- Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
- / ISBN・EAN: 9784887471016
作品紹介・あらすじ
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。
(「雪」)
蟻が
蝶の羽をひいて行く
ああ
ヨットのやうだ
(「土」)
詩人・三好達治は1900年大阪生まれ。
処女詩集『測量船』で高い評価を得たのち、フランスの詩人ボードレールの詩やファーブル『昆虫記』の翻訳も手がけました。
谷川俊太郎さんの才能を見出し、『二十億光年の孤独』に賛辞の序詩を贈ったのも三好さんです。
詩文庫のラインナップに迎えるにあたって、多くの詩作のなかから、作風が美しく結晶したものを選びました。
感想・レビュー・書評
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これまで三好達治の名前は知っていたがどんな詩人かは知らなかった。
ところが先日観ていたドラマ「ミステリという勿れ」の中で、「乳母車」の詩が取り上げられていた「淡くかなしきもののふるなり 紫陽花しろのもののふるなり」という言葉があまりに美しくて、ぜひ全部読んでみたくてこの本を手に取った。
そうしたら、
「土」
蟻が
蝶の羽をひいて行く
ああ
ヨットのやうだ
という懐かしい詩!
なぜかまどみちおだと思い込んでいたが、三好達治のものだったのか。
子供の時にもこれを読んで、すごい発想だと驚いたのを思い出した。
改めて読んでみて、詩のことは学校で習った程度しか知らず読み方もわからないが、詩が心に響くことを知った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ブブルという詩では犬の眼を湖水のようだと表現したり、黒蟻という詩では蟻達を鉄アレイのようと言ったり、生き物に対する愛情や尊敬の詩が多かったように感じた。
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身近な風景を切り取って、普通に過ごしていたら気づかず過ぎ去ってしまう瞬間を言葉で永遠にしたり、逆にとてもマクロな視点で世の中を俯瞰して少ない言葉に凝縮したり、本当に彼の詩はすごいと思う。個人的には「鴎」が好きなので収録して欲しかったけど、それ以外の詩も本当に素敵なので満足。編者の注釈などが敢えて入っていないのが、逆に読み手の感性を刺激します。本そのもののサイズや装丁もいい感じで、気に入った一冊でした。
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家鴨や、鶺鴒、燕など、生きものに目を向けた作品が多く、可愛かった。