緒だった。優秀な管理者はもちろん誉め上手である。厳しい指導をしていても、その過程でちょっとでも改善の兆しが見えると、上手に誉める。ところが、その優秀な管理者でもできないことがある。処遇を決められないのである。成果を上げた社員に対してですら、「今度の賞与は増えるぞ」とすらいえない。この処遇を決定するということは、いつまでも社長の手の中にある。
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    ・全管理者が出席して評価決定会議を行い、全社員の評価決定をするのだ。この会議で決めることは全社員の評価を管理者全員で確定することである。そのために、各階層ごとに全員の評価結果一覧表が配られる。それを見て討議するのである。
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    ・まず5点(※最高評価)の基準は簡単である。現在のトップの成果を上げている社員の数値である。この社員には最高の評価を与えていい。我が社においても実現可能な目標値である。これをとんでもない希望の数値を入れる会社がある。これを祈りの数値という。前人未到の目標値ともいう。・中略・(※実現が可能だと)納得しないものは目標値ではない。
    問題は1点の基準である。これは現在の最低の実績である。・中略・
    考えてみてほしい。もしあなたが一点の基準に「最低これだけは」という(※希望の)数値を入れたら、この中に半分の社員が入ってしまう。ここを一点のかたまりにしたら残りの社員を2点・5点に評価することになる。かえって指導がしにくくなる。
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    5点・・・業務を実施するために必要な商品知識は、全て持っており、職場全体に広げようとしていた 
    4点・・・応用的な商品知識もかなりもっており、他の社員に対してわかりやすく教えることができた。 
    3点・・・基本的な商品知識は、ほぼ身についており、業務は一人で実施していた 
    2点・・・最低限の商品知識はもっているが、業務実施にはしばしば支援・援助を必要としていた 
    1点・・・商品知識が不足しており、身に着けようとする意欲も見えなかった 
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    ⇒知識・技術の評価基準の例です。
    組織の相乗効果を期待していることを盛り込んだ例になっています

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    夢を与える社長とウソつきといわれる社長の違い
    いよいよ賃金制度作りに入る。
    実は夢を与える社長とウソつきと言われる社長がいる。社員の勝手な評価ではあるが、無視はできない。
    どうしてこんな差が出るのだろうか。
    ・中略・
    だから夢を与える社長といわれる人は、わかりやすく人事制度をつくり、次のように言っている。
    「我が社は人事制度があり、やればやっただけ評価され、処遇が良くなる内容です。やるかやらないかは皆さんが決めること」
    そしてその具体的な内容が賃金制度にある。自分で計算できる。それをみて社員が言う。
    「すごい」
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    ※最終章によい賃金制度の具体例あり。長文のため割愛。
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著者プロフィール

松本 順市(まつもと じゅんいち)
ダントツ日本一の指導実績を誇る、注目の人事コンサルタント。
大学3年生のとき、当時3店舗しかなかった街の鮮魚店「魚力」にアルバイトとして入社、社長の参謀役として社長室に勤務する。3年後に大卒1号の正社員となり、当時、残業が多く社員の定着率が悪かった同社の労働環境改善に取り組む。
いわゆる「5K(きつい・危険・汚い・休日が少ない・給料が安い)」といわれる鮮魚小売業界にて、生産性を上げながら、業界初のサービス残業ゼロ、完全週休2日制を実現。社員とともに構築した〈社員の成長を支援する人事制度〉が原動力となって、16年後には年商3億円から175億円へ、労働分配率67%から37%へと成長し、業界一の高収益企業となる。その後、東証二部(現在は東証プライム)に上場。
1993年、人事コンサルタントとして独立。株式会社ENTOENTO代表取締役。
現在、中堅・中小企業に正しい人事制度を広めるために全国を飛び回っている。過去20年間の支援実績数1374社(2023年8月31日現在)、構築成功率99.6%、導入各社の実績向上に貢献している。
1956年福島県生まれ。中央大学大学院中退。
主な著書に、『「即戦力」に頼る会社は必ずダメになる』(幻冬舎)『上司はなぜ部下が辞めるまで気づかないのか?』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)『成果主義人事制度をつくる』(鳥影社)『社員が成長し業績が向上する人事制度』(日本経営合理化協会出版局)『1300社が導入した日本型ジョブディスクリプション』(日経BP)ほか。

「2023年 『日本で一番「早く」「簡単に」「エンドレスで」業績を上げる人事制度』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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