女より弱き者: 米国版金色夜叉

  • 南雲堂フェニックス
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  • Amazon.co.jp ・本 (503ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784888962957

作品紹介・あらすじ

十九世紀末、イギリスのロンドン郊外-絶世の美女、ヴァイオレットを見初めた相手は、大富豪の准男爵だった。だがヴァイオレットには彼女を熱愛する婚約者、フィリックスがいる。高潔な若き天才弁護士に対し、新たな求婚者は年収4万ポンドと爵位を切り札に迫る。そのとき、フィリックスの父の身にある異変が-。明治時代に一世を風靡した『金色夜叉』のもととなったのが、本書『女より弱き者』である。英米両国の爆発的なヒット作となったこのストーリーのなかで、イギリスのお宮・貫一の運命が、いま明かされる。

感想・レビュー・書評

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  • ちょっと前に尾崎紅葉の『金色夜叉』を読んで、あの話に種本があったことがわかり、そちらを是非読んでみたくなりました。

    バーサ・M・クレーは別名シャーロット・メアリー・ブレイム、今では忘れ去られてますが、当時はベストセラー作家だったようです。想像するにダニエル・ステュールみたいな立ち位置だったのでは?

    (あらすじ)
    ロンドン郊外で弁護士業を営むダーシー・ロンズデールは顧客から莫大な遺産を相続した。彼等は新しい家を購入し、息子のフィリックスは共同経営者となった。

    フィリックスは幼馴染で交際中のヴァイオレットに求婚する。彼女も彼女の両親も何か含みがあるが、とりあえず承諾する。

    そんな矢先、遺産を譲渡してくれた老婆の唯一の身内である甥は、全部貰えると思っていた遺産の半分が他人に渡り不服だった。彼はロンズデール氏が老人に言い包めて遺産を横取りしたと訴訟を起こし、判決は甥の言い分が全て通ってしました。そのことでロンズデール父子は弁護士としての信頼を失い、顧客は離れて行き、窮地に立たされた。

    ちょうどその頃、近くのガーズウッドの館が新しい領主に買い取られた。新しい領主オーウェン卿は牧師のパーティーでヴァイオレットを見初め、婚約者がいるにも関わらず猛烈にアプローチしてきた。贅沢な暮らしに目を奪われた彼女はフィリックスとの婚約を解消し、愛してもいない卿と結婚してしまう。
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    金色夜叉では、貫一が宮の結婚を知るまでが短く、その後の生活がストーリーの主軸になるが、こちらはお金と愛情を両天秤にかけた彼女の葛藤や、裏切られた彼の苦悩が事細かく記されている。貫一は不貞腐って金貸しに身を落とすが、フィリックスはあくまでも高潔な精神を貫く。

    ロンズデール父子があまりにもお人好しで、それで弁護士が務まるかな?と不思議に思う。反対にオーウェン卿やヴァイオレットは自分が傷つけた人でも、当たり前のように自分のために働いて貰えると思っていて、こちらも違う意味でお目出度い。ま、お話だから。

    おそらくこれは19世紀の良家の子女が読むために書かれた本なのでしょうね。拝金主義を否定して、話の運びもやや勧善懲悪、少々説教臭い。しかし、通俗小説にしては、人物描写も生き生き描かれているし、結構面白かった。

  • 愛を取るか富を取るか。古今東西変わらない究極の選択なのかも。「金色夜叉」読んでみたくなりました。

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