ビジネス倫理学: 哲学的アプロ-チ (叢書倫理学のフロンティア 13)

制作 : 田中 朋弘  柘植 尚則 
  • ナカニシヤ出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784888488945

作品紹介・あらすじ

ビジネスシーンの倫理問題を哲学的に探究。生命・医療、環境、情報、工学技術など、諸分野での具体的問題を踏まえ、新・応用倫理学としてビジネス倫理学の構築を目指す。

感想・レビュー・書評

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  • 企業の運営上における倫理的な問題をあつかう「経営倫理」ではなく、応用倫理学の観点からビジネスにまつわる倫理的諸問題について考察している本です。

    「序論」に収録されている編者二人の論考は、まず田中がまさに「経営倫理」とは異なる本書の立場について、アメリカの応用倫理学における展開なども紹介しつつ、わかりやすい見取り図を示しています。つづいて柘植が、倫理学の立場から商業社会の道徳を論じた先駆的な思想家として、スミスとミルをとりあげています。その後、専門家の倫理的役割やエコロジー、観光、内部告発、知的所有権などの具体的なテーマについての論考が収録されています。

    具体的なテーマについて執筆者自身の倫理学的な思索が展開されているとともに、比較的ていねいな参考文献が付されていて、このテーマに関心のある読者にとっては有益な内容だと思います。

  • 各論とでもいうべきいくつかの章から成り立っています。専門職たる医師と倫理は「白い巨塔」を思い出しました。企業の環境対策、内部告発、私的所有と共有の狭間など正に今、マスコミを賑わせているテーマが続きます。特に内部告発については当社でも制度が出来ましたし、先日はNHKへの政治圧力問題が社内告発から話題になりました。「告発は正義」でありながら何ゆえ、私たちが素直に肯くことが難しいのか、それが本当に正しいことなのか?との分析には考えさせられます。確かに告発者が真剣に悩んで告発しているケースが果たしてどれほどあるのか、と思わされるからです。

  • ビジネス倫理学は現在伸びのある分野ですが、誤解されやすい分野でもあります。企業内における個人の「倫理感」を押し出したものが、「企業の倫理」として紹介されることも多く、ビジネス倫理学の著者たちはそういうものとも闘っていると考えられます。
    この本を書いているのは若手の著者たちであり、非常に挑戦的な視点を持っていると思いました。新しい分野には柔軟な発想とともに野心も必要だと思います。「ビジネス」ではなく「倫理学」に興味ある人にぜひ読んでもらいたいです。

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